蛯名調教師が手がけるアパパネの子アスパルディーコ。デビューを前にして「めちゃくちゃよくなった」
厳選!2歳馬情報局(2022年版)
第12回:アスパルディーコ
2010年に史上3頭目となる牝馬三冠を達成したアパパネ。その娘となる2歳馬がまもなくデビューを迎える。
美浦トレセンの蛯名正義厩舎に所属するアスパルディーコ(牝2歳/父ブラックタイド)である。
三冠牝馬アパパネの娘、アスパルディーコ
母アパパネの功績を改めて振り返ってみると、彼女は2009年夏にデビュー。初陣こそ3着に敗れるも、2戦目の未勝利戦から3連勝を飾ってGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)を制覇。2歳女王に輝いた。
そして翌年、3歳牝馬クラシックで躍動。GI桜花賞(阪神・芝1600m)で一冠目を獲得すると、GIオークス(東京・芝2400m)ではGI史上初となるサンテミリオンとの1着同着で二冠目を手にした。
秋には、GI秋華賞(京都・芝2000m)も快勝。牝馬三冠を遂げた。
さらに、4歳時にも女傑ブエナビスタとの死闘を制し、GIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)で戴冠。GI通算5勝を挙げた。
引退後も、繁殖牝馬として活躍。デビューした子どもたちは皆、複数の勝利を挙げ、2018年生まれのアカイトリノムスメは秋華賞を勝ってGI馬となった。
そんな名牝の子であり、兄姉がコンスタントに結果を残していることもあって、早くから注目を集めてきたアスパルディーコ。デビューを前にしての陣営の評価はどれほどのものなのか。関東競馬専門紙のトラックマンが、母アパパネの主戦でもあった蛯名調教師に話を聞いた。
「アスパルディーコについて、蛯名調教師は『相当期待している』と息巻いていました。同馬の調整ぶりを見ながら、『本当は自分が騎乗して感触を確かめたい』と話すほど。いずれにしても同馬に対する評価は高く、『このまま順調に(調整が)進めば、走る馬になるのでは』と目を細めていました」
アスパルディーコについて、手放しで称える蛯名調教師。そこには、ここ数カ月での目覚ましい成長ぶりがあるという。トラックマンが続ける。
「5月に入厩してゲート試験を受けたのですが、当時は460kgほどの馬体重で、『華奢な印象だった』とスタッフ。それが、放牧を挟んで夏にトレセンへ戻ってくると、馬体重が20kg以上増加し、『体もしっかりして、めちゃくちゃよくなった』そうです」
デビュー戦は8月27日の2歳新馬(新潟・芝1600m)を予定。田辺裕信騎手が手綱をとるという。
ジョッキーとして、アパパネとのコンビで牝馬三冠を遂げた蛯名師。今度は調教師として、その子アスパルディーコとどんな物語を紡ぐのか。まずは初陣の走りに注目したい。