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 冬になると、いつもよりしょっぱかったり甘かったり、とにかく濃厚な食べ物が恋しくなる――という経験はないでしょうか? これ、実は寒い時期は人の味覚感度が下がるのが原因と言われています。例えばチョコやアイスも、夏よりも濃厚なものを選びたくなるはず。

 そして濃厚かつしょっぱい食べ物の代表格がチーズ。暑い季節より、冬のほうが美味しい気がしませんか? 温かいお店や部屋で、お酒のお供に多種多様な味わいのチーズを楽しむのは至福のひとときです。

 こうしたなか、渋谷ではチーズ好きが狂喜乱舞しそうなイベント『北海道地チーズ博2022』が2/11~2/14まで開催中。4回目の開催となる今年は、過去最大規模となる49の工房・メーカー、約350種の北海道地チーズが会場に集結。北海道地チーズに合うドリンクとのペアリングが多数紹介されているのも特徴です。

 さらに、ペアリングドリンク別に、4~5種類の地チーズを詰め合わせた「北海道地チーズ博2022限定アソートセット」がオンラインにて2/15から期間・数量限定で販売されます。いずれもチーズプロフェッショナルの石川尚美さんが監修し、コーヒーや紅茶、ビールやワインに合うチーズがセレクトしてあります。というわけで今回は、ビールと赤ワインに合うセットを先行入手したので、その味わいについてレビューしていきます。

ビールに最高に合うチーズ5選

『&ビールセット』5500円

 仕事終わりと言えばビール! という人にぴったりなのが『&ビールセット』。ビールの泡と苦みの効いた風味にマッチする、塩味のある濃厚で個性的なチーズが楽しめます。ゴーダチーズやカマンベールチーズなどの聞き馴染みのあるものから、パンなどにディップして食べる変わり種まで千差万別です。

明太子の風味とミルク感が絶妙! 『Primar クリームチーズ&明太子』

少しトーストしたバゲットに塗っていただきます

 まずは、北海道乳業の『Primar クリームチーズ&明太子』から。このチーズは生乳を乳酸菌や酵素で固め、水切りして熟成せずに造る“フレッシュタイプ”です。牛乳本来の風味と爽やかな酸味のあるクリームチーズに、明太子を混ぜ込んでいます。クリームチーズの柔らかな味わいと明太子の風味がバゲットに合う! ビールと一緒に味わうというより、ビールがぐいぐい進む一品です。

芳醇な味と深いコクがビールと相性バツグン!『ジャージーゴーダチーズ』

直径が女性のこぶし大くらいの大きさ

 続いては十勝加藤乳業の『ジャージーゴーダチーズ』。こちらは加熱して圧力をかけ水分を抜き、時間をかけて熟成させて造られる“ハードタイプ”のチーズです。その味わいはというと、ゴーダチーズの芳醇な香りとコクが、ビールの苦みにピタリとハマります。お互いを引き立て合って、実に奥深い味わい。チーズ特有の香りはやや感じますが、クセは強くありません。

ワインの香りでビールがすすむ!? 『ふらのチーズ ワインチェダー』

大理石のように見目麗しいビジュアル。3つ入っていました

 ビールとのペアリングなのにワイン!? と驚いたのが富良野チーズ工房の『ふらのチーズ ワインチェダー』。ちなみにこのチーズは、しっとりとしてクセがなく食べやすい”セミハードタイプ”です。口に含むと、確かにほんのりとワインの香りがします。濃厚でこってりとした味わいと、ワイン由来の華やかな香りが、ビールの味わいに色を添えてくれます。うーん、美味しい!

独特の香りと苦みがビールとリンクする『カマンベール・カレ』

ボリューミーで厚みがあり、ナイフを入れると抵抗を感じる粘度

 北海道クレイルの『カマンベール・カレ』は、チーズの中に青カビを入れて内側から熟成させる”白カビタイプ”。刺激的な香りと強い味わいが特徴の個性派な種類です。筆者はパクチーやブルーチーズなどクセのある食べものが好きなので、衝撃を受けることはないだろうとタカをくくっていたのですが、これが大間違い。

 口に入れた途端、強烈な香りと苦みが広がり、咀嚼すると鼻腔の奥で香りが渦巻きます。これは好みが分かれること必至な個性派。ですが、好きな人はおそらくどハマリするはず。とにかくチーズとビールの苦み同士がよくマッチするんです。

シシャモと醤油の香ばしい風味がたまらない『ストリングしおかぜ』

さけるチーズの形状。ダシ醤油が染み込んだ独特の色合いがなんとも美味しそう

 ビールに合うチーズ、最後はASUKAのチーズ工房『ストリングしおかぜ』を。こちらはチーズに様々なフレーバーを加えた”バラエティタイプ”のチーズです。このチーズが造られているのは、全国的にも有名なシシャモの産地である北海道のむかわ町。シシャモからとったダシでダシ醤油を作り、そこにチーズを漬け込むことでシシャモと醤油の香りをつけているんです。どんな味なのかドキドキしながらチーズを裂いて食べてみると、シシャモの風味と醤油の香ばしい香りがふわっと広がります。もちろん、ビールとの相性はいわずもがな。すぐに次のひと口を誘います。これは美味しい…!

