スマホの必須品 USB充電器の新常識 窒化ガリウムだと何が違う?

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ノートパソコンやタブレット、スマートフォン、ゲーム機などの電子機器に必要不可欠なのがUSB充電器だ。

USB充電器には、小型軽量な製品から、複数のポートを搭載した製品まで、実に多種類の製品が販売されている。最近では100円ショップでもバラエティに富んだUSB充電器が販売されているほどだ。

そんな中、大手の家電量販店では窒化ガリウムを使用した新しいタイプのUSB充電器が登場している。

窒化ガリウムを使用した新しいタイプのUSB充電器とは?
窒化ガリウムが採用されている理由や、USB充電器の購入ポイントをまとめた。


■窒化ガリウムがUSB充電器に採用される理由
窒化ガリウム(GaNa)は、ガリウム(Ga)と窒素(N)の化合物で化合物半導体という半導体の一種だ。
ノーベル賞で一躍話題となった青色発光ダイオードの材料にも使用されている。

従来のUSB充電器には、主に炭化シリコン(SiC)が利用されていた。
窒化ガリウムは、従来の炭化シリコンに比べて、
・発熱が小さい
・エネルギー効率がよい
・絶縁破壊電圧が高い
このような特徴がある。
このためUSB充電器の小型化・軽量化が可能となるだけでなく、耐久性にも優れたUSB機器が製造できるのだ。

逆にデメリットは、一般的なUSB充電器に比べて高価なことだ。

USB充電器に窒化ガリウムが使用されているか否かは、外箱や外箱の仕様を見れば、確認することができる。外箱に「GaN」と表記されていれば、窒化ガリウム採用のUSB充電器だ。


外箱に「GaN」と表記されている。



USB充電器の購入ポイント
USB充電器を購入する基本は、
・本体サイズ
・搭載されているUSBポートの種類と数
・急速充電とPD充電の対応
USBケーブルの種類
この4点をチェックしよう。

■本体サイズ
USB充電器は、本体サイズは小さければ小さいほど、持ち運びやすい。
最近は、喫茶店やファミリーレストランでも、店内のコンセントで充電できる店舗が増えているため、持ち運びできるUSB充電器があれば、店舗でスマートフォンなどを充電できる。
そのため持ちが運びできる充電器のサイズは、選択時の重要な要素となる。


どちらも5V 1A、5V 2.4AのUSB充電器だが、大きさが異なる。



USBポートの種類と数
USBポートの種類と数もチェックポイントだ。
USB充電器は、
USB Type-A
USB Type-C
このいずれか1つ、あるいは両方を備えている。

USB Type-AしかないUSB充電器でも、USB Type-A - Type-Cケーブルを用意すれば、USB Type-CのUSB機器を充電できる。
ただし、USB Type-Aの電圧は5Vに限られるため、一部のノートパソコンなどは充電ができない。


一番左がUSB Type-A、それ以外がUSB Type-CのUSB充電器。


USBポートの数が多ければ、一度に複数の電子機器を充電することができるため、時短に繋がる。ただし、USBポートの数が増えるほど、本体サイズが大きくなる傾向にある。

複数の電子機器を充電するときは、アンペア(A)にも気をつけよう。
100円ショップのUSB充電器は、
・5V 最大1A、USB Type-A×1 110円
・5V 最大2.4A、USB Type-A×1 220円
・5V 最大3.4A、USB Type-A×2 550円
※100円ショップごとに多少異なる。
同じ5Vの充電器であっても、アンペアが異なるのだ。

たとえば、5V 最大3.4A、USB Type-A×2のUSB充電器の場合は、
・5V 最大1A、1ポート
・5V 最大2.4A、1ポート
この規格までの電子機器なら2台同時に充電できる。

充電器のアンペアが小さいと、充電できない場合があるので、注意が必要だ。
たとえば、iPadは、
5V 2.1A以上の給電ができるUSB充電器でなければ充電ができない。


■急速充電とPD
USB充電器の急速充電には、下記のように異なる規格がある。
・PowerIQ / SmartIC / iSmart / Quick Charge(QC) メーカーの独自規格
USB Power Delivery(PD) USB規格で定められている規格

PowerIQ / SmartIC / iSmart / Quick Charge(QC)は、メーカー独自の急速充電規格。
いずれもUSBポートに接続された機器を自動認識して、それぞれの機器に最適な電流で給電する。

USB PDは5Vに加え、9V/15V/20Vをサポートしている急速充電規格。
対応している電子機器で急速充電ができる。
接続する電子機器の数により、ワット(W)が変わることに注意しよう。

たとえば、Anker PowerPort Atom PD 2は、USB Type-C×2を搭載する充電器だ。
・1ポート利用時、最大60W
・2ポート使用時、最大30W×2
最大60Wに対応したノートパソコンを充電する場合、1ポートで利用したほうが短時間で充電できる。
※ワットは、ワット=ボルト×アンペア。この式でワット数を算出できる。


左から順番に61W、65W、60WのUSB充電器。右の2つが窒化ガリウムのUSB充電器。



USBケーブルの種類
USB PDでUSB Type-C - Type-Cケーブルを使用する場合、ケーブルが対応する電圧と電流に注意しよう。規格が合わないと、急速充電ができない、充電ができないケースもある。

たとえば、ダイソーの100円ケーブルの場合、最大5V 2.4A対応なので、それを超える規格の電子機器は非対応となる。
一方、同じダイソーでも「何でも使える万能ケーブル」(550円税込)の場合、最大20V 5Aまで対応しているので、文字通りに何にでも使える。


「何でも使える万能ケーブル」があれば、最大20V 5Aまで対応できる


スマートフォンやタブレットを充電するだけなら、100円ショップの100円のUSB充電器でも問題ないだろう。しかしノートパソコンを充電したいなら、USB PD対応のUSB充電器が必要になる。

USB充電器を購入する際は、利用目的に合わせて必要な製品を購入してほしい。


ITライフハック 関口哲司