【全文】各党党首が答えた経済、安全保障政策、ユーザーの疑問…「ネット党首討論」書き起こし(前編) - BLOGOS編集部
※この記事は2014年11月29日にBLOGOSで公開されたものです
29日夜、衆院選の公示を前に8党の代表が一堂に会し、「ネット党首討論」が行われた。番組のリアルタイム視聴者数は、ニコニコ生放送、Ustreamあわせて20万人が視聴した。討論会の冒頭は総選挙の争点である、安倍政治の2年間について、各党党首が1分ずつコメントを発表するところからスタートした。(※維新の党・江田憲司共同代表は都合により途中参加のため、冒頭のコメントは無かった。)
安倍政治の2年間について
自由民主党:安倍晋三総裁:2年前も、ここ、ニコファーレからスタートしました。 「日本を取り戻す。」そうお約束をして2年が経ち、東京オリンパス・パラリンピックの誘致を成功し、2020年に大きな目標ができました。雇用を改善し、賃金は上がっています。15年苦しんだデフレからやっと脱却するチャンスを掴みました。
しっかりとアベノミクスを進め、国民の生活を豊かにしてまいります。
国民の命を守り、そして幸せな生活を守るため、集団的自衛権の一部行使を容認する閣議決定を行いました。法整備を進め、日本人の命と、領土、美しい海をしっかりと守ってまいります。安全保障も、外交も、経済も、この道しかない。しっかりとこの道を進んでまいります。ありがとうございました。
民主党・海江田万里代表:こんばんは、民主党代表の海江田万里です。
今度の総選挙に大義がない、これは私も全国を回っていまして、多くの国民の方がそう感じていることと思います。
そしてもうひとつ、今回、このタイミングで解散を行うことによって、安倍総理は国民に噓をついたことになります。
それは言うまでもありません。
2年前の党首討論、当時の野田総理と安倍自民党総裁の間で、消費税を上げる、しかし、自らも痛みを伴うということで、これは議員定数の削減をやるということを約束しました。国民の前で、国民に約束をしたわけです。しかもその時は、次の通常国家でこれは実行する、ということを言ったわけですが、もちろんこの国会では行われなかった。そしてついに解散になってしまった、ということです。
そしてそれから集団的自衛権の問題、国民の声を聞いていません。それから特定秘密保護法の問題もそうです。このままでは、安倍政権に任せていたのでは日本は危ない、私たちはしっかりと対峙をしていきたいと思います。
公明党・山口那津男代表:2年前に政権交代を果たし、自由民主党と公明党は政権合意を作って出発いたしました。最優先課題は経済の再生であり、東日本大震災の復興のスピードアップであります。同時に、政権を取る前に決まっていた社会保障と税の一体改革も、この政権で判断をする運命にありました。
経済再生は3つの矢を放って、様々な効果を生み出してまいりました。
そして消費税の消費税8%への引き上げを行ったわけでありますが、その効果を見定めて、次の10%の引き上げを1年半延期し、そして再延期をしない、それに伴って軽減税率の導入を目指す、という方針を決めました。
そのことの信を問うという今回の選挙であります。
安全保障については憲法の論理的整合性を守り、規範性、つまり歯止めを維持して、これからもそれをずっと守っていくという公的安定性を確保します。
次世代の党・平沼赳夫党首:私はこの2年間の安倍政治というのは、及第点をあげることができると思っております。確かに雇用も回復したし、給料も上がったし、株価も上がった、そういうことは及第点をあげることができると思いますけれども、地方はまだ疲弊しておりますし、第一の矢、第二の矢というのはうまく機能したと思うんですけど、第三の矢に具体性がないんです。
ですから、これから本当に親身になって成長戦略というものをやっていかなかったら、このまま改革というものを成し遂げることはできない。このことを心配しておりまして、そういう意味では我々としても、努力をして、応援をしていきたいと、このように思っているところであります。私からは以上です。
日本共産党・志位和夫委員長:安倍政権の2年間というのはあらゆる分野で国民の民意に背く、暴走の2年間だったと思います。
私たちは安倍政権の「暴走ストップ、日本の政治の5つの転換」を訴えて、選挙戦を戦います。
第一は、消費税10%は中止し、富裕層や大企業への応分の負担を求めるなど、消費税に頼らない別の道に切り替えることです。
第二は、格差拡大のアベノミクス・ストップ。国民の暮らし第一で経済を立てなおすことです。
