【宮城 光の絶版車RIDE/Vol.3ホンダ NSR250R SP】いま乗っても最強マシン!(このバイクに注目)
「宮城 光の絶版車RIDE」第3回は、ホンダのNSR250R SP。バイク王 つくば絶版車館の技術とノウハウで、ウィークポイントを解消し、2ストサウンドが炸裂。ベテランには懐かしい、若年層には新鮮なそのエキゾーストノートは動画でチェック!
【宮城光の絶版車RIDE】絶版車リビルドはこうして行われる!往年の名車たち~NSR250R SP(MC21)編~
ネガティブポイントを解消すれば、いまも元気に走れる!いや~参ったね。もう、この2本チャンバーから聞こえてくるエキゾーストノートは当時のサウンドそのものだ。このマシンで峠やサーキットを走り回ってきた読者&視聴者の皆さんも多いだろう。
私は、当時はHRCのワークスライダーとして走っていた時期。このバイクの全盛期を見てきた1人として、いま改めてここまで美しく仕上げられていると本当に嬉しくなる。
もちろん美しさだけではない。バイク王 つくば絶版車館のスタッフによりネガティブポイントは完全に払拭されているのだ。
ネガティブポイントその1は、エンジンのセンターシールが抜けてしまうこと。これはクランクシャフト中央部分に入っているゴム製のパーツが劣化してエンジンの機密性が保たれず、パワーダウンしてしまう症状なのだが、井上ボーリング製のラビリンスシールで対処している。
ネガティブポイントその2は、PGM(メインECU)の劣化。これは数年前からリビルドできるようになり解消されたとのこと。
この2つのネガティブポイントの他に消耗品を127品目(!)も交換。カウルもリビルドすることで、美しさを保っている。
まるでレーサー。いま乗ってもこれは究極!タレ角のキツいハンドル、コンパクトなポジション。フレームやスイングアームは、ワークスマシンと変わらないレイアウト。他にもガルアームにマグネシウムホイールのこのモデルは、実際にプロダクションレースでも大活躍した。本当にワークスマシンのノウハウがすぐに市販車に反映されていった時代だった。
走っていてもフレディ・スペンサーを思い出す。走り出した瞬間のインパクトは車体の軽さ。133kgの乾燥重量は、125ccのオフロードマシンくらいだ。
今回の個体もバイク王 つくば絶版車館の総力で仕上げた1台。樹脂外装の多いモデルにも関わらず、美しい仕上がりに溜息が出る。足周りではステアリングダンパーに新品フロントディスク2枚が奢られ、まさにこれから長く楽しめるマシンになっている。
エンジンの回転を上げていくと6速クロスミッションとスロットルワークが見事にシンクロする。加速も減速もすべてが気持ちいい。
「こんなにいい音してたの?」とアクセルを開ける度にそう思わせてくれたNSR250R SP。
とても30年の時を重ねてきたと思えない出来映えだった。
初代NSR250Rは1986年に登場。世界グランプリ250ccクラスに参戦するファクトリーマシンNSR250の技術が投入されたレプリカとしてリリースされた。排気量250cc、水冷2ストロークV型2気筒エンジンは45psを発揮し、当時としてはクラス最軽量となる乾燥重量135kgと合わせて、ホンダのレーサーレプリカとして人気を獲得。以後、NSR250Rは1996年モデルまで、1年毎に改良されながら生産が続けられた。ここで紹介しているNSR250R SPは、“MC21”と呼ばれる型式上では第3世代のモデルにあたる。SPは、スタンダードモデルのNSR250Rに対し、乾式クラッチや減衰調整機構を備える前後の足周りを持つSEにマグネシウムホイールを追加した仕様だった。なお、当時のNSR250Rの価格はスタンダード:62万円、SE:66万円、SP:73万円。すべて消費税含まず、速度警告灯装着車は10,000円高とされていた
SP及びSEのエンジンには乾式クラッチを装備。当時のレーサーレプリカ系エンジンにはカセット式ミッションなど、レーシングマシンと同じ仕様に仕上げられていた。このMC21までは最高出力45psだったが、次モデルとなるMC28('93年~)ではメーカーによる国内自主規制が強化され、250ccクラスはレプリカといえども40psとされた
マグネシウムホイールはSPならでは装備。SPモデルが初めて設定された当時の資料では、前後で1.5kgの軽量化と記載されている
エキゾーストチャンバーを効率よくレイアウトできる“ガルアーム”と呼ばれる湾曲したスイングアームを採用したのはこのMC21から。80mmほど上方に湾曲させることで、チャンバーのエキパイ部分がトグロを巻く必要がなくなり、バンク角も増大した。なお、MC28では片持ち式“プロアーム”へと進化した
「目の字」構造の異形5角断面材を使ったアルミツインチューブフレームは、前モデル(MC18)のフレームに対し、幅を広げ、厚みを減少させている。これにより、捻れ剛性が20%ほど向上。前後サスペンションと車体全体の剛性バランスが整えられたことで、走りにしなやかさが加わった
SPの前後サスペンションには減衰力調整機構を装備。リヤショックユニットはアルミ製リザーバータンクが採用され、レーシングユースでも安定したダンピング性能を発揮
SPECSpecificationsHonda NSR250R SPエンジン水冷2ストロークV型2気筒総排気量249ccボア×ストローク54×54.5mm圧縮比7.4対1最高出力45ps/9,500rpm最大トルク3.7kg・m/8,500rpm変速機6速フレームダイヤモンド車両重量152kgキャスター/トレール23°15′/87mmサスペンションF=テレスコピック正立R=スイングアーム+モノショックブレーキF=ダブル R=シングルタイヤサイズF=110/70R17 R=150/60R17全長/全幅/全高1,975/655/1,060mm軸間距離1,340mmシート高770mm燃料タンク容量16L価格(発売時)73万円※スペックはMC21