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 海鮮をメインに扱う居酒屋では、ランチ時に海鮮丼を出すお店が多いものです。ドカ盛りを売りにした海鮮丼、ネタの鮮度を売りにした海鮮丼、コストパフォーマンスを売りにした海鮮丼など、その様相は実に様々。ですが、こういった海鮮丼の魅力を、全方位クリアした海鮮丼を出す店があると聞きつけ、行ってみることにしました。その店の名は『俺の魚を食ってみろ!!』。

『俺の魚を食ってみろ!!』のランチの2時間のみ、展開される「究極の」丼類メニュー

 普段の『俺の魚を食ってみろ!!』は海鮮居酒屋としての営業ですが、ランチの12~14時の2時間のみ、たった990円(税込)で自慢のネタを使った海鮮丼類を提供しています。いずれのメニューにも「究極の」が冠されていますが、この名に嘘はなく、いずれも他店では食べられないほど鮮度の良いネタを、豪快にいただくことができます。その話を聞きつけ筆者もさっそくお店に食べに行ってみることにしました!

たった990円! 新鮮・豊富なドカ盛りネタを4段階に分けて楽しめる

神田・西新宿に展開する『俺の魚を食ってみろ!!』がランチ限定で展開中の「究極の海鮮丼」990円(税込)。そびえ立つ海老の麓には、明らかに鮮度の良い高級ネタばかりが鎮座!

『俺の魚を食ってみろ!!』に入り、さっそく「究極の海鮮丼」(990円・税込)を注文。ほどなくしてテーブルにサーブされた海鮮丼を見て驚愕! その盛りはまるで「海鮮の山」のようであり、ジェンガのようにどこをどう取れば良いかがわからないほどです。

 しかも、そのネタのいずれも艶々としたものばかりであり、鮮度が良いことは素人の筆者でもすぐにわかるほどです。これで990円(税込)というのは少々信じがたいものがあります。

『俺の魚を食ってみろ!!』のスタッフの方によれば「究極の海鮮丼」は以下のように、4段階で味を楽しむと良いとのことでした。

(1)海老を抜き取り、塩でいただく
(2)海鮮丼3分の1くらいを普通にいただく
(3)ネタ・シャリを3分の1くらい別のお碗に乗せ、玉子と和えていただく
(4)(3)を食べ終えたら、さらに海鮮丼のネタ・シャリを3分の1くらい入れ、お茶漬けにしていただく

 筆者もこの通りにいただいてみることにしました。

まず海老を塩でいただきます

 抜いた海老を塩で食べてまず実感したのは、明らかな鮮度の良さ。海老は鮮度の良し悪しが出やすい印象がありますが、プリップリの食感と甘い旨みが口の中に広がり、まさに至福の味です。

海鮮丼を3分の1くらい普通にいただきます

 海老を抜いた後の海鮮ネタは、かにのほぐし身、まぐろのとろや赤身、鯛、サーモン、とびっこといったもの。いずれも値が張るものばかりですが、鮮度抜群で1つずつ寿司の握りにすれば十分な値段を付けられるのではないかと思えるクオリティです。

3分の1くらいのネタ・シャリを別のお碗に乗せて卵をかけていただき、食べ終えたら、さらに3分の1くらいを追加し、今度はお茶漬けにしていただきます

 このネタをシンプルにいただいた後、別のお碗で卵と和えていただいたり、お茶漬けにしていただくのですが、いずれもまた「海鮮丼」をさらに飛躍させるような食べ方であり、斬新かつ実に美味。

 しつこいようですが、これだけの味・量・様々な食べ方が楽しめて990円(税込)。改めて信じがたいものがありますが、でも本当なのです。まさに「究極の海鮮丼」の名にふさわしい一品でした。

仲卸し業者+店の強力なタッグと、熱い思いによって実現した「究極の海鮮丼」

『俺の魚を食ってみろ!!』西新宿店・店長の石井圭一郎さん(左)と、株式会社AO代表取締役・前原妙子さん。現在実施中の8000円で食べ放題のカニを持って

「究極の海鮮丼」のあまりの旨さ、安さ、量に驚くばかりの筆者でしたが、『俺の魚を食ってみろ!!』を運営する株式会社AOの前原妙子さんによれば、このメニュー実現にはある秘密と思いがあると言います。