赤ワインにベストマッチするチーズ5選

『&赤ワインBセット』5800円

 さて、ビールの次はワインに合うチーズです。アソートセットでは、白ワインと赤ワイン2種類の計3種類から選べるのですが、今回は『&赤ワインBセット』をゲットしたので、その内容をレビューしていきます。

 ブドウの皮や種など、果物丸ごとの複雑な味わいが特徴の赤ワインには、やはりそれに負けないようなコクや旨みがギュッと詰まった濃い味わいのチーズが合うそう。ちなみにこのセットには、白カビタイプや青カビタイプなど特徴的なチーズが入っています。

個性たっぷりのウォッシュタイプ『ルーナ(登月)』

白い酵母による天然の表皮で覆われています

 赤ワインに合うチーズの1つ目は、のぼりべつ酪農館の『ルーナ(登月)』。菌を植え付けたチーズの表皮を、塩水やお酒で磨きながら熟成させる”ウォッシュタイプ”です。柔らかくなめらかで優しい味わいが特徴との事前情報を得ていたので、とくに構えることもなくひと口。チーズ特有の香りはありつつ、そこまでクセはないかな、と油断していたら、噛むほどに強い香りが鼻腔の奥に広がってきました。おお、あとから来るタイプですね。熟成感もたっぷりで、味わい深さ満点。赤ワインと合わせると、独特の香りが芳香に変わります。

長期熟成が生み出す旨み感じる濃厚な味わい『みのり』

チーズらしい色合いが期待感を高めます

 誰もが想像するであろうチーズらしいビジュアル。これは長坂牧場 チーズ工房の『みのり』です。ビールセットでご紹介したゴーダチーズと同じく”ハードタイプ”。 ひと口食べてみると、長期熟成ならではの濃厚な旨みと味わいがじわじわと広がります。この濃厚さと旨みが、赤ワインの芳醇な味わいにさらに立体感を出してくれるような魅力的なチーズでした。

生乳の香りとなめらかな舌触り『横市チーズ』

真っ白な表皮がまるで雪原のよう

 真っ白な見た目が特徴的な横市フロマージュ舎の『横市チーズ』。見ての通り”白カビタイプ”です。先ほどビールセットでご紹介した、同じく白カビタイプの『カマンベール・カレ』で不意打ちを食らったので、やや緊張しながら一口。比較的クセの少ないハードタイプと比べると香りが強めですが、『カマンベール・カレ』よりも筆者は食べやすく感じました。なめらかな舌触りも◎。口の中に生乳特有の香りが程よく残り、そこに赤ワインを含むと、余韻によって奥行きのある味わいが楽しめます。

塩味と香りがたまらない青カビタイプ『ブルー・ド・フロマージュ』

ブルーのパッケージが印象的

 十勝野フロマージュの『ブルー・ド・フロマージュ』は”青カビタイプ”。チーズの中に青カビを入れて内側から熟成させており、刺激的な香りと強い味わいが魅力の個性派です。パッケージを開けると、円形のプラスチックカップに小さなサイコロ状のチーズが詰まっています。食べやすいサイズになっているのは嬉しいですね。いざ食べてみると、ふんわりと広がるブルーチーズ特有の香りの中に、強い塩味を感じる尖った味わいを感じます。この強めの塩味と特有の香りが、赤ワインの風味をより豊かにしてくれます。

ほどよい酸味とミルク感が絶妙な『牧家ザ・ナチュラルチーズ プロボローネ』

ナイフを入れるとわかるモチッとした弾力も魅力的

 最後は牧家の『牧家ザ・ナチュラルチーズ プロボローネ』を。こちらは”パスタフィラータタイプ”。イタリア語でパスタは「生地」、フィラータは「糸状に裂ける」という意味があります。チーズの元となるカードを繊維状の組織にするイタリア南部の代表的な製法で作られるタイプなのです。いざ口にしてみると、酸味がありつつミルク感もあるなめらかな口当たり。この酸味がワインの渋みとよく合い、さらにミルク感が奥深さを演出します。まさに相性ぴったりです! ちなみに焼くとミルクの深い味わいが一層堪能できるそうです。

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 ご紹介したドリンクに合うチーズセットは2/15~の期間・数量限定販売なので、気になった方はぜひ早めのチェックを。チーズの製法やタイプを知ってから食べると、いつもとはひと味違った楽しみ方ができますよ。

(取材・文◎きなこ)

●DATA

ホクレングリーンプラス

https://www.hokuren-greenplus.jp/html/page65.html