そろそろおむつ卒業!?3歳のぽんこちゃんの忙しい日常<古泉智浩の養子縁組やってみた>
52歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した6歳の長男・うーちゃん、里子の3歳の長女・ぽんこちゃんという家族5人で暮らしています。
今回は、「交換条件」を理解したり、ブランコから落ちた話を盛るぽんこちゃんのお話です。
たびたびこちらのコラムで報じておりました
、3歳の里子のぽんこちゃんのオムツ問題ですが、とうとうトイレでうんちをするようになりました。
「うんちがでる。パパはこないで」
そう言って一人でトイレに行ってうんちをしたのです。「うんちがでると教える」を飛び越えて自分でうんちをするという展開をしたのでびっくりしました。
そもそもおしっこは一人でトイレに行ってひょいっと便座に座って用をたしていたので、それでなぜうんちはしないのだと思っていました。うんちをした後、お尻をふくことを任せるのは不安なので、無理矢理手伝います。
しかしまだ油断はできず、翌日はパンツにうんちをしてしまいましたが、確実に階段を上っている手ごたえがあります。燃えるゴミに出すオムツの分量も減ってきています。
朝からぽんこちゃんがアイスを食べたがっていました。
「ダメだよ、アイスなんて。保育園から帰って来てからだよ」
「アイスたべる〜」
「フレークも食べてないのに、ダメに決まってんでしょ」
「アイスがいい、アイスがいい、あああああ!」
一度言い出したら聞かず、最後は絶叫です。こうなってしまうとアイスを食べさせるか、代わりに楽しいことでもない限りむくれ返ったままです。
ふとこんなことを言っても無駄だろうなと思いながら
「じゃあ、玄米フレーク全部食べたらいいよ」
と言ってみました。
すると、テーブルのイスに座り、すごい勢いで玄米フレークを食べ始めてあっという間に完食してしまいました。
交換条件が成立。トイレの成長と期を同じくして、交換条件を理解するようになっていました。
現代のしつけは体罰が絶対に許されず、しかも里親が手を出そうものなら児童相談所に子どもを連れて行かれてしまいます。
子どももじっくり話して聞かせれば理解できる、などと言われますがそんな寝言はうちの子を見てから言ってほしいと常々思っています。怒ってわけがわからなくなっている幼児には言葉などまったくの無力です。だからと言ってコツンとやっていいとは思わないし、やらないけれども、代わりになにをするかと言えば「ごまかし」です。
現在6歳の養子のうーちゃんもひどいきかん坊で、自分の希望がとおらないと叫び声をあげて暴れ、人間がこれほど長く叫び続けることができるものだろうかと驚異に思うほどでした。うーちゃんは意思の力がすごくて、ちょっとやそっとのごまかしは効かず本当に苦労しました。ひたすら嵐が去るのを待つだけみたいな。
その点ぽんこちゃんも相当なきかん坊ですが、
「ほら、イチゴがあるよ」
「え! イチゴ!」
一瞬で切り替わってうれしそうにイチゴを食べてくれます。
交換条件も問題解決にはならず、ごまかしているだけな感じもありますが、交換条件に応じてくれるようになってから、本当にラクになりました。
ぽんこちゃんは、食事の用意をしても全然食べてくれないことがしょっちゅうあって、ママは悲しい思いをしています。しかし、これから先は夕食を残していたときに
「はいじゃあ、それ全部食べたらスイカだよ」
などと言えば夕食を食べてくれるはずです。
朝、うーちゃんが小学校の集団登校で7時半に待ち合わせ場所に行くのですが、僕はゴミ捨てのついでに様子を見に行きます。ぽんこちゃんがそれについて行きたがります。
待ち合わせ場所とゴミ捨て場の近くに児童公園があり、ぽんこちゃんは朝からそこでブランコをするのが大好きなのです。
「パパ、せなかおして。いちばんつよくおして」
大丈夫かなと思いながら背中を強く押します。
「もっとつよくおして」
「はいよ」
ぐんぐん角度が上がっていくと「うふふふふ、うふふふふ」と笑っています。
