高速道路の料金所近くに、「降りるICを間違えた車 待機場所」との看板が立つところがあります。もし降り間違えた場合に、料金所を通り過ぎ、ここへいきなり駐車するのはNGです。余計な料金を払わずに済む正しい対処法を聞きました。

逆走、バック、絶対ダメ

 高速道路の出口料金所を通過した直後に「降りるICを間違えた車 待機場所」という看板を見たことはないですか。文字通り運転者が予定外のICで降りてしまった場合に、ここで係員を待つ一時駐車スペースです。が、この場所、いきなり駐車してはダメなのです。


「降りるICを間違えた車 待機場所」の例(画像:NEXCO中日本)。

 高速道路会社社員と工学博士の研究論文によると、日本のIC間の距離は約10kmと分析されています。もし降りるICを間違えると次で戻っても往復20kmがロス。実際に間違えて動揺した運転者が、無理やり予定のICから降りようとして逆走し、ニュースになった事例も過去にあります。

 降りるICを間違えた場合の対処で、NEXCO3社(東日本、中日本、西日本)が共通して訴えることは、まずは逆走やバックで予定のICに戻ろうとしないこと。重大に事故につながる最悪の選択なので、あきらめて次のICを目指しましょう。

 実はNEXCOの高速道路では、降りるICを間違えた運転者が申告すれば、いちど出口料金所を出て高速道路の外でUターンさせ、本来降りるべきICに戻す対応があります。降り間違いで失った時間は戻りませんが、余計に走った区間の料金は支払わずに済むのです。

 降りるICを間違えた運転者は、最初に料金所で「降り間違い」を伝えなければなりません。これには手順があります。NEXCO東日本の広報担当者は、こう話します。

「まず、最寄りのICで降りて下さい。レーンは、必ず一般レーンか、一般/ETCレーンを使ってください。ETCで高速道路に入っていた場合も、出口でETCレーンを通過しないでください」

 ETCレーンを通過すると、間違えたことを伝える前に料金決済が終わってしまいます。そのあとで、降りる予定だったICで対応するのは、東日本だけでなく、どの高速道路会社でも難しくなるようです。

「降りるICを間違えた車 待機場所」の意味は?

 一般レーンまたは一般/ETCレーンでいったん停止したら、係員にICを間違えたことを伝えます。有人であれば対面で。料金決済機が設置されている無人レーンの場合は、決済機の呼び出しボタンを押し、カメラに向かって話します。このやり方は全国、どの高速道路も同じです。NEXCO中日本の広報担当者が、その後の手順を説明します。

「係員に話し終わったら、指示に従って『降りるICを間違えた車 待機場所』に向かってください」

 出口料金所を出た直後に設置されている「降りるICを間違えた車 待機場所」は、この対応で通行料金の再計算といった手続きを待つためのスペースです。

 ICには常駐する係員がいます。待機場所に係員が駆け付けて、降りる予定だったICや氏名、ETCカードの番号などを聞き取り、間違えたICから予定のICに戻るための手続きをします。これには少し時間がかかるため、一般レーンに止まっていることはできないのです。

交通量の多い大型連休中の運転で、この待機場所を記憶している高速道路利用者もいるかもしれませんが、降り間違えた際、いきなり料金所を通過して、この待機場所に行かないようにしましょう。

 すべての手続きを終えると、再び高速道路に入ることができます。料金所を出た直後、通常はカラーコーンなどで入口出口が仕切られている転回路を通り、入口料金所から乗り入れて戻ります。ただ転回路がないなど、現地条件により運用が異なるので、係員の指示に従いましょう。


無人の一般レーンにある料金所精算機。降り間違えた場合はETC車も、この精算機のインターホンで係員に申告する(中島みなみ撮影)。

戻ったときもご注意!

 最後に注意すべきことがあります。

「予定のICにお戻りいただいた時も、一般レーン、一般/ETCレーンで料金所係員に申し出て下さい」(NEXCO西日本)

 間違えたICから降りる予定だったICの往復通行料金が請求されないのは、予定したICに戻り、係員に申告した場合だけです。係員による「降り間違い」の対応では、一般レーンでもETCで決済できます。ただし、途中で気が変わって予定したICに戻らなかった場合、あるいはETCレーンで出ようとした場合は「降り間違い」対応にはならず、利用区間通りの料金が請求されます。

 また、本線料金所のように通過するだけで転回スペースがない、出口料金所と入口料金所が別々の場所にある一部の有料道路では、NEXCO管轄の道路であっても、「降り間違い」に対応できない場合があります。