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特殊詐欺など組織犯罪による被害回復を進めるため、日弁連は5月12日、刑事事件記録の閲覧・謄写制度の拡充を求める意見書を発表した。今後、法務省に協議を申し込むという。

特殊詐欺の被害にあっても、実行犯である「かけ子」や「受け子」らには資力がなく、被害回復は困難だ。そのため近年は、損害賠償を求めて、暴力団トップを相手どった民事訴訟が相次いで提起されている。

暴力団トップの責任を問うためには、民法の「使用者責任」(715条1項)や暴対法の「代表者責任」(31条の2)を主張・立証する必要がある。ここで不可欠になるのが、末端の実行犯の刑事事件記録だ。

ただし、実行犯の刑事責任を問うにあたって、捜査資料のすべてが裁判に出てくるわけではない。また、特殊詐欺は起訴されない余罪も多く、刑事裁判に提出された証拠だけでは、自身の被害に関する証拠が十分ではない可能性がある。

日弁連の意見書では、暴力団トップを訴えるのに必要な場合には、裁判に提出されなかった記録や不起訴になった事件記録の開示基準を緩和することなどを提言している。