投資は早く始めた人が得する理由。iDeCoとNISAはどちらをやるべき?
スーパーに行くと食料品や野菜が高く、なかなか節約ができない。そんな物価の上昇を肌で感じている人も多いのではないでしょうか?「貯蓄がしづらい今、資産運用が不可欠です」と教えてくれたのは、節約アドバイザーの丸山晴美さん。
とはいっても、なかなか踏み出せない資産運用。損をしないためにどのように始めていけばよいのか教えてもらいました。
もうこれ以上きりつめても貯まらない…そんな人も多いのでは?(※画像はイメージです。以下同)
家計診断をしていくなかで、昨今、iDeCoとNISA(つみたてNISA含む)をされている方が増えているように感じます。また、投資運用を始めたいけれど、なにから始めたらよいかわからないというお悩みも寄せられるようになりました。。
そもそも投資ってなんのためにするの? と考える方も多いかと思います。大きな理由としては、インフレリスクが挙げられるでしょう。
ここ数年、物価が上がったと実感する人も多いはずです。スーパーで何かを買うにしてもこれまでは安く買えていたものが、躊躇する価格になっていたりすることはありませんか? 物価が上がるということは、今まで100円で買えたものが110円出さないと買えなくなること。つまりお金の価値が下がっているということを表します。
日本が低金利時代に突入してから約20年。その間にも物価はじわりじわりと上昇してきました。2002年に某ハンバーガーチェーンのハンバーガーは59円と、デフレを象徴するような値段まで下がりました。そして2021年現在の価格は、110円とその差1.8倍です。1000円で買えるハンバーガーの数は、16個から9個へと大きく減っています。
つまり、この超低金利時代に預貯金だけで運用をしているのは、どんどん資産を目減りさせている可能性があるということです。
金融庁が、すべての国民に資産形成・投資運用をするように提言しています。最低限身につけるべき金融リテラシー(4分野・15項目)があり、その4分野については下記になります。
・家計管理
・生活設計
・金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品利用選択
・外部の知見の適切な活用
家計管理や生活設計については、ある程度できている方が多いかとは思いますが、金融商品の利用選択については、なかなかできていないという方も多いのではないでしょうか。
投資や運用というと、知識がないと損してしまいそう、難しそう、周囲で大損した身内を知っている…などマイナスイメージがつきまとうもの。一方で、着実に運用をしている人や情報を見聞きすると、自分もなにかしなければいけないのか? といった不安を覚える人もいるのではないでしょうか。
もちろん投資には元本が減るリスクはあります。しかし、そのリスクを減らす方法はあります。基本は、「長期」「積立」「分散」することで、リスクを下げることができます。これは、短期間に利益を得ようとせず、10年以上の長期間に渡って運用すること(つまり早く始めたほうがいい)。一度に大きな金額を運用に回すのではなく、毎月定額を積み立てること。そして、運用をする商品を国内外のものも含めて分散させることが運用の基本的な考え方となっています。そういった観点から見れば、預貯金は運用する商品の1つであって、すべてではないことがわかるでしょう。
投資運用をするには、100万円単位のある程度まとまった資金が必要になるイメージがありますが、じつはそうではありません。毎月100円からでも運用することはできます。そもそも投資用にお金をねん出するのが難しいという人は、無駄にかかっていた通信費や固定費などを節約するなどして浮いたお金を運用にあててはいかがでしょうか? たとえば1万円節約できたら、その分を毎月積み立てながら運用していくイメージです。生活そのものに影響はないはずです。
参考までに、2018年8月から毎月2万円ずつロボ投資(この後解説します)をしてきた筆者ですが、2021年6月24日現在プラス11万6000円程度の利益が出ています。たとえ大きな利益がその場で出なかったとしても、コツコツ積み立てていくことが大切です。
これはあくまでも例ですので、必ずしも同じように利益が出るとは限りませんし、今後の動きもまだわかりませんので、投資をする際はご自身の判断でお願いします。
【iDeCoで運用を始めることが最初の一歩】
投資運用に興味はあるものの、なにから始めたらよいのかわからないときは、まずは「iDeCo」(個人型確定拠出年金)をおすすめします。
