鎧塚俊彦シェフ直伝! 「栗のロールケーキ」【ときめき!くだものレシピ #5】

季節を感じる、ほんのり甘い栗のロールケーキ

ふとした瞬間に秋の訪れを感じる今日この頃。芸術的なデザートで常に私たちを魅了してくれるスイーツの巨匠、鎧塚シェフが9月連載の最終回に選んだのは“栗”。ホクホクの栗はそのまま食べてもおいしいですが、今回は砂糖の衣をまとったマロングラッセを用います。

「最後は秋ならではの味覚、栗を使ってロールケーキを作っていきましょう。ロールケーキはお好きな方が多いですよね。僕のお店でもいろいろなフルーツでロールケーキを作っていて、たくさんのお客様に喜んでいただいています。

ロールケーキはスポンジ生地を焼いて巻く過程で少しテクニックを要しますが、この連載でご紹介したレシピの総まとめとしてぜひ挑戦していただきたいです。上手に巻くためのコツもお伝えします」

「ロールケーキは、ふわふわのスポンジ生地(ジェノワーズ)と生クリームの口どけを楽しむスイーツです。スポンジ生地を焼くのはむずしいと思われる方もいらっしゃると思いますが、ロールケーキでは天板に生地を流して焼くので、コツさえ守れば成功しやすいですよ。

スポンジ生地のふわふわの食感を左右するのは、卵液に含ませる空気の量です。卵は卵白と卵黄を一度に泡立てる“共立て”で、卵液に空気をたっぷり含ませ、クリーム状に泡立てます。じつはポイントはそのあとにあって、泡立てた生地を低速で撹拌します。きめをそろえることで、よりしっとり、ふんわりしたスポンジが焼けるんですよ。

ちなみに、生クリームの泡立ても8分立て程度に抑えましょう。口あたりと口どけのやさしい仕上がりになって、スポンジともなじみやすくなります」

材料(40×30cmの天板を使用)

調理時間:約1時間(※巻いた生地を休ませる時間は含まない)

・マロングラッセ(市販)……20粒
・グラニュー糖……65g
・薄力粉……65g
・バター(無塩)……26g
・生クリーム……12g

〈ホイップクリーム〉
・生クリーム……300g
・グラニュー糖……21g(生クリームの7%)

下準備

・ホイップクリームを作る。生クリームにグラニュー糖を加えて泡立て、8分立てにする
・マロングラッセの上部と底部をカットする
・薄力粉をふるう
・バターと生クリームを湯せんにかけて温める
・オーブンを170度に予熱する

「ロールケーキをカットするときにどこを切っても同じ大きさのマロングラッセが顔を出すように、栗の上下をカットして大きさをそろえます。切り落とした部分もケーキに巻き込むので捨てないでくださいね!」

作り方

1. 卵とグラニュー糖を湯せんにかけて温める

ボウルに卵とグラニュー糖を入れ、ボウルより大きな鍋で60度程度の湯せんにかけ、卵液を人肌程度に温めます。

「鍋の底に網を置くと、あたりがやわらかくなり、急激に熱されるのを防げます。じっくりと温めながらグラニュー糖をしっかり溶かしていきましょう。人肌は36度程度ですが、温度計がない場合、指で触ってぬるいと感じる程度です」

2. 卵液をもったりするまで泡立てる

人肌に温まった卵液を湯煎から外して、高速のミキサーにかけます。もったりとツノがたったら、低速に切り替えて1~2分ほどかくはんし、キメを整えます。最初は濃い黄色だった卵液が、空気をたっぷり含んでクリーム色に変わっていきます。

3. 振るった小麦粉を2に加えて軽く混ぜる

2にふるった薄力粉を2回に分けて加え、スパチュラを使って、泡を消さないようにふんわりと混ぜます。

「小麦粉は事前にふるってしっかり空気を含ませておきましょう。そうすることでふんわりした生地になります」

4. 生クリームとバターを3に加えて混ぜる

湯せんにかけて軽く温めておいた溶かしバターと生クリームに、3をひとすくい加えて、しっかり混ぜます。

溶かしバターと生クリーム、生地を合わせたものを、3に戻して混ぜます。

「こうすることでバターと生クリームを生地に手早くなじませることができますよ。泡をできるだけ消さないためのコツです」

5. 天板に生地を流し入れ、オーブンで焼成する

天板の中央に高い位置から生地を流し入れ、パレットナイフやスパチュラを使って全体に広げます。2、3度天板を軽く落として大きな泡を消し、予熱をしていた170度のオーブンで15分焼きます。お手持ちの天板のサイズが小さい場合は生地が多少厚くなるので、竹串などで焼き加減を確認しつつ、少し長めに焼いてください。

「中央から角に向けてパレットを動かすと隅まで生地が届きますよ。巻きやすいように上辺と下辺を薄く、中央を高く整えてください。でも、整えるのに時間をかけすぎるのはよくありません!手早く整えて、オーブンに入れてくださいね」

生地が焼き上がったらオーブンから出し、網の上に置いて粗熱が取れるのを待ちます。

6. ホイップクリームを塗り、マロングラッセを並べる

スポンジ生地より大きなサイズのクッキングシートを敷いて、冷めたスポンジ生地を裏返して置き、スポンジからクッキングシートを外します。

ホイップクリームをスポンジに塗っていきます。ふわふわに焼き上がった生地を潰さないようにていねいに塗り進めます。

「生地を奥から手前に向かって巻いていくので、巻きはじめの上部はクリームを厚め、巻き終わりの下部は薄く塗ると巻きやすく、できあがりがきれいです。クリームのはみ出し防止にもなりますよ。両端も厚めに塗ってくださいね」

上部にマロングラッセを敷き詰め、切り落とした部分も真ん中くらいの位置に一列に置きます。

7. 生地を巻き、形を整える

スポンジ生地の上辺を少し折り込みながら、クッキングシートを一気に手前に引っ張り、生地を巻き込んでいきます。

「“太巻を巻くようなイメージで”一気に巻いてください。巻き終わった時点で巻きがゆるくても心配しなくて大丈夫」

ベーキングペーパーの上からロールケーキに沿って定規を当て、下のベーキングペーパーをゆっくりと引っ張ります。ロールケーキの巻きがきゅっとしまって、きれいな円形に整います。

型が整ったら、紙の両端をキャンディの包み紙のように折って、冷蔵庫で30分から1時間休ませます。スポンジ生地とホイップクリームが落ち着いたら、お好みの大きさにカットして粉糖をふりかけ、皿に盛り付けます。

心もふんわり包み込む、秋を味わう栗のロールケーキ

マロングラッセの存在感たっぷりのロールケーキができあがりました!ふわふわのスポンジ生地にほんのりと甘い生クリームと洋酒の効いたマロングラッセのバランスは絶妙で、ひとくちごとに幸せ気分に浸れます。

「スポンジ生地と生クリームの口溶け、その中にほろっと崩れていくマロングラッセの味わいを楽しんでほしいです。もちろんほかのフルーツでも作っていただだけます。バナナやオレンジを使うとさわやかな仕上がりになりますよ」

丸くふんわり巻きこむには少し練習が必要ですが、多少いびつになったとしても、味に間違いはありません。鎧塚シェフが5回にわたって披露してくださった技の数々を生かして、ぜひおうちスイーツを“作る時間”と“味わう時間”を楽しんでいただければうれしいです。

取材協力

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