子育て世帯に人気の千葉県流山市の中心となる流山おおたかの森駅近くに2022年春、新しい複合商業施設が誕生しました。さらに夏には既存ショッピングセンターのアネックスが開業する予定もあり、駅前でなんでもそろう利便性はさらにアップします。働く子育て世帯にうれしい街の様子を見ていきましょう。

流山おおたかの森駅前。2007年に開業した流山おおたかの森S・C(写真左)に始まり、続々と新しい商業施設が誕生してきました(筆者撮影)

2005年以来、年々変化してきた流山市

2005年のつくばエクスプレス開業からすでに17年。沿線の街はそれぞれに変化してきましたが、そのうちでも最も認知度がアップし、大きく変わったのは千葉県流山市でしょう。開業時は県外の人にはあまり知られていない自治体でしたが、2010年度に首都圏の駅に張り出された「母になるなら、流山市。」のポスターで一気に話題になり、以降、子育て世帯には人気の街となってきました。

多くの自治体の人口が減少に向かう中、流山市では右肩上がりで人口が増加しているのが分かります(出典/流山市ホームページ)

実際、流山市ではこの10年間で人口が約3万8000人増加し、そのうちでも35~39歳代の人口が最も増えています。4歳以下の子どもの数も増加。合計特殊出生率も全国平均1.33のところ、流山市では1.55と全国平均を上回っており、子育て世帯の流入が目立って多いことが分かります。

中心となるのは交通利便性の高い流山おおたかの森駅

つくばエクスプレスだけでなく、東武アーバンパークラインも利用でき、最近では高速バスなども運行されています(筆者撮影)

その流山市の中心となっているのが、つくばエクスプレスの流山おおたかの森駅です。同駅は秋葉原駅から快速で6駅、約25分と都心に近く、大宮など埼玉方面、柏、船橋など千葉方面へ向かう東武アーバンパークラインも使えます。

2021年10月からは流山おおたかの森エリアと東京駅を結ぶ高速バスの運行も始まり、座って乗り換えなしで移動できると話題になっています。車内でWi-Fiが使え、トイレもあるので移動時間が有効に使える移動手段というわけです。

流山おおたかの森駅の口コミや住みやすさを「TownU(タウニュー)」でチェック(無料・登録不要)

商業施設が続々誕生

2022年4月にオープンした「COTOE(コトエ)流山おおたかの森」。敷地内には駐車場を挟んで2棟の建物が建っています(筆者撮影)

その流山おおたかの森駅周辺に2022年、2つの商業施設が誕生します。

ひとつは「COTOE(コトエ)流山おおたかの森」。つくばエクスプレス流山おおたかの森駅の西側に位置し、駅からは歩いて約4分。4月27日にオープンしており、食品スーパー「ロピア おおたかの森コトエ店」や家電量販店「コジマ×ビックカメラ COTOE流山おおたかの森店」、ベビー・キッズ・マタニティ⽤品の専⾨店「西松屋 コトエ流山おおたかの森店」、「餃子の王将 コトエ流山おおたかの森店」などの飲食店が入った2棟からなる複合商業施設で、まだ入居していない区画もあるものの、最終的には40数店になる予定です。

コトエ流山おおたかの森の隣にはスパも同じタイミングでオープンしていました。新しい楽しみの場になりそうです(筆者撮影)

2022年6月にも新商業施設がオープン

建物はほぼ完成していた流山おおたかの森S・C ANNEX2。6月下旬オープン予定で、地元では期待の声も多いようです(筆者撮影)

さらに、6月下旬には「流山おおたかの森S・C ANNEX2」の開業も予定されています。すでにキーテナントとして1階には生鮮食料品の「角上生鮮市場」、2・3階に家具・インテリア・日用雑貨の「ニトリ」、4階に100円ショップ「Seria」が入ることが公表されています。