第三は、海外で戦争をする国づくりをやめさせ、憲法9条の精神に立った平和の外交戦略で、地域の安定を平和を築くことです。
第四は、原発再稼働ストップ、原発ゼロの日本への転換です。
そして第五は、沖縄の米軍基地建設は中止し、基地のない、平和で豊かな沖縄をつくることです。
日本共産党が伸びれば、日本は変わります。どうかよろしくおねがいいたします。
生活の党・小沢一郎代表:生活の党の小沢一郎でございます。
我々、生活の党は、"国民の生活が第一"、という政治理念のもとで活動してまいりました。従いまして、自由競争・市場原理を優先する安倍政権、アベノミクスの考え方とは相容れません。
例えば雇用につきましても、非正規雇用がすでに40%。これを更に拡大していこうという考え方でおられます。それでは本当の国民の生活の安定はできません。私どもといたしましては、正規雇用を、きちんと歯止めをかけてやっていくと。また、いろいろな形で、国民に必要な分野についてはセーフティー・ネットを充実する。それによって、初めて景気も良くなる、そのように考えております。
社会民主党・吉田忠智党首:社会民主党の吉田忠智でございます。
世界一企業が活動しやすい国、として進められてきましたアベノミクスは一部の大企業や富裕層、大都市を優遇する一方で、中間層、中小企業、農家、地方を切り捨ててきました。消費税増税、そして急激な円安、年金や医療や介護などの改悪、そして労働法制の規制緩和など、また、農業や地域社会を衰退させるTPPの推進、米価下落など、国民生活が破壊をされようとしております。
また、戦争ができる国づくりとして、特定秘密保護法の強行、また集団的自衛権行使容認の閣議決定、そして、武器輸出の解禁など平和憲法が骨抜きにされようとしいてると思います。東京電力福島第一原発事故の教訓をしっかり生かしていないと思います。
各党党首は「アベノミクス」をどのように見ているのか?
写真一覧
まず、討論の皮切りに、私から民主党代表の海江田さんにお話を伺いたいと思います。民主党のマニフェストにはですね「アベノミクスは期待外れ」と書いてあります。これ、一体どこが期待外れで、また、民主党はどのようにすれば良いかというふうにお考えなんでしょうか。お願いします。
民主党・海江田: 「期待外れ」というのは、国民の皆さんの8割が、実は景気回復の実感がないということ。このことをとってみても明白なことだろうと思います。そして実は、民主党の政権のときは、3年3ヶ月でGDPが5%成長したんですね。それに対して安倍さんの2年間では、1.7%の成長ということでありますから。まあ、政権に着いて2年経っていますけれども、全国津々浦々に、実感を感じてもらうということも実現できていません。
ですから、このことから多くの国民が「期待外れだ」ということを考えていると思います。私たちはやっぱり、まず1つはですね、働く人たちの雇用を安定させる。雇用を安定することによって、実は賃金が安定をしてくるんです。安倍総理は、雇用が100万人増えたと言いますけれども、そのほとんどが、これは非正規の雇用者で、実は正規の雇用者は9万人もこの2年間、減っています。ですから、雇用の安定。それから働く人たちの、この…。
角谷:はい、すみません。ここでですね、維新の党の江田共同代表がご到着になりました。お入りください。では、江田さん、よろしくお願いします。討論を続けます。ということです。じゃあ、後は皆さんから自由にご発言いただきたいと思いますけれども。安倍さんからいきますか。
自民党・安倍:今、海江田さんがGDPについて話をされました。我々が政権を引き継ぐ前、民主党政権時代、3四半期連続のマイナス成長でありました。我々が政権を引き継いで、3四半期連続プラス成長になりました。有効求人倍率も、過去22年間で最高の水準にあります。そして賃金も、この4月の賃上げのチャンスを活かして2%以上上がりました。15年間で最高であります。ボーナスは7%、これは24年間で最高の水準になっています。そして倒産件数。民主党政権時代よりも2割も倒産件数が減っているんです。
そして正規社員。この7月、8月、9月、正規社員は10万人増えました。民主党政権時代は雇用全体が減っていたんです。私たちは100万人増やす、さらに正規の社員を増やしています。これからさらにアベノミクスを進め、すべての人々に、この「景気の暖かい風」をお届けしてまいります。
角谷:はい。では、志位さん、いきましょう。
