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 コーヒーを淹れるとき、皆さんは何を使っていますか? 最近は優秀なコーヒーメーカーも多くありますが、筆者はドリップ方式で1回分ずつ淹れています。もちろん、プロのように上手く淹れる技術はありませんが、コーヒーの香りに包まれながら、ポトポトゆっくり液が落ちる様子を見ていると、心が落ち着いて、なんとなくコーヒーメーカーよりも美味しく感じるのです。

 さて、ドリップ方式と言っても、いろいろなフィルターがあります。大きく分けてペーパー、布、金属です。そして筆者は、今はもっぱらペーパーフィルターを使っています。

陶器製ドリッパーにペーパーフィルター

 というのも一昨年、2千円もする某ブランドのステンレスドリッパーを購入したんですが、買って間もなく、微妙に粉が下のサーバーの中に落ちて、コーヒーの中に混じってしまうことに気づきました。飲むたびに口に粉が入って、ザラザラと舌触りが悪いのなんの。結局、苦肉の策として、そのステンレスドリッパーにペーパーフィルターをはめて淹れる、という本末転倒な奇策を駆使して使っていたのですが、そのステンレスドリッパーもとうとう去年、フチが壊れてしまい、使わなくなりました。

 というわけで最近はずっとペーパーフィルターを使っていたのですが…。ところが先日、おなじみ100円ショップのダイソーで、ステンレス製コーヒードリッパーを発見。しかも、なんとお値段たったの550円。これは、筆者が知る限り最も安いステンレスドリッパーだと思います。

ダイソーのコーヒードリッパー(550円)

 でも、前に買ったステンレスドリッパーのように、コーヒーの粉が下に落ちてしまっては意味がありません。そこで商品をよく見てみると、「二重フィルターで粉が出にくい」と書いてあるのに気づきました。そのキャッチコピーを鵜呑みにしたわけではありませんが、550円なら試してみてもいいかも、と買ってみることにしたんです。

果たしてダイソーのステンレスドリッパーは優秀なのか?

いざ実際にドリップして実力をチェック

 さっそくお湯を沸かし、ステンレスドリッパーを使ってみることに。この商品は、直径12.5cmで台座付き。マグカップにも置ける大きさで、さらにゴム素材の持ち手も付いていて、なかなか機能的なデザインです。でも最も肝心なのは、ドリップして粉が下に落ちてしまわないか、です。

上から見るとこんな感じ。二重構造で、目に見えないほどのきめ細かなフィルターになっています

 ステンレスドリッパーに直接コーヒーの粉を入れ、少しずつお湯を注いでみました。ポトポトと雫のように落ちていくコーヒー。いつものペーパーフィルターよりのんびりと落ちていくような気がします。そして香りがフワッと立ち上がります。ちびちびとお湯を注ぎ、コーヒーが入りました。

コーヒーの粉を直接ステンレスドリッパーに淹れて抽出していきます

 さて、飲んでみると、コーヒーの中には粉は微塵も落ちていません。謳い文句通り、きめ細やかな二重フィルターによる効果でしょう。

 最後の一滴まで飲み干しても粉はどこにもナシ。しかもコーヒーが美味しい。これは優秀です。正直言って、2000円のステンレスドリッパーで初めて淹れて飲んだ時の、コーヒーに粉がザラザラ入っていたことを思い出して、むしろ腹ただしくなったくらいです。

 ダイソーのステンレスドリッパーなら、もうペーパーフィルターを買う必要がなく、エコ&節約になること間違いなし! しかし、ここで、ふと普段使っているペーパーフィルターとどう違うのか気になってきました。

ダイソーのステンレスドリッパーの粉が出にくいことが証明されました

 そこで、いつも使っていたペーパーフィルター用ドリッパーとステンレスドリッパーを並べ、同じ量の粉と湯量でコーヒーを淹れてみることにしたんです。

右がペーパーフィルターを使って淹れたコーヒー。見た目に違いはありませんが、飲むとその違いは歴然!

 2つ一緒に出来上がりました。ひと口ずつ飲んでみると、その違いは歴然でした。

 まず、ペーパーフィルターよりもステンレスドリッパーで抽出したコーヒーのほうが風味が強く、なおかつ味も濃いんです。これはコーヒーオイルや雑味がペーパーに染み込んで除去されてしまうのに対し、ステンレスの方はダイレクトに抽出されるからでしょう。

 それだけではありません。温度の差もあります。ペーパーフィルターで淹れたコーヒーがアツアツなのに対し、ステンレスドリッパーのほうは、やや温度が低く感じるのです。おそらく金属に湯が触れることで、ある程度、温度が下がってしまうのでしょう。この2つの違いは一長一短と言えるかもしれません。

コーヒーを受けるサーバーやマグカップを熱湯で温めておくとステンレスドリッパーで淹れてもコーヒーが冷めにくい。[食楽web]

 ステンレスコーヒードリッパーでコーヒーを淹れる時は、まずステンレスドリッパーやサーバー、コーヒーカップなどをあらかじめ温めてから使用すること。そうすれば、アツアツで美味しいコーヒーが飲めるんです。

 というわけで、結論です。ダイソーのステンレス製コーヒードリッパーはたった550円なのにほんのちょっとの手間暇で美味しいコーヒーが飲めて、ペーパーフィルターを二度と買うことなくエコ&節約もできる。超優秀な商品でした!

(撮影・文◎土原亜子)