流行の服をとっかえひっかえするのではなく、お気に入りを手入れしながら長く着ていく…そんなサステナブルなスタイルが注目されています。
ここでは60代のおしゃれ達人・化粧品会社勤務の高山美奈さんを取材。祖母から譲られたバッグや、息子が着ていたシャツを自分流に着こなす、おしゃれのコツを伺いました。


高山美奈さんのおしゃれ

息子が少年時代に着ていたシャツも、自分流に。高山美奈さんのおしゃれ術



とにかく高山さんのおしゃれはアイデア満載。ストライプとデニム、2枚重ねたラルフローレンのシャツは息子さんの少年時代のおさがり。
「何度も洗っているからこそのクタっとやわらかくなった風合いは、すごくいい味してるでしょう。これを使わないテはないぞ、と」とニッコリ。胸元のボタンはあけて、さりげなく色香をプラスしています。

●パリが私の価値観を変えた



高校生の頃のアメリカ留学を手始めに、その後はパリへ渡った高山さん。35年過ごしたパリでは、雑誌社の特派員として活躍。コレクションの取材、撮影のコーディネートなどオーダーされるままに請け負うことに。仕事をきっかけに、島田順子氏や入江末男氏などパリ拠点のデザイナーたちとも親交が深まりました。

「ハッピーなアメリカが好きな女の子だったけれど、パリは私の価値観を変えました。仕事で出会う方々だけでなく、パリのエレガントなマダムたちは、存在自体がなぜだか粋なの。私はだれの真似もしないけれど、仕草や肌の露出によって生まれるドラマみたいなことは、住んでいるうちにガンガン身についたのかもしれませんね。若さや新しさにはない魅力をどう見せるかを」

●少女の頃から好きなロック魂は今も健在。ベージュもパイソンで




初夏らしいクールなベージュカラーの着こなし。パイソンプリントのワンピースにロックな気持ちを反映させて。圧縮素材のシャツは、「さらに洗濯機でザブザブ洗って縮ませ、自分のサイズに仕上げます」。
シャツにつけたコサージュは、なんと数十年前のピンクハウスのもの!

●自ら赤い糸で縫い止める。大胆な発想でいっそう愛が深まる




お祖母様から譲り受けたエルメスのケリーバッグは、もはや100年物。
「パリで本店に修理を依頼しても、古い物だからこのまま持った方がいいと返されて。仕方ないから自分で縫いました(笑)」
擦り切れた穴あきニットも、壊れたベルトも、高山さんの赤い糸で蘇ります。

古いものを愛し、自由におしゃれを楽しむ高山さんの姿には、刺激を受けてしまいます。

高山さんほか、たくさんのおしゃれ達人のおしゃれポリシーが掲載されているファッションムック『これからの私が似合う服 春夏
』(扶桑社刊)。大人がときめく毎日のおしゃれがいっぱいで、見ているだけでもワクワク。クローゼットに直行したくなります。ぜひご覧ください。

<撮影/前田晃 取材・文/ESSEonline編集部>