大阪桐蔭vs履正社 やはり2年生世代NO.1の投球。大阪桐蔭・前田悠伍を覚醒させた重心の掛け方

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やはり2年生世代NO.1の投球。大阪桐蔭・前田悠伍を覚醒させた重心の掛け方

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<第104回全国高校野球選手権大阪大会:大阪桐蔭7−0履正社>◇30日◇決勝◇大阪シティ信用金庫スタジアム

 大阪桐蔭が完封勝利で2年連続の甲子園出場を決めた。今大会は54得点を挙げ、わずか1失点という圧巻の試合内容で頂点に立った。今回は頼みの男が復活した姿を見せてくれた。それが前田 悠伍投手(2年)だ。決勝戦のマウンドに登った前田は8回無失点の好投を見せた。

 その投球は、まさに2年生世代NO.1という評価に相応しいものがあった。

 5回戦の東海大大阪仰星戦では4回無失点もやや制球を乱し、138キロにとどまり、らしさを欠いたが、中3日でしっかりと修正できていた。修正点は重心の掛け方だ。東海大大阪仰星戦では両足ともに踵重心になっていた。

「踵重心になったことで、体が反る形となって、バランスを崩して投げる形となっていましたので、まずはしっかりと立つこと。その時から体を反らさないように意識すること。体重移動は気持ち一塁側で、やや突っ込むイメージで投げました」

 調整日の投球練習の際に動画を撮影してもらいながら、修正を図ってきた。球場に向かう途中で、先発を告げられた前田は「準決勝では投げさせるつもりはないといわれていましたので、そのつもりでした」と待ってましたといわんばかりに準備を行った。試合前の投球練習でも「だいぶよくなっていました」と手応えをつかんでマウンドに臨んだ前田は快投を見せる。

 立ち上がりはコントロール重視で最速138キロ程度であった。1死からヒットを浴びたが、抜群の牽制技術で走者を刺した。その牽制は、湖北ボーイズの先輩・横川 凱投手(大阪桐蔭ー巨人)を彷彿とさせる牽制だった。前田は横川に憧れ、尊敬している投手と語り、「自分の牽制技術はまだまだですが、いずれはそういう牽制ができるようになりたいですし、さらには横川さんを超える投手になりたい」と意気込む。

 初回を無失点で抑えたことでエンジンがかかった前田は2回からみるみる球速を上げ、2回と5回に最速147キロをマーク。3回以降も力を入れた時は当たり前のように140キロ台を計測する。前田はカウントを取る時は130キロ中盤〜後半だが、フルスロットルで投げた時の140キロ後半の直球は明らかに勢いが違って、ベース上でぐっと伸びてくる。

 リードする松尾は「かなり勢いがありました。下半身をしっかりと使って投げることができていたと思います」と捕手から見ても、投球フォームに躍動感があった。前田は投げるポイントとして、リリースまで脱力し、リリースの瞬間に100の力を入れることを大事にしている。5回戦ではそれができなかったが、明らかにフォームの躍動感、リリースの安定性が違うので、ほぼベストピッチングに近かった。先発投手ながら、平均球速139.56キロと、高校2年生左腕ではトップレベルの球速だった。

 さらに120キロ中盤〜120キロ後半のスライダー、110キロ前後のカーブ、120キロ前後のチェンジアップ、130キロを超えるカットボールといずれも高水準で、すべて低めに集めることができるため、空振りを奪うことができた。8回を投げ、7奪三振。大会通じて、13回無失点と圧巻の投球成績を示した。

 この日の投球に大きな手応えを感じていた前田。自分が表現したい球を投げることができれば、全国クラスの打力を誇る履正社打線も圧倒する。

 センバツでは圧巻の投球を見せてくれたが、この夏も世間を騒がせる投球を見せてくれるに違いない。

前田の各イニングの最速

1回 138キロ2回 147キロ3回 145キロ4回 145キロ5回 147キロ6回 140キロ7回 142キロ8回 143キロ

(文=河嶋 宗一)