うーちゃんがブランコで遊べるようになったのは5歳くらいだったはずで、6歳の今もぽんこちゃんより低い高さで怖がっています。
ところが、先日、ブランコに乗るぽんこちゃんの背中を押して、ぽんこちゃんが笑っていると思ったら、ぽんこちゃんがいちばん高いところで真後ろにくるっと回って落ちました。スローモーションで回転しながら背中から落ちていく様子が見えました。大ケガしたらどうしよう。幸い草木が生い茂る季節で、木の横の草ぼうぼうのところに背中から落ちました。
頭は強く打ったようには見えなかったけれど、手足や腰などを打っているかもしれません。
「わああああ! 大丈夫、ぽんこちゃん?」
ぽんこちゃんを抱き抱えると大声で泣き出しました。
「いたい〜」
「どこが痛いの?」
「あたま」
頭? 打ったのかな。意識はしっかりしていますが家に帰っても泣いていて、心配なのでリビングで様子を見ていると、ママの部屋に走っていきます。すぐに戻ってきて、おばあちゃんは? と聞きます。おばあちゃんの家だよと言うとサンダルを履いて階段を下りて、隣棟のおばあちゃんのところに行きました。
ママがリビングに来て言いました。
「ぽんこちゃん、バナナの皮で転んだの?」
「え? ブランコから落ちたんだよ」
変に話を盛って報告しているようでした。なんだか元気そうなので安心してちょっと遅れて保育園に行きました。臆病なうーちゃんも心配ですが、活発すぎるぽんこちゃんも心配です。
漫画家。1969年、新潟県生まれ。93年にヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。里子を受け入れて生活する日々をつづったエッセイ『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門
』、その里子と特別養子縁組制度をめぐるエピソードをまとめたコミックエッセイ『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました
』など著書多数。古泉さんの最新情報はツイッター(@koizumi69
)をチェック!
今回は、「交換条件」を理解したり、ブランコから落ちた話を盛るぽんこちゃんのお話です。
3歳の里子・ぽんこちゃんは一人でうんちしたりブランコから落ちたり忙しい!
たびたびこちらのコラムで報じておりました
、3歳の里子のぽんこちゃんのオムツ問題ですが、とうとうトイレでうんちをするようになりました。
「うんちがでる。パパはこないで」
そう言って一人でトイレに行ってうんちをしたのです。「うんちがでると教える」を飛び越えて自分でうんちをするという展開をしたのでびっくりしました。
そもそもおしっこは一人でトイレに行ってひょいっと便座に座って用をたしていたので、それでなぜうんちはしないのだと思っていました。うんちをした後、お尻をふくことを任せるのは不安なので、無理矢理手伝います。
しかしまだ油断はできず、翌日はパンツにうんちをしてしまいましたが、確実に階段を上っている手ごたえがあります。燃えるゴミに出すオムツの分量も減ってきています。
●「交換条件」を理解したぽんこちゃん
朝からぽんこちゃんがアイスを食べたがっていました。
「ダメだよ、アイスなんて。保育園から帰って来てからだよ」
「アイスたべる〜」
「フレークも食べてないのに、ダメに決まってんでしょ」
「アイスがいい、アイスがいい、あああああ!」
一度言い出したら聞かず、最後は絶叫です。こうなってしまうとアイスを食べさせるか、代わりに楽しいことでもない限りむくれ返ったままです。
ふとこんなことを言っても無駄だろうなと思いながら
「じゃあ、玄米フレーク全部食べたらいいよ」
と言ってみました。
すると、テーブルのイスに座り、すごい勢いで玄米フレークを食べ始めてあっという間に完食してしまいました。
交換条件が成立。トイレの成長と期を同じくして、交換条件を理解するようになっていました。
現代のしつけは体罰が絶対に許されず、しかも里親が手を出そうものなら児童相談所に子どもを連れて行かれてしまいます。
