中国の高度経済成長期には古いものを取り壊し、高層ビルを次々に建設する動きが各地で見られた。取り壊しにおいては強引な立ち退きもあったようだが、なかには立ち退きを拒否する人もおり、そうした人びとは「釘子戸」と呼ばれている。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国の高度経済成長期には古いものを取り壊し、高層ビルを次々に建設する動きが各地で見られた。取り壊しにおいては強引な立ち退きもあったようだが、なかには立ち退きを拒否する人もおり、そうした人びとは「釘子戸」と呼ばれている。周りが取り壊された更地のなかで、立ち退きに応じずに残った家がまるで「抜けない釘」のように見えるのだろう。

 中国の動画サイト・西瓜視頻はこのほど、「北京の中心地に、釘子戸が残っている」と紹介する動画を配信した。天安門からわずか2キロという最高の立地に、立ち退きに応じない廃墟があると伝えている。

 動画が紹介しているのは、今にも崩れてしまいそうなほど古くてボロボロになった廃墟の家で、すでに人が住んでいる様子はない。だが、立地は最高で北京二環路にある開発予定地に位置している。北京には天安門を中心にした環状道路が何本も走っているが、なかでも二環路は天安門に近く「北京の中心地」となっている。

 この地域の不動産価値について動画では、マンションの価格で「1平方メートルあたり8万から10万元(137万円から171万円)もする」と伝えている。50平米ほどのマンションを買っても、6850万円から8550万円程度かかる計算だ。しかもこれは内装工事費用抜きの価格だ。

 動画によると、この周辺を開発する計画は8年前にすでに持ち上がっていたが、この「釘子戸」の持ち主は提示された立ち退き料「6000万元」に納得せず、「2億元(約34億円)」を要求し、そのままこう着状態に入ったそうだ。6000万元は今の価格に換算して約10億円だが、北京市の不動産価値は8年間の間にさらに上がっているはずだ。

 このまったく価値がないような廃墟の家に対し、これだけの高額を提示されながら首を縦に振らないというのは不思議な話だ。この「釘子戸」に興味を持った人は多いようで、コメント欄には、6000万は「高すぎる」という人や、「安すぎる」、「倒れてしまったら不動産価値は0になるぞ」など多数の意見が寄せられていた。中国の不動産価格の高騰は、異常とも言えるほどで、国民の関心度は高いようだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)