「Sexy Zone」のメンバーで俳優の中島健人さんと松本穂香さんが共演するNetflix映画『桜のような僕の恋人』が3月24日にNetflixにて全世界独占配信予定です。

原作は、2017年の発売以来、累計発行部数70万部を超える宇山佳佑さんの同名小説。監督は『白夜行』(2010年)、『神様のカルテ』(2011年)などの深川栄洋さんが務めます。

美しくも切ない若い二人の恋愛を描いた本作。「僕の26年の人生の最高傑作にしたい」と話す晴人役の中島さんと、意外にも本格的なラブストーリーは初めてという美咲役の松本さんにお話を聞きました。

「気づけば28になりそうです」

--中島さんは制作発表時に「僕の26年の人生の最高傑作にしたい」とおっしゃっていました。もともと原作のファンとのことですが、オファーを受けたときはどんな気持ちでしたか?

中島健人さん(以下、中島):運命的なオファーに感動しました。初めて原作を読んだとき、本が涙でビショビショになるくらい泣いてしまって。こんなに素敵な作品に巡り会えたことを嬉しく思い、雑誌のコラムでも紹介していたんです。その実写化に参加できるとは……思いを言葉にする大切さを改めて感じました。

--思い入れのある作品に出演して、手応えは?

中島:あります。僕はこの1年間、本作の配信リリースを控えているから頑張ることができました。いろんな場面で原動力になってくれたと感じています。26年の人生の最高傑作にしたいと言ってから、もうすぐ28になりそうですが……(笑)。最高傑作にしたいという気持ちは変わっていません。

松本穂香さん(以下、松本):これまで本格的なラブストーリーに出演したことがなかったので、私もこういった役をいただけるんだと新鮮に感じました。脚本を読んで、すごく泣きました。何度読んでも胸にグッと来るものがある温かい脚本なので、いい作品にしたいと思って撮影に臨みました。

--松本さんは、“人の何十倍もの速さで老いていく”難病を抱える難しい役でもありました。

松本:そうですね。これまでの役でも、私自身もここまでの大病を患うことはなかったので、想像するしかできない難しさはありました。ただ、病気や老いにフォーカスするのではなく、美咲として過ごす時間をとにかく大切に、嘘がないように作っていこうと意識しました。

松本穂香はたくましくて、かっこいい

--お二人は初共演ですが、お互いの印象はいかがでしたか?

中島:穂香さんは、落ち着きがあって清廉なイメージの人だなと思っていました。撮影前にいくつか作品も見ていたのですが、撮影に入るときはそれまでのイメージを全て忘れるようにしました。穂香さんが演じる美咲さんの色を別の色で塗りつぶしたくなかったからです。

松本:中島さんの印象は「THE プロ」。アイドルのときはアイドルに徹底し、バラエティーに出演するときにも役割をきっちりと把握して爪痕を残す、みたいな。役者としても、自分の考えをしっかり持っている方だなと感じていました。その印象は今も変わっていなくて、自分の中に軸のある人だと思っています。

中島:ありがとう。僕は共演してみてちょっと印象が変わった部分があります。穂香さんってお話ししてみると、考え方が柔軟で、物事に対する向き合い方も熱いんです。現場でも監督やスタッフさんにきちんと自分の意見を伝えていて、たくましくてかっこいい人だなと思うようになりました。

--松本さんは、新たに加わった一面はありましたか?

松本:すごく無邪気な少年みたいなところもあれば、繊細な一面もあったりして、いろんな面がある人だなと思いました。本番中にスタッフさんのモノマネをアドリブで入れてきたこともありましたし。

中島:そんなこともあったね(笑)。

松本:残念ながらカットされましたけど。

中島:そうなんですよ! どこかで番外編として出ないかな(笑)。

空欄のある脚本が、演者を助けてくれた

--深川監督の発案で、晴人と美咲それぞれの台本は自分が登場しないシーンが空欄になっていたとか。「2人には会えない時間を想像してほしい」という監督の強い意向だと聞きましたが、この取り組みはお二人にとっていかがでしたか?