「iDeCo」とは毎月一定のかけ金を出し、自分で金融商品を選んで運用する「個人型確定拠出年金」のことで、積み立てて運用したお金は、原則60歳以降に受け取れる制度です。2022年5月以降から、国民年金の被保険者なら、65歳までかけ金の積み立てができるようになります。
iDeCoの最大のメリットは、かけ金全額が控除の対象になり、かけ金に応じて所得税・住民税が軽減されることです。ただ、専業主婦(夫)の方など所得がない人の場合は、所得税・住民税軽減のメリットはありません。それでも、運用で得た利益に対してiDeCoなら非課税になるので、利益をまるっと受けることができます。原則60歳まで引き出すことができませんが、受け取りの際にも「退職所得控除」や「公的年金控除」といったメリットもあります。
iDeCoは、毎月かけ金を積み立てて、長期間、自分で選んだ投資商品で運用するタイプですので、投資におけるリスクを減らしながらも、税制的にも有利な商品と言えるでしょう。老後の自分への仕送りという風に考えるといいかもしれません。
【iDeCoとNISAどちらをやるべき?】
また、iDeCoとNISAで悩む方も多いようですが、「原則60歳まで引き出すことができないのが不安」という方は、途中解約ができる「つみたてNISA(ニーサ)」もいいでしょう。「つみたてNISA」はiDeCoのようにかけ金が全額所得控除の対象になりませんが、新規投資額で毎年40万円までの上限があります。最長20年間で最大800万円の非課税投資枠があるため、長期間の積み立てにも向いています。
そしてつみたてNISAを使って運用する最大のメリットは、分配金や売って出た利益に対する約20%の税金が非課税になることです。
注意点としては、「NISA」と「つみたてNISA」口座はどちらか1つしか選べませんので、口座開設の際は、ご自身の投資運用スタイルに合わせて選びましょう。
全自動で運用してくれる「ロボ投資」もおすすめです。
ロボ投資とは、金融アルゴリズムに基づいたプログラミングを利用して投資や資産運用におけるアドバイスを得られたり、運用そのものをまかせたりするサービスです。
ロボ投資で有名なのが「WealthNavi(ウェルスナビ)」や「THEO(テオ)」、「楽天証券の楽ラップ」などが挙げられます。資産運用の知識や経験がない方でも手軽に始められるのはもちろん、リスク許容度を決めたら、あとは自動で運用を始めてくれますので、どこに投資しようかと迷う必要も、自分で売買する必要もありません。
ただし、一般的な手数料が1%前後とやや高めです。コストを抑えたいからと自力で運用するのも手ですが、わからずに判断してしまうこともあるでしょう。
だからこそ初めて投資をする場合は、自動で売る・売らないの判断をしてくれるロボ投資が初心者さんの運用方法として、選択肢に入ると考えています。ただし、ロボアドバイザーは確実に利益を保証するものではないということは忘れてはいけません。大切なのは、「長期」に「積立」て、運用する商品の「分散」です。これらをすることで、元本が減るリスクを減らしながら、利益につながる運用ができるのです。
また、最近ではNISAやiDeCoに対応したロボ投資を取り扱うサービスも出てきていますので、ご自身に合ったものを選んでみてくださいね。
まだまだ知識不足で怖いという方は、ポイント運用からスタートしてみてはいかがでしょうか。お買い物などで貯められるTポイント、Pontaポイント、楽天ポイント、dポイントといったポイントを保有しているのであれば、それを投資に回すことができます。ポイントで運用するものなので、それが現金になることはありませんが、そのポイントが増えたら買い物に使えるわけなので、立派な「お金」です。助かることも多いかと思います。
先行きが見えにくい時代だからこそ、毎月の貯蓄をしながらも、家計をやりくりして、浮いた分を投資運用にコツコツと積立投資をしておけば、10年、20年後の自分への助けとなっているはずです。
小さなスタートでもいい、早く始めることこそが、未来へとつなげていきます。
●教えてくれた人
節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。著書に『50代から知っておきたい! 年金生活の不安、解消します
』(共著、幻冬舎刊)などがある。新しい家計簿『節約家計ノート2021
』(東京新聞刊)、『シングルママのお金に困らない本
』(徳間書店)も発売中。オンラインコミュニティサロン「女性のための夢を叶える! お金の教室
」もスタート
