ベランダや軒先に作られていることが多いツバメの巣。ヒナが顔を出すとかわいらしいですが、糞などが落ちてきてどうしても汚れがでます。そのため、できるだけ自宅に巣を作られたくないという人も多いでしょう。今回は、ツバメに巣作りされないための対策や巣作りされた場合の対処法についてご紹介します。

ツバメに巣作りされると起こる被害

親鳥が小さなヒナを育てている様子はとても微笑ましいものです。子どもの頃はツバメの巣を見つけるとうれしくなった人も多いかもしれません。しかし、実際にツバメが自宅に巣を作られると、以下のような被害が起こる可能性があります。

糞害
ツバメの巣作りの一番大きな被害といえるのが糞害です。ツバメは子どもが巣立つまで巣で過ごし、ヒナが巣立つと親も巣を離れて飛び立っていきます。子育てをしている間は親鳥が巣の近くでも糞をするため、巣の下は糞で汚れます。見た目も悪い上に臭いも放つようになり、日々の掃除は欠かせません。

草や泥が落ちてくる
ツバメは唾液と草を混ぜて壁につけ巣作りするため、その最中は草や泥を敷地内に運び込まれます。さらに、巣の作り初めは壁に泥が付きにくく、下に草や泥が落ちやすいでしょう。巣の下が草や泥で汚れてしまうので、巣の下を歩くときは注意しなければなりません。また、見た目にもよくないため、掃除は必須です。

カラスやヘビ、虫が寄ってくる
ツバメの巣作りよる被害は、自宅が汚れることだけではありません。ツバメのヒナを狙ってカラスやヘビなどが近づいてくるという被害もあります。特に、ヘビは人間にとっても危険な生き物で注意が必要です。

また、巣から虫が湧くこともあります。害虫やダニなどの発生源となる可能性もあります。

ツバメに巣作りさせないための対策

ツバメの巣があると困るものの、小さなヒナを育てている巣を移動させたり壊したりするのは気が引ける人も多いかもしれません。また、卵やヒナがある状態で巣を壊すと法律違反になってしまう可能性もあります。

そのため、糞害などが起こらないようにするためには、巣を作らせないように対策をすることが重要です。ここでは、ツバメの巣作り対策について解説します。

ツバメの巣を作れるスペースをなくす
ツバメに巣を作らせないためには、巣を作れるスペースそのものをなくすことが効果的です。ツバメは巣を作る際に、コンクリートなど足を引っ掛けやすく巣作りをしやすい場所を選びます。そのため、足場になるような場所に障害物を置くと思うように巣作りができなくなります。

障害物の例として、養生テープやガムテープがあります。表面がツルツルしているこのようなテープの上では、ツバメはうまく留まることができません。足場が不安定なだけではなく、テープの上に泥をつけることもできないため、巣作りを避けられるでしょう。

また、巣を作れる場所に侵入されないように紐やテグス、テープを垂らすのも効果的です。狭い間隔で紐が垂らされていると、紐がツバメの翼に当たり、その場所に近づけなくなります。テグスであれば透明で目立たないため、家の外観を損ねません。

光るものを設置する
鳥はキラキラしたものを嫌うため、ツバメを近寄らせないように光るものを設置することも一つの方法です。使わなくなったCDやアルミホイルなど光を反射させながら揺れるものをぶら下げてみましょう。短尺状に切ったアルミホイルを狭い間隔で吊り下げておくこともおすすめです。

ただ、光るものにツバメが慣れてしまう場合があるため、効果を感じなければ違う方法を試してみてください。

鳥よけネットを張る
狭い範囲では紐などの障害物でもよいのですが、ベランダなどの広範囲に及ぶ対策をする場合は、鳥よけネットを活用しましょう。鳥よけネットは鳥を傷つけることなく侵入を防げるネットで、透明で目立ちにくいタイプも販売されています。ベランダやバルコニーなどに有効な方法です。

カラスやヘビのおもちゃを置く
ツバメの天敵であるカラスやヘビのおもちゃを置くとツバメが近寄りづらくなります。そもそも、ツバメが人間の住む玄関やベランダに巣を作るのは、天敵であるヘビやカエルがいない場所を選んでいることが一つの要因です。

したがって、おもちゃであってもヘビやカエル、カラスのおもちゃを置くと、その場所での巣作りは諦めさせられます。

すでにツバメが巣作りをしてしまったら

ツバメに巣を作らせないことが一番ですが、すでに巣ができあがっていることもあります。その場合はどうすればよいのか、対処法について解説します。

卵やヒナがいるのに巣を撤去するのは違法
ツバメの糞や泥汚れに悩まされていると、撤去したくなるでしょう。しかし、卵やヒナがいる状態でツバメの巣を撤去すると鳥獣保護管理法違反となります。

鳥獣保護管理法とは、鳥獣の保護や管理を適切に行い、生物の多様性を確保する法律で、正式名称は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」です。この法律によってツバメをはじめとする鳥獣は保護されているため、違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

参照元:公共財団法人日本野鳥の会「ツバメをまもろう」

糞受けを設置する
ツバメの巣の撤去ができなくても、糞が落ちてくるのは避けたいものです。それが人の通り道の場合はなおさらです。糞を下に落とさないようにするためには、糞受けを設置しましょう。

簡易的ですが、ダンボールや新聞紙を下に敷いておけば床を汚さずに済み、取り替えも簡単にできます。また、要らなくなった傘を逆さにして巣の下にぶら下げれば、糞が床に落ちる前にキャッチできます。ほかにも、竹やワラ、板などをツバメの巣のすぐ下に吊り下げる、といった工夫をしている人もいます。

糞受けは市販の受け台もあるため、自作できない人は専用商品を購入しましょう。巣のすぐ下に吊り下げれば、床だけではなく落下途中に壁を汚してしまう心配もありません。

怖がらず見守る
ツバメが近くにいると気になるのが衛生面や感染症についてではないでしょうか。鳥から人へ感染する病気の一つに鳥インフルエンザがありますが、公共財団法人日本野鳥の会によると鳥インフルエンザがツバメから人にうつることはないとされています。

ただ、糞が落ちてくると見た目も悪いうえに虫が湧く可能性もあるため、定期的に掃除をして清潔に保ちましょう。掃除さえきちんとしておけば、衛生面ついて心配することはありません。もしツバメが巣を作っていても、必要以上に怖がらずにその成長を見守ってあげましょう。

参照元:公共財団法人日本野鳥の会「ツバメをまもろう」

まとめ

ツバメの巣が作られると糞の掃除が必要で面倒に感じることがあるかもしれません。しかし、糞やツバメ自体から人に鳥インフルエンザがうつることはないため、必要以上に怖がらなくてもよいでしょう。

ツバメに巣を作られたくないという場合は、これまでご紹介した対処法を参考にしてみてください。家にある紐やアルミホイルなどでも巣作りを回避することができます。もし、巣作りをされて卵が生まれていたら、巣を撤去することはできません。糞の掃除をしながらヒナの成長を見守っていきましょう。