共産党・志位:私はですね、アベノミクスは国民の暮らしに2つの害悪をもたらしたと思っております。第1はですね、景気悪化の害悪です。で、GDP2期連続マイナスというような異常事態が起こったわけですけども、これはですね、国民の反対を押し切って消費税を8%に増税したことによる「増税不況」と言わなくてはなりません。この増税を推進した自民党、公明党、民主党の責任は重いと言わななければなりません。
2つめはですね、格差の拡大です。一部の大資産家や大企業は大きな儲けが転がり込んだけれども、庶民の実態はどうかと。円安による、物価高による生活苦が襲っています。今、総理はですね「賃金が上がった」とおっしゃいましたけれども、実質賃金は15ヶ月連続のマイナスです。雇用は良くなったといいますけれども、非正規の社員は増えたんですけれども、正社員は22万人、2年間で減っています。ですから「この道しかない」とおっしゃるんですけれども、この道に先はないと。転換が必要です。
角谷:はい、ありがとうございます。はい、平沼さん。いきましょうか。
次世代の党・平沼:私、1つ申し上げたいことはですね。この国の景気、アベノミクスで第1の矢、第2の矢、第3の矢というのをやってきましたけれども、先ほども言いましたように、第3の矢の具体性がない。それから地方の経済というのは非常に疲弊してしまっている。そういうことで、私はこの、具体的な第3の矢を明確に出すべきだと思っております。
それから私は、国会の代表質問で「消費税の増税は慎重にすべきだ」という形で、1年半先延ばしをしたことは評価をいたします。しかし、先延ばしをしても、景気対策をしっかりしていかないと同じことの繰り返しになると、こういうふうに思っておりますので。このことは申し上げておきたい。このように思います。
角谷:はい。江田さん、じゃあいきましょう。
維新の党・江田:第1の矢、金融緩和の矢は飛びましたね。しかし、これはもう2009年、私がみんなの党を結党したときからですね、2%のインフレターゲット、金融緩和を訴えたことですからね。ただこれはね、カンフル剤。要は一瞬、体がシャキッとするんですね。第1の矢の効き目が効いてる内に、第2の矢、第3の矢を矢継ぎ早にやんなきゃいけなかった。その第2矢の財政出動が、残念ながらあらぬ方向へ行ってますね。これは公共事業、ばら撒きですよ。これは例年5兆円だったんですけど、もうなんと10兆円ですよ。しかも、2兆、3兆、4兆、使い残して繰り越してる。この貴重な税金を。これで飽和状態、消化不良になってますね。
第3の矢、これが肝心要ですね。まさに規制改革。成長分野、農業とか。電力、エネルギーとか。さらには医療、福祉とか。これに官僚が手かせ、足かせかけてます。安倍総理は「岩盤規制を打ち砕く」とおっしゃいましたね、ダボス会議でね。それができてない。なぜか? それは自民党、この農業には農協、医療には医師会、そしてエネルギーには電力会社という支持基盤。これを打ち砕きます。
角谷:じゃあ、吉田さん。
社民党・吉田:この間のアベノミクスがやはり、地方そして中小企業、国民に及んでいないわけでありますから、地方がしっかり、地方の独自性を活かして手が打てるように、使い勝手の良い交付金を交付すべきだ、と思っております。
それから労働者、国民につきましては消費税を5%から8%に上げたのがそもそも、大きな問題でありますから、やっぱり5%に一度戻すべきだ、そのように思っております。そして、労働者につきましては、やはりこの間の非正規労働者が増えたことが最大の原因です。有効求人倍率は確かに1.1でありますが、正社員の有効求人倍率は0.68でございます。安定雇用、正社員を望む人たちにしっかり、正社員にできるような政策誘導をしていく必要があると思っております。また最低賃金も平均1000円以上、引き上げるべきだと思っております。
角谷:はい。山口さん、いきましょうか。
公明党・山口:民主党政権のGDP5%というのは、リーマン・ショックの後、我々の政権で補正予算を作り、本予算を作った、その対応策が効いているという部分も寄与していると思います。また、安倍総理のおっしゃった様々な指標に、この2年間の取り組みの良い結果というものが現れてきていると思います。
また、雇用の点については団塊の世代が大人数、今、リタイアの時期を迎えております。しかし、この世代も非正規によって、定年後も職をつないでいけると。だから、この部分の非正規が増えていると。そこの実態を見る必要があります。また、若い人たち、高卒、大卒の方の内定率、就職率は増えております。この世代はむしろ、正規雇用が増えるというところに寄与しております。この雇用の実情というものをよく見て、これからも非正規が正規雇用につながるように努力しなければなりません。そして、これからの経済は地方へ、そして中小、小規模企業へ、さらには家計へと。この努力をしていってまいります。
