全豪オープンへの「裏口」?シドニーでのATPカップ開催案が浮上

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2月に開催された今年と違い、来年は例年通り1月の開催が予定されている「全豪オープン」。新型コロナワクチンを2回接種していない選手は参加できないのではないかと懸念を呼んでいるが、ある「裏口」的な解決策が浮上してきた。英Express紙が報じている。

それはテニス選手たちが、「全豪オープン」が開催されるメルボルンからではなく、シドニーからオーストラリアに入るという案だ。「全豪オープン」の参加選手たちに2度のワクチン接種を義務付けるかどうかでは、オーストラリア政府と地元ビクトリア州政府の意見は分かれているようだが、ビクトリア州政府は「義務付け」の立場を崩していない。そして「全豪オープン」で最多優勝を遂げている世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、ワクチン接種をしたかどうか公言する気はない、オーストラリアに行くかどうかもわからないと発言しており、主催者らをジレンマに陥れている。


オーストラリアのスコット・モリソン首相は以前、プロスポーツ選手は2週間の検疫を果たせば、ワクチン接種をしていなくても入国できる、と話したが、ビクトリア州首相のダニエル・アンドリュース氏は、そのような例外は認めないと真っ向から否定。


そこでオーストラリアテニス協会の考えだした方法は、ワクチン接種をしていない選手らはまずニューサウスウェールズ州に入り、そこで2週間の検疫を済ませる。そうすれば、選手らはそこからメルボルンに移動し、「全豪オープン」に出場することができるというのだ。シドニー・モーニング・ヘラルド紙によれば、オーストラリアテニス協会は、選手たちをまずニューサウスウェールズ州に集め、そこで国別対抗戦「ATPカップ」を含む「全豪オープン」前の大会を開催することを考えているという。


ニューサウスウェールズ州の観光相はそのアイディアを歓迎。「“ATPカップ”のように人気のあるスポーツイベントを開催することは、わが州の観光業のためにとても重要なことです。“ATPカップ”は世界最高のテニス選手たちや、関係者やファンたちをシドニーエリアに呼び集め、ここのホテルに滞在し、観光をしたり、買い物や食事を楽しんでいただくことになります。この1年はシドニーにとって大変な年でしたが、州政府が規制を緩和して以来、急速に改善しています。“ATPカップ”のようなイベントは、社会と経済の回復に大きな役割を果たすでしょう」と観光相は語った。


ジョコビッチやその他の選手たちが「全豪オープン」に出場できないとなれば、大会側には大打撃である。オーストラリアテニス協会は、選手たちも住人たちも納得できる方法を見つけたのだろうか。


(テニスデイリー編集部)


※写真は「全豪オープン」でのジョコビッチ
(Photo by Cameron Spencer/Getty Images)