井桁良樹シェフの「豚肉とパクチーのクミン炒め」【暑さ吹き飛ぶ!シビ辛レシピ #4】
中華の巨匠が教える、シビ辛な家庭料理
いよいよ夏本番。食欲が落ちがちなこれからの時期は、スパイスのきいたひと皿でなんとか乗り越えたいものです。
世界にはじつにさまざまなスパイスがありますが、中国特有の香辛料も忘れてはいけません。そこで、テレビでもすっかりおなじみの「中國菜 老四川 飄香(ピャオシャン)」の井桁良樹シェフに、香辛料が主役の家庭料理を教わります。中国香辛料を知り尽くす巨匠は、どんなレシピを教えてくれるのでしょうか。
井桁シェフの夏のおすすめスパイスは、唐辛子、花椒、陳皮、クミンの4種。最後は、独特の香りと苦味、辛みを楽しめるクミンを使った料理を紹介します。
クミンはエジプトを原産とするセリ科植物の種。古くから用いられてきたスパイスですが、2,000年の歴史をもつ四川料理で使われ始めたのは比較的新しく、ウイグル地方から中国全土に広がったそう。肉料理との相性がいいというクミンを豚肉、パクチーと合わせます。
エキゾチックな香りと味!豚肉とパクチーのクミン炒め
調理時間:約10分
「クミンはウイグル地方で用いられていたスパイスで、クミンを使った料理で有名なのはシシカバブ(羊肉の串焼き)です。今回紹介するレシピも本来はラム肉を使いますが、ご家庭でも手軽に作っていただけるように、しょうが焼き用の豚肉を使いました。
主役のスパイスのクミンだけで仕上げても十分おいしいのですが、五香粉も加えます。五香粉は八角、肉桂、花椒など複数のスパイスをブレンドしたもの。さまざまなスパイスの香りが、クミンの香りを際立たせてくれるんですよ。
火を使い始めたら、一気に仕上げていく料理です。食材、スパイス、調味料のすべてを準備して炒めはじめてください。料理を盛り付けるお皿もお忘れなく!」
材料(2人分)
・豚肩ロース(しょうが焼き用)……200g
a. 塩……ひとつまみ
a. こしょう……少々
a. 紹興酒……大さじ1/2杯
a. 水溶き片栗粉……大さじ1/2杯
a. サラダ油……大さじ1/2杯
・クミンシード……大さじ1/2杯
・パクチー……50g
・九条ねぎ(千切り、長ねぎの白い部分でも可)……30g
b. しょうが(みじん切り)……大さじ1/2杯
b. にんにく(みじん切り)……大さじ1/2杯
b. 一味唐辛子……小さじ1杯
c. 砂糖……小さじ1杯
c. 塩……ひとつまみ
c. 黒酢……小さじ1/2杯
c. しょうゆ……小さじ1/2杯
c. スープ……大さじ1と小さじ1杯
c. 紹興酒……小さじ1杯
c. 水溶き片栗粉……小さじ1杯
c. 五香粉……ひとつまみ
c. 黒こしょう(白こしょうでも可)……少々
下準備
・ボウルに(c)を混ぜ合わせておく
作り方
1. パクチーを5cmの長さに切る
パクチーは根の部分を切り落とし、葉と茎の部分を5cmの長さに切ります。
「パクチーは根の部分は味が違うので取り除きますが、葉の部分だけではなく、茎も使ってください。パクチーが苦手という方は、ゴーヤやセロリを使ってもいいでしょう」
2. 豚肩ロース肉を3cm幅に切る
豚肩ロースを3cm幅にカットします。
「ラム肉や鶏肉を使う場合も同様に、食べやすい大きさに切り分けます」
3. 豚肉に(a)を加え、下味をつける
食べやすい大きさにカットした豚肉に、(a)を加えます。塩、こしょう、紹興酒、水溶き片栗粉、油の順番に、ひとつ加えるたびによく揉み込みます。
「下味をつけたあと、水溶き片栗粉を加えると肉同士がくっついてしまいますが、油を入れて揉み込むと自然に肉は離れていきます。
また、下味をつけるときに卵1/2個を加えると肉がやわらかく仕上がりますよ。卵が中途半端に余ってしまうので今回は省きましたが、よかったら試してみてください」
4. 豚肉に火を通し、クミンを炒める
中華鍋(フライパン)でサラダ油大さじ1杯(分量外)を熱し、豚肉を弱火で炒めます。全体的に火が通ったら、豚肉を鍋の片隅に寄せ、空いたスペースでクミンを炒めます。
「お店では肉に油通ししますが、家庭ではむずかしいと思うので、フライパンや中華鍋で弱火で炒めていきましょう。クミンを炒めるのは香りを立てるため。ちなみに鶏肉でもおいしくできます」
5. (b)を加えて炒める
(b)を加え、よく混ぜながら炒め合わせます。一味唐辛子を加えると全体が赤っぽく色付きます。クミンの香りにしょうがやにんにくの香りが加わり、この時点で食欲が刺激されます。
「一味唐辛子はお好みで入れてください。辛いのが苦手な方は控えめにしてくださいね」
6. ねぎ、パクチーを加えて炒める
千切りしたねぎ、パクチーを加え、軽く炒めます。
「今回は九条ねぎを使いましたが、長ねぎの場合は白い部分を使ってください。その場合も千切りしてくださいね」
7. (c)を鍋肌から加え、まんべんなく炒める
合わせておいた(c)を鍋肌からまわし入れ、鍋をふりながら炒めます。全体が混ざったらできあがりです。井桁シェフの炒め時間はトータルで3分でした。
スパイシーな味付けに箸が止まらない
スパイスをピリッときかせた「豚肉とパクチーのクミン炒め」のできあがりです!クミンのスパイシーな香りのおかげで、 食欲がないときでもひと口食べたら次々と箸が進みそうです。
「中華料理はスパイスを複数使って味や風味を組み立てるのでむずかしいと思われがちですが、ある程度のスパイスがそろってしまえば、逆に簡単にレパートリーが広がると思います。
スパイスを強火で炒めて香りを立たせる、肉を煮込む前に油で炒めるなど、ちょっとしたひと手間をかけるだけでグンとプロの味に近づきます。ぜひ中華料理を身近に感じていただきたいです」と井桁シェフ。
7月は香りと風味を楽しむ四川料理らしいレシピを4品紹介しました。食べて健康になる中華料理をぜひ日常の食生活に取り入れてみてください。
さて、来週から8月に突入。8月はどんなシェフが登場するのでしょうか?楽しみにお待ちください。
取材協力
店舗名:中國菜 老四川 飄香
電話番号:050-3134-5664
最寄駅:都営大江戸線 麻布十番駅 7出口 徒歩4分地下鉄メトロ南北線 麻布十番駅 5a出口徒歩 6分
郵便番号:106-0045
住所:東京都港区麻布十番1-3-8 Fプラザ B1F
市区町村:港区
町域:麻布十番1-3-8 Fプラザ B1F
営業時間:ランチ 11:30 ~ 15:00 (L.O. 14:00)ディナー 18:00 ~ 23:00 (L.O. 21:30)
定休日:月曜日、第1・3火曜日