日本橋前後に架かる首都高を撤去し地下化する工事が進んでいます。まずは1年前に閉鎖された江戸橋、呉服橋出入口の橋を撤去。これにより、日本橋川に青空が「1割」戻ります。完全撤去はいつになるのでしょうか。

日本橋区間の撤去工事が進む首都高

 首都高の橋で覆われた日本橋川、そこから見える青空が、少しずつ広くなっています。
 
 2022年6月24日(木)、首都高速道路は日本橋区間地下化事業の現場を報道陣へ公開。同区間では、一部の橋の撤去工事が進んでいます。


首都高が架かる日本橋を望む。写真左上は旧江戸橋入口ランプの一部が撤去された断面(中島洋平撮影)。

 この事業は、C1都心環状線の日本橋前後の区間約1.8kmを地下化し、川の上に架けられた既存の道路を撤去するものです。その手始めとして、2021年5月に江戸橋・呉服橋の両出入口が閉鎖。現在はその出入口ランプの撤去工事が進められています。

 今回は日本橋のたもとから船に乗り、橋桁を撤去する様子を見学。旧江戸橋出口ランプの1径間分(橋脚と橋脚のあいだ)の橋桁を、3時間半かけ少しずつ、待ち受けている台船まで下ろす作業の最中でした。

 船から見る日本橋川の姿は、橋脚が林立し、その上を橋桁が覆う、ジャングルとも呼ぶべきものでしたが、橋桁が撤去された部分からは陽の光が降り注いでいました。橋桁が1径間分だけでもなくなると、これだけ空が見えるのか、と思うかもしれません。

「江戸橋、呉服橋出入口のランプを撤去することで、日本橋区間全体の橋桁の1割がなくなります。青空が1割戻る、といったところでしょうか」。首都高の担当者はこう説明します。ランプの撤去工事は2023年度まで続くそう。

 ただ、その後の日本橋川は少なくとも2035年までは、「青空が1割戻った状態」のままとなります。

日本橋に青空、いつ戻る?

 江戸橋JCT付近から神田橋JCTまでの首都高を代替する地下トンネルは、日本橋川北岸から川を横断し、南岸の川沿いの地下を貫きます。いわば現在の本線に対し蛇行するような線形になります。

 現在の本線は、地下トンネル建設中も供用されます。しかし、トンネル建設にあたり江戸橋、呉服橋出入口ランプの橋脚がどうしても支障してしまうことから、まず両出入口を撤去するというわけです。

 そのトンネルは2024年度に着工し、2035年度の完成見込み。交通を切り替えたのちに、川の上の本線部分を撤去することになります。事業が完了する2040年、ようやく日本橋川が完全に青空を取り戻します。


橋桁をゆっくりと降下させて撤去する(中島洋平撮影)。

 船の上で、首都高の担当者がこう教えてくれました。

「地下トンネルは今いるあたり(日本橋の東側)で川を横断し、さきほど船に乗った日本橋のたもとの桟橋(滝の広場)あたりに取りつきます。反対側に建つ白いビル(国分ビルディング)の地下を通りますが、あのビルも再開発のため取り壊されます」

 日本橋川周辺は、国家戦略特区の都市再生プロジェクトに位置付けられ、再開発が進められています。日本橋区間の地下化は、老朽化した首都高の大規模更新に位置付けられているものですが、こうした街の再開発と一体でなければ不可能だといいます。