※この記事は2017年10月17日にBLOGOSで公開されたものです

いよいよ今度の日曜日は第48回衆議院議員総選挙だ。

テレビも新聞も政治一色になりつつあるが、それでも有権者の半分強しか投票に行かないのだろう。前回の投票率は52.66%で戦後最低を記録。由々しき事態である。

とはいえ、私も自分の選挙区には「誰この人?」という候補者しかいない。この仕事をしているので投票には行くが、政党を見て入れるしかないのだ。政治家への関心なんてそんなもんである。

そこで!よくも悪くも名前が知られた「お騒がせ議員」の当落はどうなるのか、少しでも選挙を楽しむために見ていこう。悪名は無名に勝る。注目の選挙区だ。

愛知7区 山尾志桜里氏

なんといってもまずは愛知7区の山尾志桜里氏だろう。週刊文春の不倫疑惑報道は今回の解散総選挙のトリガーになったという話もあるくらいのインパクトだった。

山尾志桜里 幹事長撤回の理由は「9歳下弁護士との禁断愛」 - 「週刊文春」編集部
民進党の幹事長就任を撤回され、離党した山尾志桜里氏は今回無所属で出馬。謝罪会見で質問を受け付けずスタコラと逃げる背中にはツッコミを入れずにはいられなかったが、まさかその数週間後に前原誠司代表まで「無所属で出馬」を明言することになろうとは誰が予測しただろうか。

個人的には政治家だろうと聖職者だろうと不倫したければすればいい。好きな気持を止めてはいけないと思っているのだが、過去に宮崎謙介氏の不倫をボッコボコに批判していたのが痛かった。

山尾志桜里議員が致命的なのは不倫より「ダブスタ」
そんな山尾志桜里氏は自民党の鈴木淳司候補と一騎打ち。前回は僅差で競り勝ったが、無所属で比例復活のない今回、逆風をはねのけることができるのか。

下半身事情と政策実現能力は別、と愛知の有権者が判断するか注目だ。

埼玉4区 豊田真由子氏

流行語大賞にノミネートされそうな勢いの「この、ハゲーーーッ!」といえば豊田真由子氏。自民党「魔の二回生」だ。今年ワイドショーが取り上げた政治ニュースでダントツ1位なのではなかろうか。コチラは文春ではなく「週刊新潮」のスクープ。

安倍チルドレン「豊田真由子」代議士の"絶叫暴行"を秘書が告発 | デイリー新潮
秘書へのパワハラ音声が連日テレビから流れ、薄毛男性がトラウマになるほどの「ハゲ」連呼。

その秘書は民進党から出馬要請を受けるも断ったという。さらに新秘書の兼職や「ヅラ疑惑」など次から次へとネタが飛び出し、大衆の知名度で言えば安倍首相・小池都知事・豊田真由子くらいのレベルで浸透している。

そんな豊田氏は選挙区の駅前で涙ながらにお詫び行脚。ドブ板選挙で一から出直しアピールをしており、その姿も連日ワイドショーで報じられている。この注目度はすごい。

これだけ不利な状況でも無所属で出馬を強行した背景は何なのか。

女性自身は、
「豊田氏が出馬すれば、自民党の公認候補と票の奪い合いになります。共倒れを狙っているのではないでしょうか。今回、地元選挙区を自民党の空白地にし、次の選挙まで地元周りを徹底して、政界復帰を果たそうという皮算用のようです」
という関係者のコメントを掲載している。

豊田真由子"負け覚悟の出馬"に秘められた身勝手な皮算用
埼玉4区には、朝賀英義=共新=、青柳仁士=維新=、吉田芳朝=希新=、穂坂泰=自新=の4氏も立候補。

福井1区 稲田朋美氏・福井2区 高木毅氏

福井は1区稲田朋美元防衛相、2区高木毅元復興相とワクワク感が高い。

稲田朋美氏といえば自衛隊の日報隠し問題。さらに森友学園問題では「全く籠池氏の事件を受任したこともなければ、裁判を行ったこともない」と答弁しておきながら出廷記録が出て来るや否や答弁を撤回、都議選応援時には「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としても、お願いしたいと思っているところだ」と発言し批判を浴びまくり。数え役満状態で辞任に追い込まれた。

福井1区は、金元幸=共新=、鈴木宏治=希新=の2氏も立候補している。

そんな稲田元防衛相さえ霞んでしまうのが福井2区だ。

下着ドロよりドロドロな福井2区

今年の政治ニュースで印象に残ったものを一つあげよと言われたら、間違いなく選ぶニュースがこれだろう。

高木毅・元復興相のパンツ泥棒疑惑、自民党福井県連が事実認定の衝撃 | デイリー新潮
以前より週刊新潮が報じていた高木毅氏の「パンツ泥棒」疑惑。高木氏は否定を貫いていたにも関わらず、自民党の福井県連が調べたらパンツ泥棒は本当でした、しかも「複数の事案が確認できた」と発表したからさあ大変。