角谷:はい。じゃあ海江田さん、いきましょうか。
民主党・海江田:今、正規雇用の人たちを増やすことが大事だ、というお話ありましたけれども。実はですね、先だっての解散によって閉じました国会で、何を自民党と公明党が提出してきたかというと、これは労働者派遣法の改悪案を出してきたんですね。これで、若い人たちで派遣で働いている人たちは一生、派遣だと。派遣ということになると、やっぱり賃金も低いわけですよ。
だから本当に、この正規雇用の人たちを増やそうと思うなら、やはり、そういう法律は出さないことでありますし。むしろ、正規の雇用をどんどんどんどん減らして、そして非正規を増やしていく方向に、この間ずっとやってきたということ。自民党がやってきた、安倍政権が進めてきたということ。そのことが、さっきの話出ました、やっぱり、有効求人倍率2倍超えてるって言いますけれども、正規の雇用、正社員の人たちは0.68ですから。ちっとも良くなってないんですね。ここのところの問題をきちっと変えなければいけないと思っております。
角谷:じゃあ安倍さん、いきましょうか。
自民党・安倍:2年前を思い出していただきたいと思うんですが、行き過ぎた円高によって、根っこから仕事がなくなっていたんです。民主党政権時代は、まさに職そのものがなくなっていた。正規の方々の有効求人倍率、まだ低い水準だとおっしゃっていますが、これ、統計をとって過去、それでも最高なんです。同時に正規の社員の方々の新規の求人倍率については1位になりました。
このように、我々はしっかりと政策を前に進めていくことによって、正規の社員の方々、正規の職の方々についても、ちゃんと仕事を作り始めています。また改革についても、電力については法律が通りました。2年後については購入も生産も自由化されていきます。また医療においてもそうです。患者さんが申し出を行えば、先端医療を保険適用とともに受けることができるようになりました。反対を押し切って、しっかりと前に進めてまいりました。
角谷:はい、小沢さん。
生活の党・小沢:日本経済の6割以上は個人消費なんですね。ですから、景気を良くしようとしたら個人の収入を増やして、消費を拡大する以外にないわけです。今、話題になっていますけれども、雇用の点につきましても非正規社員では将来の身分保障もありませんし、収入も少ない等々で、本当に生活が将来まで安定しているという感じは誰も持たないんですね。ですから消費が増えるはずはない。
それから、農村において象徴的なのは、米価が急落しております。したがって、そういう中では農家も、あるいは農村地域も、消費が増えるという、景気が良くなるということはないわけですね。ですから、そういう大事な国民生活の分野では、きちんとセーフティーネットを作って、それの上で消費、個人消費を上げるようにするということが大事だと思います。
角谷:じゃあ、江田さん、いきましょう。
維新の党・江田:確かにお金は流しましたが、これは景気が本格的に回復して、国民の皆さんの給料が上がることが肝心ですよね。そのためには、物、サービスを動かす。実体経済を動かす。これが、まさに成長分野、規制改革をして新しい血を入れる。新規参入をさせていく。
しかし、農業で減反廃止「名ばかり廃止」ですよ。添削奨励金出して実際上、添削を促して減反をしているようなもんですよね。株式会社が農地を取得して参入できるようになりましたか? なってませんね。「電力の再編」自由化、確かに法律通りました。しかしこれ、電力会社の影響下に送電線を分離するといって置かれたらですね、この前みたく新エネの接続拒否みたいな時代が起こるわけです。完全に我々、維新の党は切り離して、影響力のないところで太陽光発電、LNG火力発電、そして風力発電。小さな地域分散型のローカル発電をやっていけばですね、これはもう地域で、今、過疎で困っている地域で雇用が生まれ、給料を払えるようになる。これが本当の地方創世、そして経済再生だと思っています。
角谷:志位さん、いきますか。
共産党・志位:私はですね、安倍さんがよく言う「大企業が儲ければ、いずれは国民の暮らしに回る」という考え方自体が誤っているということを、事実が証明したと思うんですね。私はここを切り替えて、285兆円まで膨らんだ大企業の内部留保の一部を活用して、国民の所得を増やすという政策に転換する必要があると思う。
