1ホールでもペロリといけそう♪ 酸味がクセになる「レモンメレンゲパイ」【調理家電でラク家事ごはん #17】
オーブントースターで香ばしく!「レモンメレンゲパイ」
料理研究家・植松良枝さんに教わるオーブントースターを使ったフルーツのレシピ連載も、いよいよ最終回。ラストを飾るレシピは、レモンを皮まで活用する「レモンメレンゲパイ」です。
「大好きなレモンパイをおうちで手軽に再現できるようしたいと思い、考案しました。あえて土台はパイ生地ではなく、グラハムクッキーを使ったタルト生地に。生地を焼き上げる手間がないので、オーブントースターさえあれば誰でも作れるレシピです。
さらにこれから旬のレモンを丸ごとたっぷり使って、爽やかな香りと酸味をギュッと詰め込んだスイーツに!酸味を利かせるのでさっぱりとした口当たりになり、パクパクと食べられちゃうひと皿です。お店のレモンパイでは酸味がもの足りないという人にはぜひ試してほしいですね」
要となるレモンカードも火加減さえ気をつければ、誰でも上手に作れるとのこと。見た目も華やかなレモンパイは、おもてなしの場面でも活躍してくれそうです!
材料(直径20cmのパイ皿1台分)
〈レモンカード〉
a. レモン果汁……80cc
a. グラニュー糖……60g
a. バター(無塩)……50g
・全卵……1個
・卵黄……2個
・グラニュー糖……30g
・コーンスターチ……大さじ2杯
・レモンの皮のすりおろし……小1個分(大なら1/2個分)
〈メレンゲ〉
・卵白……2個分
・グラニュー糖……30g
・レモン果汁……小さじ2/3杯
〈タルト生地〉
・グラハムクッキー……100g
・溶かしバター……40g
「国産レモンが出始めのこの時期(9月~10月)は、青くすがすがしい香りが特徴の「グリーンレモン」が出回ります。ライムとレモンの中間のような香りで、季節限定のおいしさです(もちろんしっかりと色づいた国産レモンでも同様に作れます)。
土台に使うグラハムクッキーは、シンプルな味わいの甘さ控えめタイプがおすすめです。全粒粉のクッキーならザクザクとした歯ごたえで、ほどよい存在感のタルト生地になりますよ」
作り方
1. タルト生地を作る
厚手の袋にグラハムクッキーを入れて空気を抜き、めん棒や空き瓶で細かく砕きます。レンジで温めた溶かしバターを袋の中に入れたら、袋の外側から手でもんでクッキー生地にしっかりとなじませます。
「グラハムクッキーは細かいほうがバターを吸いやすくなって、冷やしたときにしっかりと生地が固まります。粉末状になるぐらいまでよく砕いてくださいね。
溶かしバターも全体になじむよう十分にもみこみましょう。この工程を丁寧におこなえば、タルトの仕上がりがぐっとよくなりますよ」
クッキー生地をパイ皿に広げ、縁まで同じ厚みになるよう押し付けます。
「ぎゅっと押し付けるように敷き詰めることで、さらに崩れにくい生地になります。パイ皿がご自宅にない場合は、100円均一ショップでも売っている使い捨てのアルミ皿でも代用可能です」
2. 材料を火にかける
鍋に(a)を入れて火にかけます。バターが完全に溶け、ふつふつとしてきたら火を止めます。
3. 混ぜ合わせる
ボールに全卵と卵黄を入れて泡立て器で軽く混ぜ合わせたあと、グラニュー糖を加えてしっかりとかき混ぜます。コーンスターチを少しずつ加えて、都度ダマにならないようしっかりと混ぜ合わせます。
4. 2と3を合わせる
3の中に2を少しずつ加えてなめらかに混ぜ合わせます。次に2の工程で使用していた鍋に、ザルでこしながらもどします。
「ザルでこすことで、口当たりのなめらかなクリームになります。特別な調理器具は必要なく、家にあるザルで十分です。もしくは茶こしでも代用できますよ」
鍋をごく弱火にかけ、ゴムベラで焦げないようにかき混ぜます。少しとろみがついてきたら、小さな泡立て器でぽってりするまで混ぜ続けます。
