右折レーンの“右”に直進レーン!? 名古屋の複雑交差点なぜできた ぶつからないの?
直進レーン、右折レーンの右に、さらに直進レーンがあるという名古屋市内の交差点が話題に。この変則的な車線配置、実はバスのために設けられたものです。
「名古屋の嫌なところ」? ならではの車線配置
「名古屋の嫌な所が全て詰まってる」
このようなメッセージとともに、ある交差点の写真を掲載したツイートが2022年7月13日に投稿され、1.4万件のいいねが寄せられるなど、話題になっています。
その写真は、交差点の右折レーンの右側、つまり中央分離帯側に「直進」レーンがあるというもの。「一瞬『えっ?』てなった」「初見殺しな交差点…」といったコメントのほか、「この道のトラップは1番右のレーンで直進すると、真正面は対向車線になってるとこにもあります」と、事情を知る人の声も見られます。
名古屋市内、右折レーンの右側に直進レーンがある箇所の例(Googleストリートビューの画像を加工)。
この写真は、名古屋市内の路線バスのなかでも、「基幹バス」と呼ばれる系統が走る通りの交差点を写したものです。
基幹バスは大津通と出来町通で、道路の中央部に設けられたバスレーンを走ります。この「中央走行区間」では、バス停も道路脇ではなく中央部に設けられており、交差点の横断歩道からバス停に向かう構造となっています。
このため、バス停がない交差点では、投稿された写真のように、右折レーンの右側に直進のバスレーンが並ぶ箇所があります。バス停のある交差点では、バスは停留所の右側を走行するため、あたかもバスレーンが中央分離帯を越えて反対車線側にせり出すように見える箇所があるのです。
右折と直進、ぶつからない?
基幹バスのシステムは1980年代に構築されました。路面電車のような構造をバスの走行環境に応用したシステムといえ、バスレーンを道路の中央寄りに設けることで、バスが路上駐車車両や左折車両などの影響を受けずに走れるため、定時性の確保につながっています。
ただ、慣れないクルマのドライバーなどは戸惑ってしまうかもしれない、というのは、名古屋市交通局も以前の取材時に認めたところ。バスレーンを走行していた一般車両が交差点から誤って反対側のバスレーンに進入してしまう事例もあったことから、バスレーンは上下線別にカラー舗装で明示されています。
なお、このバスレーンは朝夕は「バス専用」であるものの、それ以外の時間帯は「バス優先」なので、一般車も走行できます。
基幹バスレーンは朝夕を除き一般車も走行可(乗りものニュース編集部撮影)。
ちなみに、この中央走行区間で片側4車線以上の交差点、つまり、右折レーンの右側に直進のバスレーンが配置されるような箇所は、左折・直進・右折ともセパレート信号(矢印信号)で制御され、右折車とバスレーンを直進するクルマが交錯しないようになっているといいます。