相模湾に面した藤沢市は、富士・箱根・丹沢の山並みを望む、温暖な気候で自然に恵まれた場所です。東海道五十三次の宿場町として栄えたこの地は、人口44万人を超える都市として発展。身近な自然に加え、商業施設も充実した便利な場所として子育て層にも人気があります。今回は、藤沢市の住宅事情と筆者おすすめの街を紹介します。

豊かな自然と商業施設 誰もが暮らしやすい居心地の良い街

東京駅から約50キロメートルに位置する藤沢市は、JR東海道線、小田急江ノ島線、江ノ島電鉄線、湘南モノレール、相鉄いずみ野線、横浜市営地下鉄ブルーラインが乗り入れる交通ネットワークが充実した街です。市街化区域の約77%を住居系地域が占め、その約60%が高さを低く制限されており、景観や自然環境を守る良好な街づくりを行っています。

辻堂海浜公園(画像素材:PIXTA)

藤沢市の総面積は69.56平方キロメートルあり、東西が6.55キロメートル、南北が12キロメートル。相模湾に面した海岸線は、約5.2キロメートルの長さです。映画やテレビのロケ地でもおなじみの観光スポット江の島があるなど、風光明媚な景観を有し、片瀬山や辻堂海岸といった山や海でのレジャーが楽しめます。湘南の温暖な気候の中、ビーチでくつろげるのは、藤沢で暮らす大きな魅力でしょう。

片瀬西浜から見た江の島(画像素材:PIXTA)

さらに、レジャー施設や観光スポットも充実しています。片瀬江ノ島駅にある新江ノ島水族館のほか、江ノ島電鉄線を利用すれば海を眺めながら鎌倉方面へ出掛けられます。JR東海道線利用で横浜駅へも20分程度でアクセス可能。さらに、品川駅や東京駅へもJR東海道線利用ならスムーズに往来ができます。藤沢駅から東京駅までは、40分台。東京駅から約50キロメートル離れている場所であることを考えると、比較的スピーディーに東京都心へ移動できると言えるでしょう。

江ノ島電鉄(画像素材:PIXTA)

【藤沢市のデータ】
総面積…69.56平方キロメートル
人口…44万1,547(2022年4月1日現在)
世帯数…19万8,213(2022年4月1日現在)

2000年10月1日に37万9,185人だった藤沢市の人口は、2022年4月1日時点で、44万1,547人へと大きく増えています。その大きな要因が、工場跡地などの大規模な再開発。例えば、JR東海道本線辻堂駅の北口にあった関東特殊製鋼などの工場跡地は、湘南C-X(シークロス)として約25ヘクタールもの土地区画整理事業が行われました。街づくりのガイドラインのもと、広場や公園、道路などが一体で整備され、テラスモール湘南などの大型商業施設や医療施設とともにマンションなども開発されました。

辻堂駅北口大通り(画像素材:PIXTA)

また、パナソニックの藤沢工場跡地は、タウンコンセプト「生きるエネルギーがうまれる街。」を掲げFujisawaサスティナブル・スマートタウンとして2012年から土地区画整理事業がスタート。2014年に街開きが始まり、商業施設「湘南T-SITE」もオープンしました。もともと、湘南エリアは企業の開発拠点も多くあり、こうした場所が産業構造の変化とともに再生。新たなにぎわいと居心地よい暮らしがつくられています。

Fujisawaサスティナブル・スマートタウン内の街並み(筆者撮影)

また、藤沢市には慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスや多摩大学湘南キャンパスなど4つの大学のキャンパスがあり、学園都市としての顔も。キャベツやトマト栽培などの農業も盛んです。藤沢市は69平方キロメートル超ある広い行政区であり、さまざまな特色があります。

そのなかでも、湘南の自然と商業利便性の高さは、藤沢市で暮らす大きな魅力でしょう。藤沢市には、神奈川県立湘南海岸公園や辻堂海浜公園、鵠沼海浜公園といった公園のほか、辻堂海岸などの海浜スポットもあります。サーフィンなどのマリンスポーツが盛んで、スポーツ関連のショップも豊富。スケートパークやテニスコートなどのスポーツ施設も充実しています。

辻堂駅北口駅前(画像素材:PIXTA)

また、大規模な商業施設テラスモール湘南のある辻堂駅や、ペデストリアンデッキで駅周辺の商業施設が結ばれた藤沢駅など、生活利便性の高さも藤沢市の魅力です。休日に気軽に買い物やレジャーに出掛けられるのは、藤沢市で暮らすメリットでしょう。

