日ハム新庄監督「いい選手を獲ってきて、は面白くない」 描くチーム編成の方針
「2軍の選手を育て上げて、補強もそんなにしない」
日本ハムの“ビッグボス”こと新庄剛志監督が30日、札幌ドームで行われた「ファンフェスティバル2021」に登場。イベント後に報道陣に応じ、戦力補強に頼らず、現有戦力で戦い抜く覚悟を示した。
監督就任の挨拶で「来年からは僕が舵をとり、選手たちと一緒に長い船旅に出ます。一緒に船に乗ってくれますか?」とファンに呼びかけたビッグボス。「嵐の時は壊れた船をみんなで直しながらゴールまで辿り着こうという思いで」とチームを船に例えた心境を明かした。
乗っているのは、今いる選手だ。「戦力は2軍の選手。2軍の選手を育て上げて、補強もそんなにせず」とニヤリと笑った。全員同じスタートラインに立たせるため、1軍の選手は1人もいないと公言。この日口にした“2軍の選手”とは全選手のことだ。「今まで苦しんできたこの3年間を僕のアドバイスや行動やトークでどれだけ変わるかというのは、ものすごく楽しみですね」と大化けを期待する。
「いい選手を獲ってきてという野球は、あんまり面白くないと思うんですよ」と大型補強には関心を示さない。そう言った後で「ボロッボロに負けたりしてね」と豪快に笑った。「でも、どっちかでいいと思う。(上に)ガーなのか、(下に)ガーなのか。極端が好きなので」と自分が信じた道を突き進む。
指導方針は長所を伸ばすこと「持っている才能の高い方のレベルを上げていきたい」
選手の力をどう引き上げるか、毎日頭を悩ませている。「僕が自然にやれていたもの、(特に)守備に関しては『なんでそれができないの?』という状態なんです。それをどうやって俺に近づけさせようかというのは、毎日の課題。言っていることをやれる選手とやれない選手がいるので」と打ち明ける。
ベースになる指導方針は、苦手克服よりもまずは長所を伸ばすことだという。「基本的には、その選手が持っている才能の高い方のレベルを上げていきたいね。ダメな方を追いかけさせると、中途半端な選手になっていきそうな気がする」と語る。
守備でチャンスをつかんだ自らの経験を踏まえての発言だ。「僕はバッティングなんかそんなに興味なかったけど、突き抜けたろ、守備で!(と思っていた)。という方が試合に出ることができて、やっていくうちに人間って慣れていくので、気がついたら悪いものが追いついてきている。そういう方が正しいかな」と持論を展開。選手には試合に出るための“一芸”を求めた。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)