流山おおたかの森駅では、15年前の2007年に最初の商業施設「流山おおたかの森S・C」ができています。同施設を運営する東神開発株式会社はそれ以来駅周辺に6施設を開業、1施設の運営会社を取得しており、現在では 8施設を管理運営するに至っています。6月に新たな施設ができれば9施設。この15年間で少しずつ店が増えてきたのです。

最初の流山おおたかの森S・Cは開業時で約140店舗と規模が大きく、話題になりましたが、それ以外は大きくても30店舗以内、小さなビルだと10店舗以下ですから、地元の人以外は店舗が増えていたことは知られていないかもしれません。ですが、流山おおたかの森駅周辺は日々進化していたのです。

子育て支援施設、クリニックに公園なども

6月開業の流山おおたかの森S・C ANNEX2と道を挟んで向かい側にあるハナミズキテラスには学習塾やクリニックなどが入っています(筆者撮影)

駅周辺にあるのは商業施設だけではありません。これらの商業施設の中には郵便局や映画館、フィットネスクラブ、保育所、学童保育、学習塾にデイサービス、シェアオフィスなども入っており、駅周辺でほとんどの用事が済ませられるようになっているのです。

流山おおたかの森S・Cのすぐ近くにある流山おおたかの森メディカルモール。これ以外にもクリニックは点在しており、選択肢は豊富です(筆者撮影)

商業施設とは別に皮膚科や小児科、産婦人科、メンタルクリニックなどの入ったメディカルモールも駅前にあります。それ以外のクリニックも含めると駅の近くにはいくつもの医療機関があり、選択肢は豊富です。 

北口にあるスターツおおたかの森ホール(写真中央)の2階には市役所の出張所、観光案内所が入っています(筆者撮影)
住民票の取得など、市役所まで行かなくても駅前で用事を済ませることができます(筆者撮影)

また、駅北口からペデストリアンデッキでつながるスターツおおたかの森ホールの2階には、市役所の出張所であるおおたかの森市民窓口センターがあり、住民票やパスポートの取得など役所での手続きが行えるようにもなっています。

駅前には送迎保育ステーションも

流山おおたかの森の駅前送迎ステーションは東口にある商業施設ライフガーデンの3、4階に設置されています(筆者撮影)

流山市の子育て支援策では独自の駅前送迎保育ステーションが知られていますが、これも駅を起点にしたもの。駅前に送迎保育ステーションを設置、ここから市内の指定保育所(園)にバスで園児たちを送り、登園・降園できるというものです。親は通勤で駅に向かうと同時に子どもを保育園に送ることができるようになり、手間も時間も省けます。

近くの保育園の定員に空きがなくても、ほかの保育園が利用できるのも送迎保育ステーションの大きなメリット。このサービスによって離れた場所にある保育園にも通わせることができるため、待機児童解消にも役立ってきているわけです。最近ではさいたま市が追随し、同種のサービスを始めましたが、流山市では2007年に流山おおたかの森駅、南流山駅でスタート。駅前の価値を高めています。

公園、自然もいっぱい

商業施設があるエリアから道1本挟んだところにある西初石近隣公園(おおたかの森駅南口公園)。子どもたちにとっては思い切り走り回れる場所です(筆者撮影)

駅近くにはキャッチボールやサッカーもできる、大きな芝生の公園「西初石近隣公園(おおたかの森駅南口公園)」もあります。

周囲を散策できるように整備された市野谷水鳥の池。聞いたことのない鳥の鳴き声がしていました(筆者撮影)

ちなみにその隣には国が絶滅危惧種に指定しているセイタカシギをはじめとするさまざまな水鳥が生息、飛来する市野谷水鳥の池があります。ここは調整池として整備される予定でしたが、そうした動物の生息等が確認されたため、段階的に整備を行い、豊かな生物生息環境の保全を行ったもの。駅近くにこうした自然も残っているのは、流山市の魅力のひとつでしょう。
 
その流れで言えば、おおたかの森という地名、駅名もこの地に生息していたオオタカにちなんだもの。近年利便性の高さからの人気に目が行きがちですが、実はそれだけではないのがこのエリアというわけです。