子どももじっくり話して聞かせれば理解できる、などと言われますがそんな寝言はうちの子を見てから言ってほしいと常々思っています。怒ってわけがわからなくなっている幼児には言葉などまったくの無力です。だからと言ってコツンとやっていいとは思わないし、やらないけれども、代わりになにをするかと言えば「ごまかし」です。
現在6歳の養子のうーちゃんもひどいきかん坊で、自分の希望がとおらないと叫び声をあげて暴れ、人間がこれほど長く叫び続けることができるものだろうかと驚異に思うほどでした。うーちゃんは意思の力がすごくて、ちょっとやそっとのごまかしは効かず本当に苦労しました。ひたすら嵐が去るのを待つだけみたいな。
その点ぽんこちゃんも相当なきかん坊ですが、
「ほら、イチゴがあるよ」
「え! イチゴ!」
一瞬で切り替わってうれしそうにイチゴを食べてくれます。
交換条件も問題解決にはならず、ごまかしているだけな感じもありますが、交換条件に応じてくれるようになってから、本当にラクになりました。
ぽんこちゃんは、食事の用意をしても全然食べてくれないことがしょっちゅうあって、ママは悲しい思いをしています。しかし、これから先は夕食を残していたときに
「はいじゃあ、それ全部食べたらスイカだよ」
などと言えば夕食を食べてくれるはずです。
●ブランコから落ちた話を盛るぽんこちゃん
朝、うーちゃんが小学校の集団登校で7時半に待ち合わせ場所に行くのですが、僕はゴミ捨てのついでに様子を見に行きます。ぽんこちゃんがそれについて行きたがります。
待ち合わせ場所とゴミ捨て場の近くに児童公園があり、ぽんこちゃんは朝からそこでブランコをするのが大好きなのです。
「パパ、せなかおして。いちばんつよくおして」
大丈夫かなと思いながら背中を強く押します。
「もっとつよくおして」
「はいよ」
ぐんぐん角度が上がっていくと「うふふふふ、うふふふふ」と笑っています。
うーちゃんがブランコで遊べるようになったのは5歳くらいだったはずで、6歳の今もぽんこちゃんより低い高さで怖がっています。
ところが、先日、ブランコに乗るぽんこちゃんの背中を押して、ぽんこちゃんが笑っていると思ったら、ぽんこちゃんがいちばん高いところで真後ろにくるっと回って落ちました。スローモーションで回転しながら背中から落ちていく様子が見えました。大ケガしたらどうしよう。幸い草木が生い茂る季節で、木の横の草ぼうぼうのところに背中から落ちました。
頭は強く打ったようには見えなかったけれど、手足や腰などを打っているかもしれません。
「わああああ! 大丈夫、ぽんこちゃん?」
ぽんこちゃんを抱き抱えると大声で泣き出しました。
「いたい〜」
「どこが痛いの?」
「あたま」
頭? 打ったのかな。意識はしっかりしていますが家に帰っても泣いていて、心配なのでリビングで様子を見ていると、ママの部屋に走っていきます。すぐに戻ってきて、おばあちゃんは? と聞きます。おばあちゃんの家だよと言うとサンダルを履いて階段を下りて、隣棟のおばあちゃんのところに行きました。
ママがリビングに来て言いました。
「ぽんこちゃん、バナナの皮で転んだの?」
「え? ブランコから落ちたんだよ」
変に話を盛って報告しているようでした。なんだか元気そうなので安心してちょっと遅れて保育園に行きました。臆病なうーちゃんも心配ですが、活発すぎるぽんこちゃんも心配です。
【古泉智浩さん】
漫画家。1969年、新潟県生まれ。93年にヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。里子を受け入れて生活する日々をつづったエッセイ『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門
』、その里子と特別養子縁組制度をめぐるエピソードをまとめたコミックエッセイ『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました
』など著書多数。古泉さんの最新情報はツイッター(@koizumi69
)をチェック!