「レモンカードは火加減さえ気をつければ失敗いらず!糖分や油分が多い分、焦げつきやすいので、最初はゴムベラを使って鍋底からはがすように混ぜ合わせましょう。とろみが出たら、火を止めてしまったほうが安心かもしれません。引き続き焦げないよう、絶えずかき混ぜるのが大切です。
冷えるとさらにとろみが強くなりますので、この段階では緩めの状態で構いません。ぷるんとしたマヨネーズ程度の固さになればOKです」
レモンカードにレモンの皮をすりおろして入れます。しっかりと冷めたら1の上に平らに広げます。
「皮は香りが強い部分。入れるだけでより華やかな香りがプラスできます。ただし白いワタ部分は苦味が強いので、表面だけすりおろすようにしましょう」
5. メレンゲを作る
別のボールに卵白を入れて泡立てはじめ、グラニュー糖を3回に分けて加えます。メレンゲに艶が出てボールを逆さにしても落ちてこないほどしっかりと泡立てたら、レモン果汁を回し入れて軽くなじませます。
「メレンゲは生クリームと間違えるぐらい、しっかり泡立てましょう。ここまで泡立てると、オーブントースターで焼いたときにヘタレにくくなります」
6. オーブントースターで焼き色をつける
4の上にメレンゲを帽子のようにのせ、スプーンの腹などを使って表面に角を立たせます。1000Wで1~2分ほど予熱しておいたオーブントースターに入れ、メレンゲにほどよく焼き色がつくまで3~4分焼きます。粗熱が取れたら食べる直線まで冷蔵庫で冷やします。
「メレンゲはあまり高さを出すと焼きムラが出るので、オーブントースターに入る程度にとどめておきましょう。デコレーション技術がなくても、ラフにメレンゲの角を立てれば、焦げ目のおかげで映える見た目になりますよ!
焼くときはまんべんなく焦げ目がつくように、ときどき回転させるのがポイント。オーブントースターを開けた状態でくるくると回しながら焼いてもよいですが、火傷しないように気をつけてくださいね」
「焦げ過ぎた部分が気になるようであれば、ハサミでカットしてしまいましょう。取り除きたいところに対して水平にハサミを入れると、焦げだけをうまくカットできますよ」
お祝いの席にも活用したい、フォトジェニックなスイーツ
アメリカの家庭料理であるレモンパイは、技術いらずでラフに作れるのがよいところ。仕上がりに直結するメレンゲを立てる作業もそこまでむずかしくないので、お子さんと一緒でも楽しく作れそうです。
「メレンゲをしっかり泡立ててれば、翌日もダレずにできたての状態をキープできます。食べたい日の前日に作ってもいいと思います。見栄えするので、お誕生日ケーキに作っても喜ばれそうですね。表面全体にうっすらと粉糖をふると、上品な仕上がりになりますよ」
簡単に作れるレシピなのに、見た目は本格派!テーブルに出したら歓声が上がりそうなスイーツです。
オーブントースターの特徴を知れば、活用幅は広がる!
これまで植松さんにフルーツをメインとしたオーブントースターの活用レシピを4つご紹介いただきました。どれもオーブントースターの強みをうまく活かしたレシピばかりで、改めて調理家電の便利さを認識できましたね。
「オーブントースターは、意外といろいろな料理に使える調理家電です。温度が上がりやすいからほぼ余熱なしで使えますし、焼く時間も短くて済みます。すぐにとろとろのチーズが食べたいときにも便利ですよ。今日のレシピのように上火の強さを利用すれば、焦げ目をつける料理も短時間で簡単。今回ご紹介したレシピを参考にして、ぜひオーブントースターをフル活用してみてくださいね」
特にしっかり加熱しなくても食べられるフルーツは、瞬時に表面を温められるオーブントースターと相性ばっちり。オーブントースターの特徴を掴めば、旬のフルーツを味わう方法はさらに増えそうですね。
取材・文/大瀧亜友美
撮影/海老沢 勇