ベルリン銀熊賞の濱口竜介監督、現地で喜び&感謝のスピーチ「ありがとうベルリン!」
映画『偶然と想像』で、第71回ベルリン国際映画祭にて審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞し、現地での授賞式に出席した濱口竜介監督が、喜びのスピーチを行った。
現地時間13日19時30分から、ベルリン国際映画祭のレッドカーペットと授賞式が「Open Air Cinema Museumsinsel」にて実施された。本年度のベルリン映画祭は3月にすでに受賞結果が発表されていたが、新型コロナウィルスの影響を受け、授賞式は6月となっていた。
授賞式では、『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』の監督で、ベネチア映画祭初のドキュメンタリー作品で金獅子賞を受賞したジャンフランコ・ロージ監督がプレゼンターを務めた。ジャンフランコ監督は、本作品を「普通なら対話や言葉が終わる地点から、この映画の対話はむしろ始まるのです。そこからが本作の真骨頂であり、あまりに深く掘り下げるので、観客は驚きと困惑の中で自問することになります。『どこまで掘り下げるんだ?』と。濱口の言葉は物質であり、音楽であり、素材なのです。最初は、白い壁の部屋に男と女、ときには2人の女が立っているだけの、ほとんどマイナーなものに見えます。そして、場面が進むにつれて、このシンプルな部屋の中に、自分もそこに含まれるような全宇宙が、彼らともに立ち現れてくるような気がしてくるのです」とコメントし、濱口監督を紹介した。
「ダンケシェーン」とドイツ語で挨拶した後、「日本語でスピーチさせていただきます」と前置きをした濱口監督は、「外は多少寒いということはわかっているのですが、ここに来られなかったキャスト・スタッフの名前を伝えさせていただきます」とし、「古川琴音さん、中島歩さん、玄理さん、渋川清彦さん、森郁月さん、甲斐翔真さん、占部房子さん、河井青葉さんキャストの皆さんです。ありがとうございました。皆さんがこの物語を信頼してくださったので、今このような素晴らしい賞をいただくことができています。そしてここには来られていないスタッフ、撮影の飯岡幸子さん、演出・制作チームの高野徹さん、大美賀均さん、深田隆之さん、音チームの城野直樹さん、黄永昌さん、鈴木昭彦さん、衣装の碓井章訓さん、美術の布部雅人さん、ソ・ヒョンソンさん、メイクの須見有樹子さん、そしてプロデューサーの高田聡さん、本当にありがとうございました」と述べた。
「名前ばかり伝えてすみません。でも本当にこのメンバーがチームのほぼ全員です。とても小さなチームで映画を作りました。この人たちこそがこの映画です。心から感謝を述べたいと思います。同じことが映画祭にも言えると思います、難しい状況の中、オンラインでの上映ではありましたが3月から心遣いと温かみを感じながら(参加していました)。カルロ・シャトリアン(ベルリン映画祭のディレクター)とそのチーム、そして素晴らしい審査員の皆様にお礼を申し上げます、ありがとうございました。ありがとうベルリン!」とスピーチし、大きな拍手を浴びていた。
本作は、「偶然」と「想像」をテーマに3話構成で描くオムニバス短編集。濱口監督が『ハッピーアワー』などの高田聡プロデューサーと共に企画を立ち上げ、2019年夏から約1年半をかけて製作。脚本も監督自身が手掛けた。(編集部・梅山富美子)