松屋銀座が「おいしさと笑顔の引き出し」をコンセプトにした冷凍食品売り場を、2022年8月31日地下2階にオープン! 銀座の名店の味が楽しめる「銀ぶらぐるめ」をはじめ、高品質にこだわった約50のブランドを展開。驚きのおいしさをお伝えします!

冷食の概念をはるかに超えるおいしさ

コロナ禍以降、大きく変わった私たちのライフスタイル。『おとなの週末Web』でもお伝えしている通り、冷凍食品の自動販売機やテイクアウト需要の高さなど、新たな生活様式が定着してきている。

さまざまな指標はあるが、冷凍食品は今、中食需要の高まりを受け、マーケットは8000億円とも言われているんだとか。

そんな新しい価値観に応えるべく、2022年8月に改装・リニューアルし、常設の冷凍食品売り場を置くのが「松屋銀座」。実際、松屋銀座の担当課長・今井克俊さんは「もしコロナ禍がなかったら、この展開はなかった」と言い切る。

「松屋銀座」の冷凍食品専用売り場「ギンザフローズングルメ」

これまで本誌の調査などでも冷凍食品は多数食べてきたが、松屋銀座の冷食のクオリティの高さに正直びっくりした。もちろん、ベースがきちんとしたものを出すお店というのはあるのだが、これが自宅で食べられるのは、だいぶ感動モノ。お値段が張るのは事実だが、おもてなしにも使えるおいしさと高級感なので、ぜひお試しいただきたい。

それぞれの味については後述するが、冷凍食品は解凍方法が調理のキモ。ちょっとのコツでお店の味に近づける。だから、商品のことを熟知した松屋銀座のスタッフが店頭に立ち、丁寧な説明をするという。

「GINZA FROZEN GOURMET」と銘打ったオリジナルの保冷バッグも登場し、持ち歩きや配送などについても万全の体制を整えている。しかも店頭だけでなく、オンラインストアでも購入できるのがうれしい。

オリジナルの保冷バッグ

冷凍食品は、冷凍庫に入れておけば日持ちするし、いつでも食べられるのがメリット。調理時間なども綿密に計算されているのだろう。湯煎やレンチンで調理できるものも多いから手軽だし、一人前ずつになっている商品が多いのもこの時代にありがたい。余計な添加物も少ないから身体にもやさしいといいことづくめなのだ。

冷凍食品としてデビューした銀座4名店の料理とは!?

松屋銀座では、銀座の4つの名店による冷凍食品が「銀ぶらグルメ」としてデビュー。2022年8月24日(水)からオンラインストアで先行発売されている。その一部をご紹介したい。

●『銀座 日東コーナー1948』(銀座1丁目)の「ロールキャベツトマトソース」(1580円)

『銀座 日東コーナー1948』の「ロールキャベツトマトソース」(1580円)

1930年に創業し、1948年にレストランをオープンした国産食材にこだわる洋食店。当代は五代目だが、開業当時の料理長を師匠とし、レシピを引き継いでいる。看板メニューのひとつ「ロールキャベツトマトソース」は、現在の納得できる料理に行き着くまで10年ほどかかったそう。

キャベツの甘みとソースの酸味がベストマッチ

ロールキャベツは柔らかく煮込まれつつも、キャベツのみずみずしさが際立つ。中の粗挽き肉は『銀座 吉澤』(下記参照)から仕入れており、牛8:豚2でサッパリとしたおいしさ。

トマトの酸味と濃い甘みがしっかり感じられるソースは、玉ネギ、ニンジン、セロリの香味野菜をつぶして煮込み、野菜の旨みが溶け込んでいる。素材それぞれの味が複雑に絡み合うのに、まとまりがあってバランスが素晴らしい。

解凍方法は湯煎でロールキャベツは15分、ソースと付け合せの野菜は各5分。

●『銀座 吉澤』(銀座3丁目)の「松阪牛シルクハンバーグステーキ」(1383円)

1924年に精肉店として創業。仲卸業に加えて、雌牛のみを使用するすき焼き店も営んでいる。

松阪牛の雌牛100%にこだわったハンバーグステーキは、さまざまな部位が混ざっているので、旨みがぎゅっと濃縮されている。粗めに挽かれており、ハンバーグ”ステーキ”の名の如く肉々しくふっくらジューシーで脂までも美味。

ソースも一緒についている『銀座 吉澤』の「松阪牛シルクハンバーグステーキ」※付け合わせの野菜はつきません

オリジナルのハンバーグソースはデミグラスソースがベースだが、ウスターソースやケチャップ、醤油が入っているので、ご飯が進む。

おすすめの解凍方法は湯煎!