そのために政治が成すべきは、非正規から正社員への流れを強くする雇用のルールを作る。長時間過密労働を是正する。あるいは、中小企業の手当てをしっかりやりながら、最低賃金を大幅に引き上げる。ブラック企業は無くしていく。それから、中小企業に対する下請け単価を適正なものに引き上げて、中小企業で働く人も所得を増やしていく。国民の所得を増やす改革は必要だと思います。それから、消費税10%は先送り実施じゃなく、中止ということを強く求めたいと思います。
角谷:山口さん、いきましょうか。
公明党・山口:賃金の上昇は「政・労・使」の協議の場を設けて、これが促されてまいりました。雇用の増大も同様であります。そして、成果がこの春から賃金ベースアップ、あるいは賞与等、名目の賃金が上がってきております。さらに来年も、この秋「政・労・使」の場を設けて、来年の春闘でも賃金を上げる必要があるというのが、使用者側の認識でありまして、ぜひ、これを実行していかねばならないと思います。
その上で、大企業から中小企業、小規模企業に仕事を流していく。そういうことも同時に促しているわけでありまして、そうした取り組みが、これから効果を上げていくと思います。また、賃金に依らない生活をしている方々もいるわけですから、そこに対する支援というものを緊急経済対策でやっていく必要があると思います。賃金上昇が物価に追いつき、追い越すと。これを連立政権で推進したいと思います。
角谷:安倍さん、いきましょう。
自民党・安倍:例えば今回はですね、先ほど申し上げましたように、4月に2%賃金が上がりました。同時に、例えば、パートやアルバイトで頑張っている皆さんの時給は1050円。これもですね、統計をとってから最高になっているわけであります。そして、先ほど派遣法の改正についてお話がありました。派遣ではなくて、しっかりと正社員として働きたいという方が、派遣で仕事をしている方の半分ぐらいおられます。
一方、自由な働き方をしたいという方々もおられるわけであります。「正社員になりたい」という方々に対しましては、しっかりと派遣元に対してですね、3つ義務を今度は課しています。そして、派遣で働いている皆さんについては、その派遣の待遇を改善していく。そういう対応をしていきます。キャリアアップをしっかりと応援をしていきたい。同時にで、やっぱり多様な働き方に対応した労働法制に変えていく必要があると考えています。みんなが望む働き方、そこで輝ける社会を作っていきたいと思います。
角谷:海江田さん、いきましょうか?
民主党・海江田:今の話ですけれども。多様な働き方を、私たちはまったく認めないわけではありませんけれども、その場合は、前例として「同一労働同一賃金」というのが世界的なもう、考え方なんですよ。日本はその点はまったく遅れている。今回、国会で私たち民主党と、これは維新の党も一緒にこの法案を出しましたけれども、自民党は一顧だにしなかったということ。
それからもう1つですね、円安の問題というのはやっぱり、今回のアベノミクスの副作用の面で大変、大きなものがあるわけですね。先ほど、倒産が減ったというお話ありましたけれども、去年から今年にかけて、とりわけ今年に入って、円安による中小企業の倒産が一挙に去年の3倍近くになっています。それから、まさに国民が「自分は恩恵を被っていない」という、その1番大きなものは、円安によって物価が上がっているということ。このことが非常に大きいわけですから。その点に目をつぶってしまっては、やっぱりいけないと思います。
角谷:じゃあ、志位さん。
共産党・志位:先ほど、派遣法の問題が議論になりました。与党が出した「労働者派遣法の大改革」というのは、とんでもない内容だと思うんですよ。これまでの派遣法というのは、ともかくですね、派遣労働というのは、臨時的、一時的なものに限るんだと。常用雇用の代替をしてはならないんだと、大原則があるんですね。これを振り払ってしまって。そして原則1年、最長でも3年という期間制限も取り払ってしまって。無期限に派遣が扱い続けられるようになるわけですから、これは「生涯派遣」と。「正社員ゼロ」という批判が出るのは当たり前なんです。
こういうことをやっておきながら、賃下げ政策をやっておきながら、賃上げを進めるっていうのは、これはね、言ってることとやってることが違うと。私はですね、派遣法は抜本改正して、派遣労働は本当に一義的、臨時的なものに限る。そして均等待遇のルールをきちんとする。そのことによってですね、正社員が当たり前の社会にしていく。これは政治の責任だというふうに思います。
