最小ですら150〜470億円の赤字に……。

JR側の接続駅は長者原もしくは原町


JR線内を走行する福岡市営地下鉄空港線の車両(画像:写真AC)。

 市営地下鉄の福岡空港駅から東へ約3kmの新線を建設し、JR福北ゆたか線に接続する構想について、糟屋・筑豊地区2市9町の要望を受けた福岡県が基礎調査を実施。その結果が公表されました。

 調査では速達性、利便性、事業性(コスト)に主眼を置き、接続するJR側の駅を長者原か原町と仮定。福岡空港〜長者原/原町間を最短で結ぶルートおよび中間駅を設けたルートの計4パターンについて、将来人口なども推計しつつ試算しました。なお建設期間は10年、開業は2040年度、新線区間の運賃は200円(JR九州相当)、300円(福岡市営地下鉄相当)、400円(西鉄バス相当)とされました。

 これによると、全てのパターンにおいて開業後40年間の収支採算性は赤字に。最も赤字額が少ないと試算された、最短ルートで原町駅に接続するルートでも、150〜470億円のマイナスでした。

 福岡県は結果を受け、試算は設定条件の変更により変動するとしつつ、「今後も議論を深めるためには、地下か地上かも含めた運行ルートや工法の精査、事業主体、需要量の拡大に向けた利用促進策の検討などが必要」としています。

 現在、飯塚市や直方市など福岡県中部から福岡空港へ鉄道で行くには、福北ゆたか線で一旦 博多駅へ行き、そこで市営地下鉄に乗り換える必要があります。なお試算において最大の時間短縮となったのは、長者原駅から中間駅を設けないルートであり、福岡空港駅までの所要時間は現行から23分短縮の「4分」でした。