究極の海玄マグロ丼 | 食楽web

 地方に住む親戚や友人が東京に遊びに来ると、決まって行きたがるのが浅草、銀座、築地です。仕事柄「美味しいお店たくさん知ってるでしょ」と言われるわけですが、銀座や築地にしょっちゅう通っているわけでもないので、これがけっこうプレッシャーに。毎回、慌てて探し回ることになります。

 というわけで、今回も友人が上京する前に、店探し。そして見つけたのが、築地場外市場にある『海玄(シーゲン)』というお店です。昨年9月にオープンしたばかりで、しかもまぐろの仲卸しで有名な「やま幸(ゆき)」が初めて出した直営店です。

「やま幸」といえば、東京でまぐろをウリにしたお店に取材に行くと、よく「ウチはやま幸さんのマグロ使ってますから」なんて自慢されることも多い名仲卸。ここのマグロがふらっと行って食べられるなんて! とはいえ、百聞は一見にしかず。念には念を入れ、一人で下見に行ってみることにました。

築地東通り沿いにあります。看板には「海玄seagen」の文字

 築地場外市場の鮮魚や野菜、乾物類の市場店舗が連なる築地東通り。ここに『海玄』はありました。真っ白な壁、端正な暖簾と看板、にぎやかな築地場外市場にあって、けっこう高級そうな佇まいです。

 店先に置いてあったメニューを見てみると、「やま幸」の天然本まぐろを使用した丼メニューがずらり。お高いんだろうな、と思って見てみると、意外にも1200円~と思ったよりもリーズナブルです。お、これはイイんじゃないか? という気になってきます。

「本日のまぐろは静岡県の下田と須崎産」という表示が。時季ごとにマグロの産地が変わるようです

 さらにじっくりメニューを眺めてみると、人気No.1~3が表示されていて、「究極」、「おまかせ」、「贅沢」など、魅力的な単語が連なっています。普段なら1番安い1200円の丼にするところですが、今回は友人を接待する大事なロケハン。ここは人気ナンバー1の「究極の海玄まぐろ丼」(3800円)を食べることに。

 これは「3種類のまぐろの秘密部位が盛り込まれたやま幸のまぐろを味わい尽くすための究極のまぐろ丼」という説明書きも付いていて、さらに興味がソソられます。“秘密部位”という謎めいた言葉がイイじゃありませんか。ドキドキしつつ入店です。

美しすぎる天然本まぐろに感動

「究極の海玄まぐろ丼」(3800円)には山幸のまぐろの秘密部位が3種類のっています

 店内は意外と広く、白木のカウンターとテーブル席があります。新店だけあってどこもかしこも新しくてピカピカ。一人だったのでカウンターに案内されましたが、職人さんたちが美しいマグロを切り分ける様子がバッチリ見えて、実にいい景色。いざ、「究極の海玄まぐろ丼」を注文し、登場したのがこちらです。

「究極の海玄まぐろ丼」は、山芋のすり流し、まぐろ小鉢、まぐろコラーゲンスープ付き

 ご覧ください。なんと見目麗しい丼でしょうか。筆者はこんな光り輝くまぐろを見たことがありません。しかも切り身、剥がし身(大トロのすじをとってはがした部分)、かき身(すき身)の3種類がのっていて、その色合いのコントラストがたまりません。

 そしてまぐろを口にしてみて、この店がとんでもない大当たりだと確信。3種類のまぐろの味の違いもハッキリわかります。剥がし身はなめらかな食感で口の中でとろけ、切り身はプリッとした歯ごたえで濃厚な旨みが広がります。そしてすき身のとろんとした甘み&旨みが脳髄に連打を浴びせてくる…。恐る恐る入店してみて良かった! めちゃくちゃ美味しいです。

ネギやわさび、煮切りが合わさって天然本まぐろの美味しさがマックス!

 この贅沢すぎる本まぐろに、丁寧に仕込まれた酢飯。銀座の高級鮨にも引けを取らないような、まぐろの美味しさを引き立てるシャリです。まぐろのまろやかな脂とシャリが口のなかで溶け合い、最高の幸せ。時間よ止まれ! と思わず願ってしまいます。

小鉢のまぐろの煮付けも超美味(食楽web)

 このほか、まぐろのコラーゲンスープも、小鉢のまぐろの煮付けも文句なしに美味しくてパーフェクト。「究極の海玄まぐろ丼」は、天然本まぐろの本物の美味しさを感じさせてくれました。

 というわけで、『海玄』は胸を張って紹介できる店だと確信。後日、友人たちと一緒に再訪したら、みんなかなり気に入ってくれたようで、「次もまたここに来たい」と言っていました。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

店名:海玄(シーゲン)

住:東京都中央区築地4-13-8
TEL:03-6260-4808
営:月火金土10:00~15:00(14:30LO)、17:00~20:00(19:30LO)
  日・祝10:00~15:00(14:30LO)
休:水・木