その調査費を含んだ予算を了承したからよろしくね、という調査内容が全自民党員に送付され、送った福井県連の会長、山本拓氏が「だってホントにパンツ泥棒だったんだもん」と取材に答えているという10回くらい声に出して読みたい衝撃の記事だった。

ざっくりいうと山本拓氏は福井2区の公認枠を高木氏と争っており、「アイツやっぱりパンツ泥棒だったからワシを公認したほうがええやろ」というアピール。下着ドロより福井県連がドロドロ。

そして今回の公認を巡っても怒号が響く大バトルが勃発。

「会長席外して」党員投票怒号響く  高木氏公認、自民党福井県連に亀裂 | 政治・行政 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE
こうして福井2区は高木毅氏の立候補が決定。パンツ泥棒と言っても30年前の話で、NEWSポストセブンは、
「パンツ泥棒? 地元じゃ昔から有名だったからね。高木さんには原発関係の業者がバックについていて今も健在だ。落選は考えられないよ」
という県連幹部のコメントを報じている。

パンツ大臣 原発関係の業者がバックにいて選挙は盤石
福井2区には斉木武志=希前= 猿橋巧=共新=の2氏も立候補。

長野2区 務台俊介氏

長野2区の務台俊介氏もインパクトがあった。

2016年9月、内閣府の政務官として、台風10号に伴う豪雨被害の視察で岩手県岩泉町を訪れたときのこと。

長靴を忘れ、水たまりを職員におんぶしてもらって渡るという、「いつの時代の貴族でしたっけ?」という姿をバッチリTVで放送されてしまう珍事を引き起こした。

政治家って、その防災服とヘルメットアピール必要ですか…って時に着用しているのに、なぜ豪雨の被災地に長靴を履いていかなかったのだろうか。

おじさんがおんぶされてる画のインパクトたるや。「政治家は偉いんだぞ」という空気を目視できる貴重な機会だった。

これだけでもだいぶマズイのに、話題が下火になった半年後、自ら話題に再点火。

今年3月、自身のパーティの挨拶で「(自分が長靴騒動を起こしたので)政府の各省で長靴がえらい整備されたと聞いています。多分、長靴業界もだいぶ儲かったのではないか」と会心の失言。内閣府政務官を辞任する羽目になった。

今回紹介した中でもダントツに失敗がセコくてダサい。「防衛省の日報隠し」とかまだ裏に色々ありそうで政治家っぽい気がする。

靴が濡れるからおんぶしてもらって怒られて、それをあとでネタにして辞任。被災者のことなどなにも考えてないのだろうか。自民党魔の2回生恐るべしである。

長野2区には手塚大輔=維新=、下条みつ=希元=、中川博司=社新=の3氏も立候補している。

この他にも「がん患者は働かなくていい」とヤジを飛ばし都連副会長を辞任した大西英男氏(東京16区)や現金授受疑惑で経済再生担当相を引責辞任した甘利明氏(神奈川13区)などなど、やらかした候補者はまだまだ存在する。

こうやって見ると、文春砲が炸裂した瞬間に長沢広明・復興副大臣を議員辞職させ、

公明党 長沢復興副大臣の議員辞職の理由は愛人との「週末同棲」 - 「週刊文春」編集部

復興庁では福島担当 ©浅沼敦/文藝春秋 知人女性を議員宿舎に宿泊させたことを認め、参院議員を辞職することを表明した長沢広明復興副大臣(59)。「週刊文春」が、長沢氏の「週末同棲」について事実確認を求めたことがきっかけだった。 小誌の取材によれば、長沢氏の住む千


翌週にも不倫報道のあった樋口尚也・前文部科学省政務官の公認を即取り消しした公明党の危機対応は素早かった。

公明党 前文科政務官が女性問題で出馬辞退

衆院選に公明党から比例近畿ブロックで公認されていた樋口尚也・前文部科学省政務官(46)が突如離党し、出馬を辞退することが発表された。樋口氏は、創価大卒業後、2012年の衆院選で初当選し当選2回。党の青...


「スキャンダル議員」を落選させるのも、もう一度チャンスをあげるのも有権者のアナタ次第。10月22日20時からの開票特番を楽しむためにも、ぜひ投票所へ行って「清き一票」を投じてこよう。

村田諒太のボクシングも見逃せないが。