「『究極の海鮮丼』メニュー考案の背景にはまず新型コロナウイルス感染拡大の影響がありました。私ども『俺の魚を食ってみろ!!』は東京都の要請に従いルールを守り、認められた時間内での営業を守ってきました。このことでお店としては膨大な協力金をいただいたわけですが、しかし、飲食店はお店やお店のスタッフだけでなく、生産者さん、仕入れ先の仲卸し業者さんはもちろん、おしぼりやお箸といった消耗品の業者さんに至るまで周辺産業の様々な人たちが関わっています。こういった業者さんたちは、飲食店が休業したことで、実は大きな打撃を受けている状況がありました。

 このことから『うちらだけが楽するわけにはいかない』と思い、仲卸し業者さんとまず手を組んでカニの食べ放題を実施したところかなり盛り上がりました。同時に、コロナ禍以前よりも仲卸し業者さん、生産者さんとパートナーシップがより強いものになりました。

 そのうち、より仲良くなった仲卸し業者さんから『海鮮丼出したらどう?』というご提案をいただきました。その後、うちのスタッフも交え仲卸し業者さんと視察しに北海道まで食べに行ったりして、それで出来上がったのが今回の『究極の海鮮丼』だったのです」(株式会社AO・前原妙子さん)

左「究極の海鮮丼」と人気を分ける「究極のぶり丼」990円(税込)、さらに前原さんイチオシの「究極のホタテバター丼」1180円(税込)

 それにしてもこのクオリティ・量で990円(税込)というのはあり得ないとも思います。この点についても、仲卸し業者と「俺の魚を食ってみろ!!」双方の熱い思いによって実現させているのだそうです。

「仲卸し業者さんはギリギリの原価で質の良い魚を提供してくださっています。これに応じて私どもも超高原価率で990円(税込)を実現させるようにしました。たぶん、仲卸し業者さんの密な協力体制がない普通の飲食店さんなら原価100%超えるのではないかと思います(笑)。

 さらに、どうして我々がここまでやるかと言うと、『飲食の需要を喚起させたい』という思いからです。改めて『外食って楽しいよね』ということを実感していただき、外食離れをした人たちを呼び戻したい。そういった思いから、採算度外視の『究極の海鮮丼』を実施することにした次第です。西新宿・神田界隈においでの際は、ぜひ『俺の魚を食ってみろ!!』にお立ち寄りいただき、召し上がっていただきたいです。他店ではあり得ない鮮度の良いネタ・価格に納得していただけるはずだと思っています」(株式会社AO・前原妙子さん)

『俺の魚を食ってみろ!!』の「究極の海鮮丼」、「究極のぶり丼」、「究極のホタテバター丼」の背景には熱い思いが隠されていました

 今回取材した『俺の魚を食ってみろ!!』西新宿店界隈には、様々な飲食店が立ち並ぶエリアですが、前原さんによれば「究極の海鮮丼」を出して3日から行列ができる騒ぎになったそうです。現在はまん延防止等重点措置により、客足はゆったりに戻っているそうですが、ぜひこの味、量、価格、確かめに行ってみてください。「究極の」の冠にウソがないことをわかっていただけるはずです!

(撮影・文◎松田義人)

●SHOP INFO

店名:俺の魚を食ってみろ!! 西新宿店

住:東京都新宿区西新宿7-10-14 富士山ビル1F
TEL:03-6908-7481
営:11:30~14:00 17:00~23:00、土日祝日12:00~23:00 ※「究極の海鮮丼」の提供は11:30~14:00(平日ランチ限定)
休:なし

店名:俺の魚を食ってみろ!! 神田本店

住:東京都千代田区内神田3丁目19-10 ソーシアルビル B1F
TEL:03-6206-9680
営:11:30~14:00、17:00~23:00、土日祝日12:00~23:00 ※「究極の海鮮丼」の提供は11:30~14:00(平日ランチ限定)
休:なし