野永喜三夫さんの「俺のチンジャオロース」【さよなら、夏バテ!「豚バラ万歳」#1】
老舗料理店の3代目が考案!日本一簡単な豚バラ料理
連日、猛烈な暑さが続いています。少しずつ疲労がたまって、夏バテを感じたり、食欲がわかなかったり……という方もいるのでは?そういうときには、体や胃腸にやさしい食事、和食がぴったりです。
旬の野菜をはじめとする素材の味を最大限に引き出す和食は、味付けも控えめで、油をほとんど使いません。でも、本格的な和食となると、だしの取り方や素材の扱い方など、いろいろな“決まり”があるため、ついつい敬遠しがちですよね。
「和食の魅力を多くの人に知ってもらいたい!」という熱い思いで考案したという野永さんのレシピは、だし取り不要。市販品の“白だし”と“めんつゆ”、“ごま油”が頻繁に登場します。8月は野永さんに、超簡単でおいしい和の家庭料理を4回にわたってご紹介いただきます。
野永さんの夏のイチ推し食材は“豚バラ”。何より経済的で、脂に旨味が詰まっているという理由もありますが、豚肉にはビタミンB1が豊富に含まれており、夏バテ対策に役立つからです。そんな豚バラに合わせるのは、旬の野菜たち。
「僕は豚バラが大好き。豚肉を食べると元気が出ますよね!そして、今は一年中、売られている野菜も多いのですが、旬を迎えた野菜は味がよいだけでなく値段が手頃。さらに栄養価も高く、その時期に体が必要とする栄養素をふんだんに摂ることができます」と野永さん。
そんな和の匠が第1回目に選んだ野菜は、つやつやとした緑が清々しいピーマンと、みずみずしい新しょうが。これらを和の調味料を使って、和風のチンジャオロースを作ってくださるそうです。
新しょうがと白だしが決め手のチンジャオロース
調理時間:10分
「普通、チンジャオロースといったら、ピーマン、豚肉、たけのこをマッチ棒のように細く切り、油で炒めますよね?でも、このレシピではピーマンと豚肉は幅広にカットし、たけのこの代わりに新しょうがを使って、豚バラ肉の脂を生かして炒めます。
しょうがは薬味として用いられることがほとんどですが、今回は重要な食材として利用します。今の時期に店頭に並ぶ新しょうがは繊維質がやわらかく水分を豊富に含んでいて、シャキシャキとした食感が楽しめます。なにより、とてもおいしいんですよ。
調味料は旨味の強い白だしだけ。これまでの常識をくつがえすレシピですが、一度食べたらクセになる味ですよ。分量はアバウトで大丈夫です」
材料(2人分)
・豚バラ(薄切り)……200g
・ピーマン……5~6個(180~200g)
・新しょうが……70g
・鷹の爪……1本
・片栗粉……大さじ1杯
・白だし……大さじ2杯
・水……大さじ1杯
・ごま油……大さじ1杯
下準備
・鷹の爪を半分に折り、種を取り出す
作り方
1. ピーマンのヘタと種を取り除く
ピーマンを縦に2等分し、ピーマンのヘタを包丁で丸く削り取るか、外側に折り曲げて割って、ヘタと種をていねいに取り除きます。
「ピーマンの上部を輪切りのように切り落とす方法だと、食べられる部分も捨ててしまうことになります。調理の効率を上げるには、1個ずつ半分に切ってから種を取るのではなく、まず全部を半分に切り終えたあとに、まとめてヘタと種を取るといいですよ」
2. ピーマンを切る
ピーマンを1.5cm幅に4等分に切ります。一般的なチンジャオロースのピーマンよりも幅広です。
「ピーマンはやわらかい内側を上に向けると切りやすいですよ。包丁と逆の手でピーマンを少し傾け、包丁を手前にさっと引くと手際よくカットできます」
3. 新しょうがを切る
新しょうがを5mm幅の千切りにします。皮はむかなくてもOKです。繊維に沿って5mm幅の薄切りにし、横に重ねてカットします。