駅前の広場も街の魅力のひとつに

駅の前に多くの人が集まれる広場があるのは日本ではめずらしいこと。階段もまるで舞台のようになっており、イベント開催時には座席としても使えそう(筆者撮影)

もうひとつ、この駅の大きな特徴は駅前に南口都市広場という広場があること。ヨーロッパに行くと古い街では中心部に大きな広場があり、週末になるとそこでマルシェが開かれるなどで市民が集まっていますが、日本ではそのような造りになっている街はそれほどありません。ところが、流山おおたかの森は駅前に人が集まれる空間が設けられており、それを利用してグリーンフェスティバル、森のナイトカフェなどとさまざまなイベントが開催され、にぎわっています(コロナ禍で近年は中止されていました)。

駅前を評価する声多数
駅前に行けばなんでもある、人にも会えるというわけで、働く人にとっても非常に便利というわけです。実際、TownU(タウニュー)で流山おおたかの森駅の口コミを検索してみると、駅前の便利さをこの街の大きな特徴として挙げる声が多数出てきます。そのうちから、いくつかを紹介しましょう。

駅高架脇の緑。駅前の公園内にも緑が多く、ベンチも用意されているので駅前でおしゃべりをしている人などもよく見かけます(筆者撮影)

つくばエクスプレスの快速が止まるので、都心までのアクセスが良い。緑が多く街並みが綺麗で、同時に駅周辺の開発が進んでおり次々と新店舗がオープンしているのでお買い物や外食には困りません。また、行政が「子育てをするなら流山」を掲げているので、子育て支援センターや児童館等が充実しており、ファミリー世帯が多いのでお友達もできやすい環境です。(39歳女性 2021年時点)

都心に近い割に、自然豊かで公園も多い。また、常磐自動車道のインターチェンジやつくばエクスプレスの駅も有り、都心への通勤通学も非常に便利。(58歳男性 2021年時点)

つくばエクスプレスが通っているため、都内へのアクセスが良く、電車を用いた通勤やレジャーに便利な点。 子育て世代が多く保育施設が充実しており、仕事が続けやすい点。 駅直結の商業施設や映画館など買い物がしやすい環境が整っている点(29歳女性 2021年時点)

西口の2棟の商業施設。右側のアゼリアテラス1階のベーカリーは行列ができるほどの人気店とか(筆者撮影)

まず、買い物が便利。ショッピングセンターもあり、色々充実している。病院、美容院もたくさんあるし、レストラン、カフェも満足する数あると思う。広い公園もあるから、子供ものびのびと育てやすいのが、住みやすいポイントです。(28歳女性 2021年時点)

駅には4方向に出入口がありますが、当初は南口のショッピングセンターが目立っていましたが、現在ではどの方向にも広場が整備され、商業施設などもバランスよく配置されています(筆者撮影)

駅前の開発が、一気にではなく少しずつ進んでいて、地域住民の現状をよく反映できているように思う(市長自身が都市デザイン経験があるからだと思います)。近隣の柏、松戸などと比較して、駅周辺の日常の買い物・特別な買い物・ショッピング、医療、教育、それらの利便性と自然環境の共存という点でも、満足だった。(42歳女性 2018年時点)

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こうした意見は現在流山市に住んでいる人たちも同様に感じています。「ながれやま まちづくり達成度アンケート令和2年度」の結果によれば、現在流山市に居住する人の92.2%が「住み続けたい」と回答、その理由としては「駅周辺の整備や利便性に満足している」が75.2%、「住み心地がよい」が87.6%などと答えているのです。

駅前とは思えないほどの緑。「森のまち」というキャッチフレーズを実感します(筆者撮影)

流山市は「都心から一番近い森のまち」をキャッチフレーズに掲げていますが、住んでいる人たちもそれを実感しているということでしょう。年々便利になりながら緑も豊富、子育てにも手厚い支援があるとなれば子育て世代に選ばれるのも納得です。