とはいっても、なかなか踏み出せない資産運用。損をしないためにどのように始めていけばよいのか教えてもらいました。
もうこれ以上きりつめても貯まらない…そんな人も多いのでは?(※画像はイメージです。以下同)
貯蓄だけでは安心できない時代に!今からできる資産方法
家計診断をしていくなかで、昨今、iDeCoとNISA(つみたてNISA含む)をされている方が増えているように感じます。また、投資運用を始めたいけれど、なにから始めたらよいかわからないというお悩みも寄せられるようになりました。。
そもそも投資ってなんのためにするの? と考える方も多いかと思います。大きな理由としては、インフレリスクが挙げられるでしょう。
●預貯金だけではもう未来をまかなえない時代
ここ数年、物価が上がったと実感する人も多いはずです。スーパーで何かを買うにしてもこれまでは安く買えていたものが、躊躇する価格になっていたりすることはありませんか? 物価が上がるということは、今まで100円で買えたものが110円出さないと買えなくなること。つまりお金の価値が下がっているということを表します。
日本が低金利時代に突入してから約20年。その間にも物価はじわりじわりと上昇してきました。2002年に某ハンバーガーチェーンのハンバーガーは59円と、デフレを象徴するような値段まで下がりました。そして2021年現在の価格は、110円とその差1.8倍です。1000円で買えるハンバーガーの数は、16個から9個へと大きく減っています。
つまり、この超低金利時代に預貯金だけで運用をしているのは、どんどん資産を目減りさせている可能性があるということです。
●国も資産運用を推奨しています
金融庁が、すべての国民に資産形成・投資運用をするように提言しています。最低限身につけるべき金融リテラシー(4分野・15項目)があり、その4分野については下記になります。
・家計管理
・生活設計
・金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品利用選択
・外部の知見の適切な活用
家計管理や生活設計については、ある程度できている方が多いかとは思いますが、金融商品の利用選択については、なかなかできていないという方も多いのではないでしょうか。
投資や運用というと、知識がないと損してしまいそう、難しそう、周囲で大損した身内を知っている…などマイナスイメージがつきまとうもの。一方で、着実に運用をしている人や情報を見聞きすると、自分もなにかしなければいけないのか? といった不安を覚える人もいるのではないでしょうか。
もちろん投資には元本が減るリスクはあります。しかし、そのリスクを減らす方法はあります。基本は、「長期」「積立」「分散」することで、リスクを下げることができます。これは、短期間に利益を得ようとせず、10年以上の長期間に渡って運用すること(つまり早く始めたほうがいい)。一度に大きな金額を運用に回すのではなく、毎月定額を積み立てること。そして、運用をする商品を国内外のものも含めて分散させることが運用の基本的な考え方となっています。そういった観点から見れば、預貯金は運用する商品の1つであって、すべてではないことがわかるでしょう。
●そもそも投資運用をするお金はどこから出せばいいの?
投資運用をするには、100万円単位のある程度まとまった資金が必要になるイメージがありますが、じつはそうではありません。毎月100円からでも運用することはできます。そもそも投資用にお金をねん出するのが難しいという人は、無駄にかかっていた通信費や固定費などを節約するなどして浮いたお金を運用にあててはいかがでしょうか? たとえば1万円節約できたら、その分を毎月積み立てながら運用していくイメージです。生活そのものに影響はないはずです。
参考までに、2018年8月から毎月2万円ずつロボ投資(この後解説します)をしてきた筆者ですが、2021年6月24日現在プラス11万6000円程度の利益が出ています。たとえ大きな利益がその場で出なかったとしても、コツコツ積み立てていくことが大切です。
これはあくまでも例ですので、必ずしも同じように利益が出るとは限りませんし、今後の動きもまだわかりませんので、投資をする際はご自身の判断でお願いします。
【iDeCoで運用を始めることが最初の一歩】
投資運用に興味はあるものの、なにから始めたらよいのかわからないときは、まずは「iDeCo」(個人型確定拠出年金)をおすすめします。