レンジアップでもOKだが、おすすめは15分ほど湯煎すること。

このほか、レンチン3〜4分で食べられるご飯ものも販売している。まかないで食されていた、黒毛和牛の脂の旨みが堪能できる「黒毛和牛サーロインまぜ込みご飯」と、すき焼き屋さんとしての矜持が詰まった「黒毛和牛サーロインすき焼きご飯」(各1998円)の2品。こちらも要チェック。

●『銀座 みかわや』(銀座1丁目)の「舌平目かに肉包揚げ」(3456円)

1887年に食料品店として創業。戦後に『フランス料理 みかわや』として再スタートを切り、74年の歴史を持つ。時代の変遷を経た現在においても、その伝統を引き継ぎ“日本の洋食”の味を伝えている。

「舌平目かに肉包揚げ」は、冷凍とは思えない衣のサクサクさに肝を抜かれた逸品。

ぷりぷりの舌平目の中には、たっぷりのタラバガニと自家製ベシャメルソースをおよそ半々で合わせた、旨みの強いソースがぎっしり。ひと口含めば深く長い余韻が楽しめる。ウスターソースやタルタルソースをかけてもいいが、そのままでも十分おいしい。

『銀座 みかわや』(銀座1丁目)の「舌平目かに肉包揚げ」(3456円)

季節により内容が変わる「ガルニチュール(付け合わせ)」も丁寧に作られているのがわかるおいしさで、単品でも販売される(454円)。

「舌平目かに肉包揚げ」は揚げ焼きにしてある

オーブントースターで約25分加熱。解凍のコツはトースターを予熱しておき、均等に加熱すること。

「銀ぶらグルメ」はその他「かにクロケット」(3132円)、「舌平目のムニエル」(4104円)、「ポークカツレット(黒豚)」(3024円)、「アワビのグラタン」(4860円)などを展開している。

●『ピエスモンテ』(銀座8丁目)の「フォレノワール」(15×7.5×5.5cm)4000円

1987年創業の“おとなの”洋菓子店。カクテルなどにも使われる洋酒や高品質の材料を使用した、“リッチなレシピ”により、手仕事で仕上げている。

銀座のクラブ街・並木通りに位置し、お酒にも合う味と香りの洋菓子が揃っている(アルコール不使用のものもあり)。今回取り上げる「フォレノワール」のほか、「チーズケーキ」(3800円)などに加え、季節商品も展開予定。

『ピエスモンテ』の「フォレノワール」は「マラスキーノ」がきいていて美味

「フォレノワール」とは、サクランボとチョコレートのケーキ。上部にのる削られたチョコレートの見た目からフランス語で「黒い森」を意味する。

『ピエスモンテ』ならではのアレンジは、チョコレートムースとバニラムースの2層になっていること。バニラはサヤを仕入れ、ビーンズを取り出して使う。さらに、サクランボのリキュール「マラスキーノ」をふんだんに入れることで薫り高く仕上がり、ブランデーなどの洋酒との相性が抜群だ。

冷蔵庫内で7〜8時間で自然解凍がおすすめだが、凍った状態で食べてもよし。

銀座の名店の灯を消さない

今回松屋銀座の「銀ぶらグルメ」にこれだけの名店が集まるきっかけとなった人物がいる。『銀座 日東コーナー1948』の店主・竹田大作さんだ。

銀座の名店の灯を消さぬよう、2020年に「美味しい銀座デリバリー」などの仕組みを作り上げた。さらに広く伝えたいと、その活動と並行して冷凍食品会社などに勤務し、冷凍食品の研究を重ねた。

その結果、熱々のまま真空パックにできる機械と急速冷凍機「3Dフリーザー」を導入。『銀座 みかわや』をはじめとする銀座の各店に冷凍・解凍のノウハウと共に提供している。

