電車は一般的に、線路上空の「架線」にパンタグラフを当てて電気を得ますが、この架線、鉄道業界では「がせん」と呼びます。辞書を引いても「かせん」との読み方ですが、なぜ濁らせるのでしょうか。

架線=がせん? かせん?

 多くの電車は線路上空に張られた電線から電気を得て走行します。この電線は一般的に「架線」と呼ばれ、読みは「かせん」です。


電車はパンタグラフを架線に当てて電気を得る(伊藤真悟撮影)。

 しかし鉄道関係者と話をしていると、しばしば「がせん」との読み方が聞かれます。線そのものだけでなく、架線を支える架線柱も「がせんちゅう」といった具合です。

 ただし辞書類での読みは「かせん」で、濁る読み方は少なくとも一般的な辞書では確認できません。なぜ「がせん」なのでしょうか。

 ある鉄道関係者によると、「河川」との混同を避けるための業界用語だそうです。これが重要になるのは、たとえば無線のやりとり。「河川の架線が……」といったときに「かせんのかせん」では分かりづらいわけです。

 鉄道に限らず、無線を多用する業界では、こうした読み方を変えた用語は多々あります。