ゼクシィが挑んだプロジェクト「気仙沼ウエディング」が示す地方創生の新たな形 - BLOGOS編集部PR企画
※この記事は2017年02月14日にBLOGOSで公開されたものです
震災から6年経過した、現在も復興活動の途上にある宮城県気仙沼市。昨年末、歴史と伝統を持つ、この生粋の漁師町でユニークな結婚式が行われた。
「Wedding made in 気仙沼」と名付けられた結婚式は、気仙沼で生まれ育った地元消防士の新郎と、ボランティア活動をきっかけに移住してきた新婦が気仙沼の人々とともに作り上げた、実に心温まるものだった。
そのふたりの門出、人生の一大セレモニーを地元企業などと共創し後押ししたのが、新郎・新婦の気持ちに寄り添った視点でブライダルやウエディング情報を数多く発信し続ける「ゼクシィ」。
今回は「Wedding made in 気仙沼」を取りまとめ、自身も気仙沼にルーツを持つという小野寺永治さん(おのでら・えいじさん/リクルートマーケティングパートナーズ)に、本プロジェクトの意義について話を訊いた。
結婚式で被災地が抱える“課題”を解決する
――この「Wedding made in 気仙沼」は、どのような結婚式だったのでしょうか。 また、従来の結婚式とはどのような違いがあったのでしょうか?
通常の結婚式は、新郎・新婦や、家族や友達が中心になって、どちらかというと“自分たちらしさ”や“大切な人への感謝”を打ち出していくようなものだと思います。今回の結婚式(Wedding made in 気仙沼)は、自分を育ててくれた、そして出会いの機会を与えてくれた“街への恩返し”をコンセプトとしたものでした。
さらに、今までブライダルビジネスに関わったことのないような地元の企業さんなどを巻き込んで進められたプロジェクトだったため、そんな方々からすると自分たちのプロダクトが結婚式の商材になるといった新たな発見にもなりました。
新郎・新婦からすれば、どこにも真似できない地産地消のオリジナリティあふれる結婚式にすることで、自分たちにとっても忘れがたい記念日となるとともに、街に対して永続的に恩返しできる。こうした点が、従来の結婚式と違うところですね。
――地方都市、なかでも気仙沼に目を向けたきっかけや、本プロジェクトの発想の起点はなんだったのでしょうか?
震災から1~2年目くらいは東京やそれこそ世界中からNPOや、地域を盛り上げようとする方々が多く入ってきたのですが、5年も経過するとやはり徐々に減っていきます。さらに国からの助成金も少なくなっていきます。
そんな状況にありながらも、実は地元ではNPOや企業がどんどん立ち上がっているんです。地元わかものまちづくりサークル「からくわ丸」(事務局:一般社団法人まるオフィス)の方に話を訊いてみると、みんな元気で「何かしてやろう!」という気持ちがあふれているのです。しかし、その“何か”がわからないことに加えて、地元の方々同士が繋がらないという課題がありました。意外でしたが、結婚式でこうした課題を解決できるのではないか、と考えたことが、このプロジェクトが発足したきっかけです。
――既存の結婚式のブラッシュアップではなく、まったく新しいアプローチを選択したのはなぜですか?昨今の結婚式のトレンドとともに教えてください。
結婚に対する考えが多様化しており、「結婚式をするか、しないか」を選択するような時代になってきています。さらに結婚式のニーズ自体も多様化していて、弊社としてはいわゆるカスタマーに寄り添った「自分たちらしい」と思ってもらえるようなサービスの提供や、世界観づくりのサポートを目指しています。こうした思いを体現したのがこの「Wedding made in 気仙沼」プロジェクトだと思います。
調べていくと狭域エリアでは都市部と比較すると、結婚式場の数が少なくなっていく。そうすると、ご兄弟や親戚が結婚式を挙げた会場と同じであったり、内容もどうしても画一化してしまいます。こうした課題が見えていたので、まずは固定概念を打ち破って「まったく新しいものを」と考えました。