「銀ぶらグルメ」に参加した4店舗の各店主は、銀座の二代目以降が集う元・青年会のメンバーということもあり、竹田さんに賛同。この取り組みに至った。

左から『ピエスモンテ』の下村昌輝さん、『銀座 吉澤』の吉澤裕介さん、『銀座 日東コーナー1948』の竹田大作さん、『銀座 みかわや』の渡中晋平さん※写真のパッケージは仮のもの

まだまだある! 魅力的な松屋銀座の冷食たち

行列必至の老舗鶏料理店『玉ひで』の親子丼の素や、宝石のように美しいスイーツで人気の『パティスリィ アサコ イワヤナギ』のジェラートパルフェ、神戸の老舗餃子専門店『元祖ぎょうざ苑』の餃子など、松屋銀座限定や百貨店初登場の商品が並ぶ。

ミシュランガイドにも掲載された『PST ROPPONGI』のピザを、冷凍ピザ用に開発し製造販売する『PIZZA LABO』の「海の恵みぷりぷり海老 特製ツナペーストと爽やかディル」(1960円)は、焼いている時点で小麦の香りがキッチンに充満。テンションが上がって思わずビールを開けてしまった。

『PIZZA LABO』の「海の恵みぷりぷり海老 特製ツナペーストと爽やかディル」

生地はサクサクもちもち、エビは本当にぷりぷり。ツナの旨みが縁の下の力持ち的存在になっていて、このピッツァの美味しさを底上げしている。

ディルとケッパー、オリーブの風味も抜群で、噛んでいくとマスタードシードが爽やかに香る。これが家で気軽に食べられるなんて、本当に感動。超絶気に入りました。冷凍のまま焼ける手軽さもいいし、何枚も買い置きしておきたい!

『亀戸升本』の「あさり鍋」(1620円)は、大きなアサリが入るだけでなく、スープにもアサリがたっぷり使われている。

舌触りがきめ細やかでみずみずしい亀戸大根やエノキ、ゴボウなどなど、お野菜もしっかり摂れる。これがまた、味噌のコクと甘み、アサリから出たダシがしみっしみになってたまらない。これらの味にほっこりして、思わず「はぁ〜、旨みが染み渡る〜」と感嘆の声が漏れてしまった。

ぶりぶりのうどんやとろりととろける巾着もちも最高の名脇役だ。

『亀戸升本』の「あさり鍋」、ケースごと火にかけられる

『銀座アスター』の「海老のチリソース」(1944円)は、お店でいただくのと遜色のないクオリティ。

エビがとにかく弾ける! その上、旨みがぎゅっと濃縮されているから箸が止まらなかった。

『銀座アスター』の「海老のチリソース」(1944円)

辛さ控えめのソースにはネギなど香味野菜の味や食感も楽しめ、海鮮の旨みがとけ込みまくっている。ソースがたっぷりなので余ったら、玉子焼きにかけたり、アレンジできて楽しかった。これも自宅で楽しむ醍醐味といえるだろう。

大好きなお店『シンガポール・シーフード・リパブリック』からは人気メニューがラインナップ。幻の高級ガニと呼ばれるマッドクラブを贅沢に使った「チリクラブ」(5800円)を実食。

『シンガポール・シーフード・リパブリック』の「チリクラブ」(5800円)

解凍後に火を入れ溶き卵を入れるという調理は必要だが、大迫力のマッドクラブの身はぶりんぶりんで鮮度の良さがよくわかる。これが自宅でいただけるとは。幸せ〜。

ピリ辛ながら甘みのあるソースもヤミツキになる味わい。こちらもソースがた〜っぷり入っていたので、マッドクラブをたいらげたら、ついついご飯を入れてしまった。

これだけではありません。全国の海の幸を液体急速冷結機「凍眠」で冷凍した鮮魚のほか、冷凍スイーツやアイスクリームなども置いている。

どう考えても、この冷凍食品売り場って一日いても飽きないというか、一日中どれを買おうか悩みまくっちゃうんじゃないだろうか。

時間、空間を超えておいしいものを食べられる、松屋銀座の冷凍食品に注目したい。

取材・撮影/市村幸妙