「しょうがは香りが高く、味をしっかり含むという特徴があります。新しょうがが手に入らない場合は、普通のしょうがでも代用可能。その場合は、皮をむいて使ってくださいね」
4. 豚肉を切る
豚バラ肉を2cm幅にカットします。野永さんは豚肉を写真のように1枚1枚きれいに重ねて、一度にカットしていました。
「豚肉は牛肉と違って産地の差がほとんどないので、国産でも、外国産でも、手に入りやすいものを使ってください。
和食では口に入る大きさにすべての材料を切りそろえます。肉は加熱すると縮むので、それを計算に入れて少し大きめに切りましょう。豚バラ肉は薄すぎると細かくちぎれてしまいます。1.5mm程度の厚みがあるものがおすすめです」
5. 豚肉に片栗粉をまぶす
テフロンタイプのフライパンに片栗粉を入れ、4を加えます。まんべんなく片栗粉を混ぜます。
「まだ火はつけないでくださいね。ポイントはフライパンの底に片栗粉がなくなるまで混ぜること。フライパンの中で片栗粉をまぶしていくと、洗い物がひとつ減りますよ」
6. 豚肉を中火で炒める
片栗粉をしっかり豚肉にまぶし終えたら中火にかけ、2分30秒から3分ほど炒め、全体にしっかり火を通していきます。中火でゆっくりと火を入れることで、肉がやわらかく仕上がります。鷹の爪もこのタイミングで入れます。辛いものが苦手な方は、入れなくてもOKです。
「最初は豚肉同士がくっつき合っていますが、火が入るにつれてぱらぱらと分離します。根気強く炒めてください」
7. 新しょうがを加えて炒める
豚肉の色が変わったら新しょうがを加え、透明感が出るまで火を通します。火加減は中火のままです。野永さんは2分ほど炒めていました。
「豚肉や新しょうがを炒める時間は目安でしかありません。正確なタイミングは、五感を使って見極めてください。肉の色や焼ける匂い、音など、調理中の材料が、適したタイミングを教えてくれますよ」
8. ピーマンを加え、調味料で味を調える
新しょうがに透明感が出たら、ピーマンを加えます。30秒ほど炒めて白だしと水を加え、さらに中火で加熱します。フライパンの底部から水分がなくなったら、仕上げのごま油をまわしかけます。
「ピーマンはほぼ生の状態で、白だしと水を加えてください。肉には下味をつけていませんが、肉の表面の片栗粉とうま味たっぷりの白だしがとろりと絡んで最高においしいですよ!」
これまでにない!チンジャオロース
豚バラの脂、白だし、そしてごま油の風味がひと切れひと切れに絡み、お酒にも、ごはんにも合うひと皿に。中華料理のチンジャオロースがしっかり和食になった、まさにこれまでにないチンジャオロースです。
「これほど大量にしょうがを食べることはほとんどないと思いますが、しょうがをたくさん食べると汗が出て、夏バテ対策になりますよ。そして、こんなに簡単においしいものができるなら、もっと料理をしてみたい、と思っていただけると思います」と野永さん。
調理の際の注意点を伺うと、「豚バラ肉に火が通ったあとはスピード勝負です。材料を切り終わったら、不要なものは片付けてから調理に入りましょう。複数の食材を切る場合には、まな板を使い回せるように、野菜からはじめて肉や魚を切ってください。料理にとって大切なことは、先を見越した行動です」と教えてくれました。
次回は「きゅうりのパラパラ焼きめし」をご紹介します。お楽しみに!
取材協力
店舗名:日本料理 日本橋ゆかり
電話番号:03-3271-3436
最寄駅:地下鉄メトロ銀座線 日本橋駅 徒歩3分JR東日本 東京駅 徒歩9分
郵便番号:103-0027
住所:東京都中央区日本橋3丁目2-14
市区町村:中央区
町域:日本橋3丁目2-14
営業時間:11:30~14:0017:00~22:00
定休日:なし