74年前の8月23日、アメリカの戦闘機「XF-85」が初飛行しました。

爆弾倉に格納可能な戦闘機


アメリカ空軍の戦闘機「XF-85」(画像:Insomnia Cured Here)。

 1948(昭和23)年の8月23日。「ゴブリン」の愛称で知られる、アメリカ空軍の戦闘機「XF-85」が初飛行しました。

 画像からわかるとおり、この戦闘機は極限までサイズゼロが突き詰められた、他にはない形状をしています。マルハナバチのような可愛らしい姿とも言えますが、さらに特異なのは、着陸するための脚をもっていないことです。

 XF-85は、1946(昭和21)年に登場した超大型爆撃機B-36を護衛するために開発されました。爆撃機は空中戦が苦手なため、目的地までに敵機からの攻撃を受けないよう、護衛が必要です。従来は戦闘機を護衛に付けることができていたものの、爆撃機の航続距離が長くなり、護衛の戦闘機が搭載燃料の問題から随伴が難しくなると、その解決策として「爆撃機の爆弾倉に格納して運ばれる」アイデアが考え出されます。こうして誕生したのが、「パラサイト戦闘機」XF-85でした。

 重さはわずか2.1t、長さ4.52m、高さ2.51mのミニサイズ。敵機の脅威がないところでは爆弾倉に入れられており、敵機が現れそうな空域では、空中に出され、護衛に就くというわけです。なお武装はブローニング12.7mm重機関銃を備えていました。

 なお、このような「パラサイト戦闘機」は20世紀初頭から研究されており、当初は軍用飛行船に「ブランコ」のように吊り下げられるなど、さまざまな方法が試みられました。しかし、「爆撃倉に積み込む」というコンセプトで作られたのはXF-85ぐらいです。

 新機軸で望んだXF-85の初飛行ですが、当初の不安どおり「うまく母機に収容できない」という問題が発生。解決に手間取っているあいだに空中給油の方法が確立され、護衛戦闘機を空中給油でサポートするという手段が一般的になっていきます。こうして「パラサイト戦闘機」はコンセプトのみで終わり、XF-85も試作のみで終了しました。