中島:知らないことがあるのはとてもいいことだと思いました。深川監督は役者の耳元で大事なことを伝える“ささやき演出”が有名なのですが、僕にも「役者の仕事は忘れることだ」って何度もささやきかけてきて(笑)。けどそれが本当に大切なんですよね。

僕ら演者は、台本を読んでいるから、未来予測ができてしまうんです。その先に起こることや結末に向けて、感情や表情を作ることができる。でもリアルな人生では未来を予測することはできないし、結末なんて知り得ないですよね。

--そうですね。

中島:その矛盾を超えてリアルを表現するには、やっぱり忘れるしかない。でも、展開を知っていながら知らないふりをするのは本当に大変なんです。今回、脚本に空白があることで、知らないふりではなくて本当にわからないという状況ができました。このわからなさがあることで、僕は晴人の人生をちゃんと生きられた気がしました。

松本:私も中島さんがおっしゃったことと同じ気持ちです。まず、そんなふうに演者の気持ちを第一に考えてくれて、ちゃんと芝居を見ようとしてくださったことがすごく嬉しかったです。この現場では、中島さんが演じる晴人と私の美咲、この二人の組み合わせから出てくるものを大切にしようと感じられたので、私たちもすごく新鮮で楽しかったですし、会っていない時間の大切さを改めて感じながら撮影ができました。

中島:こんなにいい脚本制作があるのかと、台本をもらった時点で感動でした。深川監督と制作陣、スタッフさんの映画作りの環境にすごく感謝しています。

食事で始まり、卓球で終わる

--印象に残っているシーンはありますか?

中島:昨晩、もう一度見て思ったんですけど……。全編通して、美咲さんがかわいい! 華やかで溌剌としていて、こんな女性は素敵だなって思いました。全部本当に素敵なんですけど、僕が印象に残っているのは、タイ料理店で食事をするシーン。美咲さんが口いっぱいにほおばりながら晴人に話しかけるんですけど、「んんんん〜」って何言ってるかわからないっていう(笑)。

松本:演出でたくさん食べてくださいと言われていたんです(笑)。二人とも仕事終わりでお腹がペコペコだからとにかく詰め込んでください、と。

中島:あれが初日だったよね。

松本:初日でしたね。

中島:あのときに、深川監督のリアルへのこだわりを感じました。普通は食卓のシーンでもセリフが第一なんですよ。だから食べるのをちょっと遠慮してしまったりするんですけど、監督は「食べなさい」と。

松本:実は脚本にないシーンだったので、回想なのかなと思っていたのですが、しっかり使われていました。私が印象に残っているのは、最終日に撮った卓球のシーンです。

中島:食事で始まり、卓球で終わる。

松本:はい(笑)。そのシーンが、見ているこちらが引くほど楽しそうで。実際楽しかったんですけど、映っている姿も楽しそうでした。私が下手すぎて全然ラリーにならなかったですけど……。

中島:全然本気出してくれないんですよ。

松本:あれが全力です(笑)。

時間は戻ってこないから…今を大切にするためにしていること

--作品を観て、今を生きるってすごく大切だなと感じました。もし、今を生きるために心がけていることがあれば教えてください。

中島:早寝早起きです。質問の答えとは少しズレてるかもしれませんが……。僕は時間がもったいないからもう少し起きていよう、ではなくて、逆に寝ている時間も大切にしたいタイプなんです。しっかり眠ることで、起きている時間をより充実させることができると思うんです。

--睡眠、大事だと思います。でも多忙なイメージがありますが、眠る時間は取れていますか?

中島:はい、ちゃんと寝ていますよ。眠る時間帯なんかも意識しています。

--それはよかったです。松本さんはいかがですか?

松本:今を大事にする……。撮影中はすごく意識していたように思います。時間は戻ってこないので、思ったことはちゃんと伝えようとか。気持ちを言葉にするのはちょっと恥ずかしさもありますが、やっぱり、そういうことが大切なのではないでしょうか。

--最後に、作品を見る人たちに向けてメッセージを。

中島:大好きな作品が世界配信で映像化されました。僕らの思いを世界中のいろんな場所で咲かせられたらいいなと思います。ただただ人が人を愛する作品です。ぜひ、この春、ご期待ください。

松本:どの世代の人にも何か響くような優しい、温かい映画になっていると思います。ぜひ大切な人と、もちろん一人でも。楽しんでご覧いただけたら嬉しいです。

(取材・文:安次富陽子)


『桜のような僕の恋人』
3月24日(木)Netflixにて全世界独占配信