ただそれを気仙沼の人たちだけでやろうとしても、地元の文化に慣れ親しんでいる分、難しさもありました。これは今回のプロジェクトのポイントになってくるのですが、ウエディングプランナーさんとドレス制作、このふたつは東京の方にもご協力いただきました。これには、「東京の人が気仙沼の商材を使って、全国どこでもできない、自分たちが今まで手掛けた中で最大限のクオリティをこのプロジェクトに注ぎ込んで欲しい」という狙いがありました。
結局、オリジナリティがひとり歩きしてしまうと地方色だけが強くなってしまうので、他の地域の方にもご協力いただくことで、気仙沼のオリジナリティがより際立つようにしたことがポイントですね。
若い世代が地元を守っていく「循環」を生み出す可能性も
――気仙沼らしい船での入場や、地元のカフェでの人前式、披露宴パーティの実施には、そうした背景があったのですね。他にも、新郎・新婦や移住者を含めた地元の友人のみなさんの若いパワーやセンスが全面に打ち出されていました。
まさにそうですね。ふたりのタキシードとドレスは気仙沼の会社“オイカワデニム”のデニムを、気仙沼の海水でウォッシュ加工したものですが、これがまた特別で、その時の気候や水質で仕上がりがまったく変わってくる、まさにオートクチュールなのです。
こうしたものを結婚式の衣装に取り入れたり、ブライズメイドの衣装もそのデニムに合わせてスタイリッシュにコーディネートしたり、新たな発想で作り上げたオシャレでオリジナリティあふれるものになりました。
――出席したご年配の方からの反応はどうでしたか?
とても好印象でした。一番反応がよかったのは漁師さんですね。今回ケーキ入刀の変わりに、近海物の重さ約20kgのメカジキにもりを刺す”メカジキ入刀”というユニークなメニューを実施しました。
このメカジキを釣り上げてきた漁師さんが、「カジキは自分の生活の糧だった。それがまさか結婚式で使われるなんて思ってもみなかったよ」と喜んでいたことが印象的でした。その漁師さんの家族や、付き合いのある方たちも喜んでいて、結婚式の幸せが増してるような、そんな光景が生まれていました。
――地元の企業や文化が積極的に繋がって進められ、成功したプロジェクトというわけですね。
そこにはふたつのポイントがあったと思います。
ひとつはカップルと「ゼクシィ」が、この商品を結婚式で使いたい(使えます)ということを企業側に自信を持って伝えること。もうひとつは、企業側がその商材が本当に結婚式の当日に使われて喜ばれているシーンを実際に見ること。このふたつがあると、企業側が商材の結婚式利用に対して本気になってくれるということがわかりました。
また成功要因として、今回の新郎・新婦が地元の方と移住者の方という組み合わせだったことも大きいと思います。気仙沼の魅力というのは、実はもう十分議論されてきたと思うのですが、外部の方の目から気仙沼を見ると、まだまだ余地があります。外部の方と中の方の結婚式をプランニングすることによって、今まで中の人が気付けていないコンテンツをどんどん見つけて行こうという意識が、非常に高くなったと思います。
――最後に今回の「Wedding made in 気仙沼」で見えた可能性や発展性と課題を教えてください。
まずは継続性という課題はあります。いくらいいものを作っても、単発で終わってしまっては意味がありません。
ただ、スタート時点では、本プロジェクトのリーダーは「ゼクシィ」だったのですが、出口では、ビジョンを持った若い人たちがぐいぐい引っ張っていって、その周りを「ゼクシィ」が固めるという体制ができていたので、後に続くいいモデルケースが作れたのではないかと思っています。
また、このプロジェクトに直接関わった人たちはもちろんですが、それを見た地元の若い世代たちから「私も僕も、あんな結婚式がしたい!」という雰囲気もできています。さらに、地方創生という観点から見ても、老若男女問わず結婚式が地元(文化)を見直すきっかけとなり得るのではないかと考えています。ひいては若い世代がその地元を守っていくという循環を生み出す。そんな可能性を大いに期待できるプロジェクトだと実感しました。
■関連リンク・Wedding made in 気仙沼
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