こりゃまた濃厚な企画ですが、ぱっと見全く関わりなさそうなイメージ…。

ANAとJRTTがコラボ

 ANA(全日空)、そして鉄道建設などを手掛ける独立行政法人JRTT(鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が2022年8月20日に一風変わったツアーを実施しました。世界最新鋭の訓練機器が並ぶANAの訓練施設「ANA Blue Base」の見学、そして2023年3月の開業に向けJRTTが整備主体となって建設を進めている相鉄・東急直通線の「新横浜駅(仮称)」の工事現場の様子の見学をセットにしたツアーです。


ANAとJRTTのコラボツアーの企画担当者、横畑汐音さん(2022年8月20日、乗りものニュース編集部撮影)。

 ANAでは「ANA Blue Base」の一般見学ツアーを2021年からスタート。現役社員(ナビゲーター)案内のもと、パイロットやCA(客室乗務員)をはじめとするANAの主要職種の訓練施設や実際の訓練の様子を一度に見学できるというものです。

 同施設はそれぞれの訓練エリアの上部がガラス張りの見学ゾーンとなっており、この日は機体の実物大模型「モックアップ」を用いて、脱出スライドを滑る乗員の保安訓練を見ることができました。ちなみにこの脱出訓練は、同イベントのために実施されたものではなく、正真正銘の社員訓練の一環です。

 今回のツアーのANAパートも、通常の見学ツアーに準拠したものとなっていますが、担当ナビゲーターによると参加者の傾向がいつも異なったとのこと。「交通全般が好き、乗りものが好きという方が多く参加されている印象でした」と話します。

異種コラボなぜ実現?

 ツアーのもう一つの目玉、相鉄・東急直通線の工事現場(新横浜駅)では、JRTT職員の解説とともに、工事が進むホーム・改札などの様子を見ることができます。また、実際に運用が始まる前のため、線路に降りてレールを間近で見ることもできました。ちなみに一般ツアーとしてこの工事現場が公開されるのは、今回が初めてではとのことです。

 このツアーは日帰りで、代金は1万5000円。ツアー客にはこのほか、羽田エクセルホテル東急で「空飛ぶライスバーガー」が振る舞われています。


ANAとJRTTのコラボツアーの企画担当者、横畑汐音さん(2022年8月20日、乗りものニュース編集部撮影)。

 実はこのイベントを企画したのは、2021年からJRTTに出向しているANAのCA、横畑汐音さん。「CAではできない経験ができるのでは」と、出向を希望したといいます。「鉄道の建設現場はダイナミックです!」と話す同氏は、現在は広報戦略課でSNS運用や広報誌の製作などを担当しており、外部とのやり取りにおいてCAでの対話・対応力や調整力が生かされたとも。「建設現場ということで、お客様の安全をどのように確保しながら楽しめるようルートを選べるかということや、スケジュールに間に合わせるよう準備を進めている現場の状況と、お客様の希望をどのようにすり合わせるか、といった調整に気を払いました」と話します。

「駅の建設現場はいましか見られないものですし、CAの訓練なども普段の空港では見ることができません。鉄道好きな方にはもちろん、交通インフラの裏側を見ていただけるのは、いい機会ではないかと思いました。安全輸送のための取り組みをぜひみていただきたいと思い企画しました」(横畑さん)