ゲーム依存症だった人の体験談「トイレを極限まで我慢」「明け方までプレイして会社休む」
大変なことになった。とうとう丸々1か月もゲーム機の電源を入れることができないままになっている。なんかもう、億劫なんだよね、もうすぐ38歳になるし、いいおっさん。ゲームをする馬力がだいぶ乏しくなってしまった。
無理して起動さえすれば、1時間か2時間は遊べちゃうんだけど、電源を入れるという、たったそれだけのことがめんどくさくなっている。五月病が続いているだけならいいんだけども。
しかし、そんな僕も昔はがっつりゲームに没頭していた。そして世の中には、ゲーム依存症と言っても差し支えない人も多い。今回は、ゲーム依存症、あるいは元依存症だったという人たちの話を紹介していきたい。(文:松本ミゾレ)
「友達と遊んでる時も、ゲームでアレとアレができるじゃんって思考になってた」
先日、ガールズちゃんねるに「ゲーム依存症の(だった)方」なるトピックが登場していた。このトピックを立てた人物は現在まさにバリバリのゲーム依存症。
休日は食事を忘れるほどゲームに時間を費やし、そのせいで徹夜で仕事に行くこともあるほどなのだとか。
トピックにはさまざまなゲーム依存症の方の声が寄せられている。ちょっと紹介していきたい。
「毎日10時間『FF14』やってるわ」「他に趣味もなく、ただただゲームに没頭してる感じです」「FPS止めれないんだけど」「恥ずかしながら明け方までプレイして会社休んだこともありました。しかも今(20年後)では内容もよく憶えてない。もっとやることあったんじゃないかなーって今なら思える」「今は抜け出せたけど、一時本当にヤバかった。睡眠時間削って何時間もぶっ続けでやってたし、トイレも極限まで我慢してた。出掛けたり友達と遊んでる時も、この時間があればゲームでアレとアレができるじゃんって思考になってた。常にレベルや装備等を完璧にしなければ! って強迫観念に囚われて最早娯楽や趣味じゃなくなってたわ…」
と、こんな具合で、現役でまだゲーム依存まっしぐらって人もいるし、元依存症って人もいる。いずれも、異常なのめり込みを見せているというのが共通項と言えるだろう。
やり過ぎて目が真っ赤、さらに毛が抜けるまでゲームに没頭していたあの頃
かく言う僕も、今でこそ情熱はだいぶ下火になり、残った熱がかろうじて残っているという状況。直近では『エルデンリング』を遊んだが、全クリ直前で止めている。クリアする前に、なるべく色んなアイテムを集めておこうと思うだけ思っておいて、そのうちに……という塩梅だ。
だが、かつては相当ゲームに熱中していたのも事実。特に中学1年から2年ぐらいのときは我ながら酷かった。学校から帰ったらすぐに初代プレステの電源を入れて『ゼノギアス』や『ウィザードリィ リルガミンサーガ』を、それこそ宿題もせず風呂だけ浴びて、飯も摂らず朝までプレイしていた。
そのうちにだんだん「これ、学校に行かなければもっと遊べるよな」となり、無断欠席すらするようになった。
断っておくと、中学校は大好きだったし、学校に行きたい気持ちも強かった。だけど、その気持ちよりも「バイヤーのあかし」とか「氷の鎖かたびら」とかを集めるほうが楽しいと感じてしまっていたのである。
それと『バイオハザード3』が出てからは、お定まりのタイムアタックに挑むようになり。本当にノンストップでノーセーブクリアを何度もやって、高ランククリアを下手なりに目指していくようになった。あれも結構な時間泥棒。おまけモードの「THE MERCENARIES」もアホみたいにプレイしたものだ。
……そうやってずぅっとブラウン管を何時間も凝視していれば、いくら若くても神経がおかしくなってくる。ある時期から僕は四六時中目が赤く充血するようになり、寝ればそれも治るのに寝ないものだから、とうとう片方の白目部分の出血の痕が大きくなり、そのまま茶色くなってしまった。
さらに深刻だったのが、神経性の脱毛症。本人は楽しんで遊んでいるつもりでも、色んなストレスが無意識に溜まっていたようで、一時期なんて頭頂部付近に複数の10円ハゲが出来て、それらが広がってぷよぷよみたいに繋がってしまった。幸い、学校の友人たちは、明らかに僕のハゲに気付いているのに、一切触れずに遊んでくれた。今思うと、よくみんな指摘するの我慢したよなぁ。
流石にこういう状態になってしまえばゲームも控えるべきだったんだろうけど、皮膚科で処方された変な匂いの薬を頭に塗りながらも、なおゲームは止めなかった。結果として最初に出来たハゲは治るまで2年ほどかかったし、高校ではバッチリ「こいつハゲとるやないか」とネタにされてしまったし、アレって一度発症すると定期的にまた出来るハゲなので随分苦労した。
30歳になるぐらいまで、いっつもハゲが頭のどこかに出来ていた気がする。よくそこまで熱中するだけの気持ちがあったなぁと。その熱量って凄いものだ。若さの無駄遣い。
現在目にするゲームって僕が中学生だった頃のものよりも随分面白いものだらけ。でも、もう今はその面白さを全身で浴びるように楽しむことが難しい。
『エルデンリング』なんて、反射神経も必要なものだから、1時間もすると集中力が切れて凡ミス連発。しかも目も疲れるのか、終わってみれば眼球は白目部分が必ず真っ赤だった。老いですよ、老い。老いさらばえてるんですよ。
昔のような、徹夜に耐えうる体力も、少々体が悲鳴を上げても気のせいということにして遊び続けることができた精神力も、もう枯渇してしまった。残念でならない。