おうちでイタリア旅気分。料理家 渡辺康啓さんが出会った「スパゲッティポモドーロ」のレシピ
食のプロが語るおいしい旅案内
食のスペシャリストである料理家さんに、過去の旅で出会ったおいしいごはんとそのレシピを教わる連載がスタートしました。
自粛ムードが漂う昨今、なかなか旅行ができずもやもやしている人も多いはず。そこでこの記事では、食のプロである料理家さんに、思い出に残る旅先とその国で出会った忘れられない料理について、手軽にマネできる再現レシピとともに教わります。
教えてくれた人
渡辺さんのおいしい旅の記憶は?
料理家として独立して以来、渡辺さんが毎年のように旅行しているのがイタリア。もう10回以上も訪れているといいます。
「昔からイタリア料理は好きでしたが、料理家になるまで現地には一度も行ったことがありませんでした。初めて訪れた場所はシチリアです。料理がおいしいのはもちろん、切り立った山に真っ青な海という景観も素晴らしく、とても印象に残っています。
イタリアのおもしろさは、それぞれの州によって食材も料理も違うところ。例えば北はバターやチーズが有名で、南に行くほど野菜やオリーブオイルが豊富になります。そして現地の人が“イタリアって国はない”というほど、それぞれの州に独立した文化があって料理もさまざま。行くたびに新しい発見のある国ですね」
忘れられない料理は「スパゲッティポモドーロ」
「イタリアで食べた料理はどれもおいしく、思い入れが深くて選べない」と悩んでいた渡辺さん。しばらく悩んだ末、教えてくれたのが“スパゲッティポモドーロ”というパスタでした。
「出会ったのは2年前、ローマにあるレストランで。ひっそりとした佇まいで、知らなければ通り過ぎてしまいそうな隠れ家的お店なんです。私はローマに住む友人に案内してもらいました。
素朴な家庭料理を出しているお店で、どれもおいしいんですが、なかでも忘れられないのはスパゲッティポモドーロ。トマト・パスタ・チーズと至ってシンプルな材料を使う基本的なパスタなんですが、なぜかとっても奥深い味わい。まさにイタリア料理の神髄を表している料理だと思いました」
お話を聞いているだけでも、そのときの感動が伝わってくるよう!さっそくイタリアの伝統的なパスタ“スパゲッティポモドーロ”の作り方を教えていただきました。
スパゲッティポモドーロのレシピ
材料(1人分)※ソースは3~4人分できあがります
・パスタ……100g
・トマト水煮瓶詰め……1本
・にんにく……1片
・オリーブ油……適量
・塩……適量
・パルミジャーノチーズ……お好みで
作り方
1. 鍋にトマトの水煮を開け、にんにく1片を包丁の背で潰したものとオリーブ油、塩を入れる
2. 火にかけて沸騰したら弱火に。時折混ぜながらとろりとするまで煮詰める
3. トマトソースの1/4量を鍋に取って弱火で温めておく
4. パスタをゆでるためのお湯を別の鍋に用意。ゆで汁はお吸い物くらいの塩加減に調えておく。パスタを入れ、ほんのり芯が感じられるくらいにゆでたらザルにあげる
5. トマトソースの鍋にパスタを入れ、オリーブ油をぐるりと回し入れて和える。温めておいた皿に盛り付け、パルミジャーノチーズをすりおろして完成
ポイント
渡辺さん曰く、おいしく仕上げるコツは3つ。
・パスタのおいしさはゆでるときの塩加減で決まる。必ずゆで汁の味見をすること
・トマトの水煮は缶でなく、瓶詰タイプや紙パックタイプがおすすめ。缶は金属の香りがついてしまうそう。より本場の味に近づけるならイタリア産のものをチョイス
・チーズは削りたてが香り高くおいしいので、塊で買うのがおすすめ
スパゲッティポモドーロでイタリアに思いを馳せて
基本のパスタだけど、イタリア料理の本質が感じられる“スパゲッティポモドーロ”。
少しハードルが高いように思えますが「パスタは薄味のソースに、味のしっかりついたパスタを絡めるのが一番おいしい」という渡辺さんの言葉通り、このレシピにならって作ればおうちで絶品パスタが手軽に楽しめそうですね。