戸建て派もマンション派もどちらもOK 藤沢市の住宅事情

藤沢市の都市計画図を見ると、駅周辺に商業系用途地域が集まり、そのほかは住居系地域が広範囲に広がっています。そのため駅周辺部では、マンション供給が目立つ一方で住宅街での戸建ての分譲も活発に行われています。

辻堂駅や藤沢駅といったターミナル駅の駅周辺部では、主にマンションの供給が中心。駅からやや離れた場所や小田急江ノ島線沿線では、戸建ての供給が目立ちます。また、小田急江ノ島線、相鉄いずみの線、横浜市営地下鉄ブルーラインが利用できる湘南台駅は、土地区画整理事業によってつくられた住宅地。駅周辺には、ダイエーやそうてつローゼンなどの商業施設が充実していて、新築マンションや戸建ても豊富です。この辻堂、藤沢、湘南台の3駅を中心に住宅が供給されています。

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湘南台駅前の風景(画像素材:PIXTA)

かつては値ごろ感のあった藤沢市の住宅ですが、子育て層にも人気で価格も高止まりしています。JR東海道線沿線なら新築マンションの3LDKタイプで6,000万円程度の予算は見ていたほうが良いかもしれません。ファミリー向けのイメージが強い藤沢市ですが、コロナ禍でテレワークが増えたこともあり、単身向けのマンションも供給されています。ライフスタイルに合った立地や広さのマンションが藤沢市なら選べそうです。

鵠沼海岸近くの街並み(筆者撮影)

また、市街化が古くから進んだエリアということもあり、中古マンションのストックも豊富。築年数の浅いものなら4,000万円台。築年数の古いものなら3,000万円台で3LDKタイプのマンションが検討できます。戸建てについては、湘南海岸に近い東海道本線から南側エリアの人気が高く、100平方メートル超の敷地を持つ戸建てであれば5,000万円台~6,000万円台の価格帯の物件が中心。藤沢本町駅など東海道本線より北側のバス便エリアなどは、4,000万円台での分譲も見られます。中古戸建ての流通も豊富にあるので、家族の予算とライフスタイルに合わせて検討してみてはいかがでしょうか。

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次に筆者おすすめの街を紹介します。

ペデストリアンデッキが駅周辺の商業施設を結ぶウォーカブルな藤沢

最初に紹介するのが、藤沢駅です。藤沢駅は、1887年に開業した歴史ある駅。JR東海道線に加え、新宿方面へと結ばれる湘南新宿ラインも通り、上野東京ラインの開業でJR宇都宮線やJR高崎線へも結ばれています。さらに、小田急江ノ島線、江ノ島電鉄線が通っており、町田・新宿方面や鎌倉方面へのアクセスも良好です。

藤沢市役所の新庁舎(画像素材:PIXTA)

駅を降りて感じるのは、ペデストリアンデッキで周囲が結ばれた徒歩動線での回遊性の高さ。藤沢駅北口ペデストリアンデッキ(サンパール広場)のリニューアル工事が2019年に完了するなど、エレベーターやエスカレーターが設置されたバリアフリーの街づくりで、歩行者が安心して暮らせるウォーカブルな街です。

藤沢駅南北自由通路拡幅整備事業及び藤沢駅改良事業に関する基本協定を市と鉄道各社が締結するなど、さらなる整備も検討されています。2017年12月には、「人・環境にやさしい市民に親しまれる庁舎」をコンセプトにした藤沢市役所新庁舎もオープン。公共施設も駅周辺に集積しています。

藤沢駅前のペデストリアンデッキ(筆者撮影)

藤沢駅の一番の魅力は、商業施設が充実した生活利便性の高さ。ODAKYU湘南GATE、湘南藤沢オーパ、ルミネ藤沢、さいか屋、ビッグカメラといった商業施設が駅周辺に点在し、ペデストリアンデッキ経由でスムーズに買い物を楽しめます。駅周辺は商業系用途地域に指定されており、飲食店やレストラン、クリニック、物販店、スポーツジムなど生活関連施設が充実しています。鎌倉や片瀬江ノ島などの観光地に行きやすく、豊かなライフスタイルがかなう拠点性の高さも魅力です。

