「子ども部屋がリビング隣」の間取りが、子が幼くても思春期になっても快適な理由
新居に子ども部屋をつくっても、幼い間は使われずに物置部屋に…というありがちな悩み。8年前にハウスメーカーで家を建てた日刊住まいライターは、「子ども部屋がリビングの隣にある間取り」を採用することで、問題解決できました。そのうえ中学生になった今も、成長に合わせてうまく使えるこの間取りに大満足しています。その理由を詳しくレポート。
幼いころから子ども部屋を使えるようリビングの隣に
家を建てる前の筆者の住まいは、3LDKのマンションです。玄関とLDKをつなぐ廊下の左右に部屋が並んでいる、マンションでは一般的な間取りでした。
将来、子ども部屋にしようと考えていたのは、玄関横の5畳の部屋。しかし、実際には、住んでいる期間は物置部屋と化していました。
というのも当時は、子どもが幼く、子ども部屋は必要なかったこと、そしてメインの生活スペースであるLDKから遠くて日常使いもしづらかったからです。
限られた床面積なのに、活用できない部屋があるのはもったいない…。この経験をきっかけに、家を建てるときには「いつか使う子ども部屋」ではなく「すぐに使える子ども部屋」にしたいと思うように。
そんなわけで、2人の男の子が5歳と2歳になったときに新しく建てた家(二世帯住宅)では、子ども部屋がLDKのすぐ横にある間取りにしました。
これが現在の住まいの2階の間取り。廊下やホールを経由することなく、LDKから直接子ども部屋に出入りできる間取りとなっています。
3つ並んだドアの、奥2つが子ども部屋への入り口です。2つのドアの先は、じつはつながったひと部屋でした(引き渡し時)。必要なタイミングで、真ん中で区切って2部屋に分けられるようにしたのです。
この写真のように、子どもが小学生までは兄弟で共有する大きなひと部屋でした。上の子どもが中学生になったタイミングで部屋を区切り、現在は兄弟それぞれの個室として使っています。
子ども部屋がLDKの隣にあるメリット
ちなみに、子ども部屋自体はシンプルなつくりです。特別な工夫などはありません。
メインで過ごすLDKのすぐ隣、という間取り自体がとにかく期待以上に便利。おかげで、子どもが幼いころはもちろん、上の子どもが中学生になった今にいたるまで、子どもにも大人にも使いやすいのです。
具体的に、子どもの成長に沿って振り返っていきましょう。
●幼児期:リビングとひと続きの空間として使える
家を建てた当時、わが家の子どもたちは5歳と2歳。まだまだ親の目が届く範囲で遊ぶ年齢でした。
でも、子ども部屋へのドアを開け放しておけば、子ども部屋はLDKとほぼ一体化した空間となります。そのため、子どもたちにとっては、子ども部屋もリビングの延長にすぎません。
そのときの気分で、子ども部屋だったりリビングだったり、自由に場所を選んで遊んでいました。
また、親である筆者の立場では、子どもたちの衣類やおもちゃを子ども部屋に置いていても、出したり片づけたりが手間いらず。大きなメリットでした。
もし、子ども部屋がメインの生活スペースから離れた場所にあったら、出し入れのための移動がおっくうに。子どものものが、リビングにあふれてしまっていただろうと思っています。
●学童期:リビング学習でも、勉強道具で散らからない
子どもたちが小学校に通うようになっても、まだまだリビングやダイニングで過ごす時間がほとんど。子ども部屋に学習机は置いていたものの、勉強は当たり前のようにダイニングテーブルでやっていました。
勉強するときは、教科書やノート、プリント、辞書、文房具…とたくさんの勉強道具が必要。リビング学習の場合、これらの勉強道具の置き場所が悩みのタネになると思います。
リビングに置いておくと、リビングが雑多に。子ども部屋に置いておくと、取りに行くのが面倒で勉強に取りかかるハードルが高くなる。両者のバランスに、悩むことになるのです。
わが家の場合、勉強道具の置き場所は子ども部屋にしました。ただ、子ども部屋からダイニングのアクセスがよいため、出し入れの手間は最低限。スムーズに勉強に取りかかる仕組みが自然とでき上がりました。勉強道具を片づけるときも同様です。
ちなみに、長男は中学生になると、徐々にダイニングから自室の学習机での勉強にシフトしていきました。その際も、もともと勉強道具は子ども部屋に置いていたため、移行がスムーズでした。
子ども部屋がLDKの隣にあることで、リビング学習にまつわる「勉強道具の置き場所」や「自室での学習へのシフト」に頭を悩ませる必要がなかったことは、想定外の大きなメリットでした。
●思春期:部屋にこもっていても気配がよくわかる
現在、長男は中学2年生。常に目の届くところにいた小学生時代までと異なり、ドアを閉めて自室にこもるときもあります。
それでも、LDKと子ども部屋を隔てるものは、ドア1枚だけ。スリット入りのドアを選んだこともあり、閉めていてもなんとなく雰囲気が伝わります。また、トイレに行くときなどは必ずLDKを通るため、自然と会話も生まれることに。
幼いころのようにベッタリ一緒ではありませんが、ほどよい距離感で見守れることも、この間取りの大きなメリットだと感じています。
リビングとの距離が近いことはデメリットも
ただ、共有スペースと子ども部屋を隔てるものがドア1枚なので、やはり生活音が伝わりやすいというデメリットがあります。
22時近くに塾から帰ってきた長男が、そこから夕食を食べたり、ガチャガチャ音を立てたりしていると、どうしても二男の部屋に伝わってしまいます。そのため、二男が寝つけず、結果的に上の子どもの生活リズムに引きずられてしまうことも。
子どもたちが幼く、ふたりとも同じ生活リズムで過ごしていた時期は気になりませんでした。しかし、成長してそれぞれの生活リズムに違いが出てくると、この距離の近さがネックになる場合もあるなと感じています。
わが家は当てはまりませんが、夜遅くに大人がテレビを観るような生活スタイルの場合なども、音の伝わりは気になるところではないかと思います。
今後、子どもたちそれぞれの成長ステージが変わっていくと、気づいていない別のデメリットが出てくるかもしれません。
とは言え、それを差し引いても、当初目指していた「すぐに使える子ども部屋」は実現しました。生活スタイルや子どもの年齢などによって向き不向きはあると思いますが、わが家は子ども部屋をLDKのすぐ隣にして大満足。これまで8年間、そう実感しています。