100年前の6月21日、現在の四日市あすなろう鉄道内部線が全通しました。

線路幅がわずか76cm


四日市あすなろう鉄道の車両(画像:写真AC)。

 今からちょうど100年前の1922(大正11)年6月21日。現在の四日市あすなろう鉄道内部線の小古曽〜内部間が開業し、全通となりました。

 この路線は線路幅がわずか762 mm。JR在来線などが採用する狭軌(1067mm)と比べるとかなり狭く、電車もロングシートで向かい合った客同士の足が当たりそうな狭さ。これはいわゆる「ナローゲージ」と呼ばれる特殊狭軌で、軽便鉄道法の下で建設された「軽便鉄道」に分類される、比較的簡易的な設備による鉄道となります。

 内部線の起こりは1915(大正4)年に開業した三重軌道です。1910(明治43)年に施行された軽便鉄道法は、それまでの私設鉄道法よりも許認可のハードルが低いため、各地で軽便鉄道が生まれました。三重鉄道もこれを機に鉄道事業の認可をうけ、三重軌道の路線を引き継ぎ、現在の八王子線から分岐する形で、日永から南へ延伸していきます。そしてついに内部までが開業したのです。

 その後三重鉄道は終戦直前に三重交通に合併。1965(昭和40)年にさらに近鉄に吸収されて「近鉄内部線」となっていました。2015(平成27)年に鉄道施設が四日市市に譲渡され、近鉄と四日市市の出資による第三セクター「四日市あすなろう鉄道」が列車を運行する形に移行し、現在に至ります。
 
 かつては各地で見られた「ナローゲージ」も徐々に数を減らし、現在も旅客営業を行っているのは、四日市あすなろう鉄道(内部線・八王子線)と、同じ三重県内を走る三岐鉄道北勢線、富山県内を走る黒部峡谷鉄道のみとなっています。