藤沢駅周辺では、商業系用途地域が広がっているため、新築分譲マンションの供給が活発です。3LDKタイプで6,000万円前後から検討可能。生活利便性が高い立地だけに、1LDKや2LDKタイプも一定数あります。中古マンションのストック数も多いので、マンション選びの選択肢は豊富です。

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多彩な商業施設と豊かな自然が魅力の辻堂

続いて紹介するのが、辻堂駅です。

辻堂駅は、「ARUHI presents 本当に住みやすい街大賞2022(関東ランキング)」で第1位になるなど、注目度が高まっている人気の街です。その魅力は、JR辻堂駅北口にペデストリアンデッキで直結するテラスモール湘南など便利な商業施設が豊富にある生活利便性の高さです。

辻堂駅北口のペデストリアンデッキから見たテラスモール湘南(左)(画像素材:PIXTA)

辻堂駅北口駅前には、Luz湘南辻堂やユーコープ、ココテラス湘南が、駅南口には商店街が広がり、さらに少し歩くと、湘南モールフィルや湘南T-SITEといった多彩な商業施設があります。なかでもテラスモール湘南は、サミットストアなどのスーパーのほか109シネマズなどのレジャー施設も入り、専門店数は約280店舗。ここだけで、ある程度の買い物が済ませられます。

北側にマンションなども建てられた再開発街区が広がる一方で、南側は戸建て中心の住宅街が続きます。遊具のある辻堂海浜公園や辻堂海岸もあり、自然環境も身近で、子どもがのびのびと成長できる住環境。ファミリー層には、特におすすめの街です。

辻堂海浜公園(画像素材:PIXTA)

新築分譲マンションは、駅から近い場所の供給が多く、売れ行きも好調です。3LDKタイプが5,000万円前後で手が届いたマンションもあり、若いファミリー層からも注目されています。中古マンションなら4,000万円台でも流通しているので、予算重視なら中古マンションを検討するのも良いでしょう。

また、住宅街が広がっていることもあり、戸建ての供給も活発です。新築戸建てが5,000万円台から6,000万円台で検討可能。中古戸建ての流通も豊富なので、新築と中古の両方を検討するのも良いでしょう。

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思い立ったら海へ 毎日がリゾートの鵠沼海岸&片瀬江ノ島

最後に紹介するのが、片瀬江ノ島駅周辺です。

小田急江ノ島線の鵠沼海岸駅、片瀬江ノ島駅は、湘南海岸公園に近いリゾート性のあふれる住環境。134号線沿いのマンションの中には、海を一望できる部屋も分譲されています。

リゾート風の大規模マンション(筆者撮影)

このエリアのマンションの魅力は、日常的に自然を身近に感じられること。鵠沼海岸公園周辺はサーフポイントでもあり、休日は多くのサーファーが集まります。過去に分譲されたマンションもリゾート性を意識して、サーフボード置き場や水洗い場を設けた物件もあります。自然を楽しみながらのびのび暮らしたい家族におすすめです。

片瀬江ノ島駅周辺(画像素材:PIXTA)

分譲マンションは、比較的規模の小さいマンションの供給が中心。価格は、海岸沿いか住宅街の中かで大きく異なります。海の見えるような景観を楽しめるマンションなら、それなりの予算が必要です。鵠沼海岸は別荘地としての人気もあり、新築戸建てもやや高め。6,000万円台以上の予算は見ておいたほうが良いでしょう。藤沢駅へは、小田急江ノ島線で片瀬江ノ島駅から約7分、鵠沼海岸駅から約5分。これなら通勤も便利で、オフタイムも満喫できる豊かなライフスタイルが実現できるでしょう。

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鵠沼海岸駅
片瀬江ノ島駅

若いファミリーに人気で、人口も増加トレンドの藤沢市ですが、留意したいのは地震などによる津波のリスクと道路の渋滞です。藤沢市では、津波ハザードマップをホームページで公開しています。特に、相模湾沿いのエリアはよく確認しましょう。また、歴史ある街だけに狭い道路も多く、観光スポットが多いこともあって休日の道路は混みやすさには注意が必要です。江の島だけでなく、由比ヶ浜や鎌倉も身近な場所なので、周辺環境の良さの裏返しなのかもしれません。

身近に商業スポットが充実していて、温暖で自然が充実した藤沢市の暮らしはとても魅力的です。藤沢市は、のびのびと子育てをしたいファミリーや休日を楽しみたい単身者からシニアまで、あらゆる層に応えるステージと言えるのではないでしょうか。

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