「iDeCo」とは毎月一定のかけ金を出し、自分で金融商品を選んで運用する「個人型確定拠出年金」のことで、積み立てて運用したお金は、原則60歳以降に受け取れる制度です。2022年5月以降から、国民年金の被保険者なら、65歳までかけ金の積み立てができるようになります。
iDeCoの最大のメリットは、かけ金全額が控除の対象になり、かけ金に応じて所得税・住民税が軽減されることです。ただ、専業主婦(夫)の方など所得がない人の場合は、所得税・住民税軽減のメリットはありません。それでも、運用で得た利益に対してiDeCoなら非課税になるので、利益をまるっと受けることができます。原則60歳まで引き出すことができませんが、受け取りの際にも「退職所得控除」や「公的年金控除」といったメリットもあります。
iDeCoは、毎月かけ金を積み立てて、長期間、自分で選んだ投資商品で運用するタイプですので、投資におけるリスクを減らしながらも、税制的にも有利な商品と言えるでしょう。老後の自分への仕送りという風に考えるといいかもしれません。
【iDeCoとNISAどちらをやるべき?】
また、iDeCoとNISAで悩む方も多いようですが、「原則60歳まで引き出すことができないのが不安」という方は、途中解約ができる「つみたてNISA(ニーサ)」もいいでしょう。「つみたてNISA」はiDeCoのようにかけ金が全額所得控除の対象になりませんが、新規投資額で毎年40万円までの上限があります。最長20年間で最大800万円の非課税投資枠があるため、長期間の積み立てにも向いています。
そしてつみたてNISAを使って運用する最大のメリットは、分配金や売って出た利益に対する約20%の税金が非課税になることです。
注意点としては、「NISA」と「つみたてNISA」口座はどちらか1つしか選べませんので、口座開設の際は、ご自身の投資運用スタイルに合わせて選びましょう。
●知識がなくても大丈夫。ロボ投資におまかせ
全自動で運用してくれる「ロボ投資」もおすすめです。
ロボ投資とは、金融アルゴリズムに基づいたプログラミングを利用して投資や資産運用におけるアドバイスを得られたり、運用そのものをまかせたりするサービスです。
ロボ投資で有名なのが「WealthNavi(ウェルスナビ)」や「THEO(テオ)」、「楽天証券の楽ラップ」などが挙げられます。資産運用の知識や経験がない方でも手軽に始められるのはもちろん、リスク許容度を決めたら、あとは自動で運用を始めてくれますので、どこに投資しようかと迷う必要も、自分で売買する必要もありません。
ただし、一般的な手数料が1%前後とやや高めです。コストを抑えたいからと自力で運用するのも手ですが、わからずに判断してしまうこともあるでしょう。
だからこそ初めて投資をする場合は、自動で売る・売らないの判断をしてくれるロボ投資が初心者さんの運用方法として、選択肢に入ると考えています。ただし、ロボアドバイザーは確実に利益を保証するものではないということは忘れてはいけません。大切なのは、「長期」に「積立」て、運用する商品の「分散」です。これらをすることで、元本が減るリスクを減らしながら、利益につながる運用ができるのです。
また、最近ではNISAやiDeCoに対応したロボ投資を取り扱うサービスも出てきていますので、ご自身に合ったものを選んでみてくださいね。
●まずはポイント投資からスタートしてみるのも手
まだまだ知識不足で怖いという方は、ポイント運用からスタートしてみてはいかがでしょうか。お買い物などで貯められるTポイント、Pontaポイント、楽天ポイント、dポイントといったポイントを保有しているのであれば、それを投資に回すことができます。ポイントで運用するものなので、それが現金になることはありませんが、そのポイントが増えたら買い物に使えるわけなので、立派な「お金」です。助かることも多いかと思います。
先行きが見えにくい時代だからこそ、毎月の貯蓄をしながらも、家計をやりくりして、浮いた分を投資運用にコツコツと積立投資をしておけば、10年、20年後の自分への助けとなっているはずです。
小さなスタートでもいい、早く始めることこそが、未来へとつなげていきます。
●教えてくれた人
【丸山晴美さん】
節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。著書に『50代から知っておきたい! 年金生活の不安、解消します
』(共著、幻冬舎刊)などがある。新しい家計簿『節約家計ノート2021
』(東京新聞刊)、『シングルママのお金に困らない本
』(徳間書店)も発売中。オンラインコミュニティサロン「女性のための夢を叶える! お金の教室
」もスタート