角谷:江田さん、いきましょうか。
維新の党・江田:さっき、海江田代表がおっしゃったように、我々も働き方の多様性を認めながら、働く者の立場を守るという意味で、正規、不正規にかかわらず「同一労働同一賃金」。それから、経済セクターは好むと好まざるとにかかわらずグローバルなんです。国際大競争なんです。そこは市場主義、自由主義でやっていく。しかし、そこからドロップアウトした方々、これは手厚いセーフティーネットで救うということが大事だと思います。スウェーデン、例えば。ボルボ、サーブを潰しましたね? しかし、そこの大失業者はしっかり国の方で職業訓練をやって、そして次の就職先まで斡旋するようなことまでやっている。我々が目指す、まさにセーフティーネット、経済政策っていうのは、こういう北欧型のね、ものを目指していきたい。そういうふうに思います。
角谷:安倍さん、いきましょう。
自民党・安倍:先ほど、海江田さんが「円安による倒産」という話をされました。例えば2年前はですね、円安による倒産というのはありませんよ。だって円高なんですから。ですからその比較はまったく間違っているんだろう、このように思います。ですが大切なのは絶対数であって、我々は民主党政権時代よりも2割、倒産を減らしています。同時にですね、先ほどお話がございました。志位さんからお話があった「残業代ゼロ」。それはまったく、そんなことは有り得ない。
民主党・海江田:まだ言ってない。
共産党・志位:その話してませんよ。
自民党・安倍:あ、その話、「残業代ゼロ」ではありませんか。え?
共産党・志位:派遣労働の問題を言ったんです。
自民党・安倍:派遣労働の話ですね? 派遣労働については、しっかりと私たちはキャリアアップについても支援をしていきますし、望んだ方については望む方向において状況が改善していくように、我々は全力をあげていきたいと、このように考えております。同時にまたですね、海江田さん、江田さんからお話がありました。言わば改革については、我々はすでに、農業においても農業改革。60年やっていなかったことに、ちゃんと手をつけているということも申し上げておきたいと思います。
角谷:じゃあ、海江田さん。いきますか?
民主党・海江田:1つだけね。先ほど「働く人たちの賃金が2%上がった」って言いますけど。それ、ごく一部の企業の人たちですよ。で、本当に働いている人たちの97%、中小企業。この中小企業の働いている人たちの賃金というのは、2%もけっして上がっていません、これは。厳然たる事実ですから。あたかも働いている人たちのすべての給料が、すべて2%上がっているような誤解を与えますが、そんなことはまったくないわけでありまして。やっぱり、そこのところを正確におっしゃらなければ、私はいけないと思いますね。
角谷:平沼さん、いきますか。
次世代の党・平沼:次世代の党というのはですね、今の議論を聞いていると、野党の人たちは与党のやることを全部反対という論調なんですね。しかし、お互い政治家っていうのは、日本、国を良くするためにやっているわけですから。良いことは良い、悪いことは悪い。こういう是は是、否は否という立場に立ってですね、国政を私は論じなければいけない。何でもあら探すみたいに「ここが悪い、あそこが悪い」言っていたらキリがないと私は思うんです。ですから「良いことは良い」という形でですね、認めるところはしっかり認めていかなければ、私は日本の政治は良くならない。このように思っています。
角谷:最後に吉田さんで、これは終わります。吉田さん、お願いします。
社民党・吉田:もちろん、経済政策ですから「100点、0点」ということはありません。安倍総理も「この道しかない」とかいうんじゃなくてですね、現実に富裕層や大企業を優遇する政策に、いろいろ問題点が出ているわけですから。そう言わずに「悪いところはこういうふうに改める」ということを、やっぱりしっかり言うべきだと思いますよ。今、平沼党首のお話聞いて、私も思いましたけれども。「この道しかない」ということではないと思いますよ。いかがですか。もう終わり?(笑)
角谷:いや(笑)安倍さん、じゃあ、お答えしていただけますか?
自民党・安倍:デフレから脱却をして経済を成長させるためには、3本の矢の政策しかない。こう申し上げているわけであります。そして、先ほど「一生派遣」だということをおっしゃったわけでありますが、そんなことはないわけでありまして。しっかりと法律の中にですね、ちゃんとそれは明記されているわけでありますから、誤解のないようにしておきたいと思います。
※以下、 後編に続く