主婦業のかたわらエッセイストとしても活動する若松美穂さんが、楽しく、豊かに暮らすためのさまざまな工夫をつづります。

東日本大震災を機に、実の母と同居を始めた若松さん。家族だからといって、最初からスムーズにいったわけではないと言います。
同居生活で感じたことを執筆していただきました。

母と私のドタバタ暮らし〜母への伝え方〜




※写真はイメージです

暮らしを共にする母と意見が食い違う、バトルをする。共にしていなくても、ありますね。そんなとき、皆さんはどうしていらっしゃるのでしょう?
母親とはいえ、別の時代に生き、暮らし、別の感覚や考えを持った別の人ですもの。合わない点はたくさんあります。

私は母と暮らしてみて、たくさんの“異なる”を感じました。こう言いますと、私だけが困ったように受け取られるかもしれませんが、母も同様に困ったこと、嫌だと感じることがあったはずです。
震災後というつらい時期、娘と共に暮らすことができて「よかったわね」と思う方が居るかもしれません。でも、実情はそう甘いものばかりではないのです。とはいえ、私たち親子は仲がいい方だと思うので、元に戻るのが早いのは利点だったと感じています。

母は長女で責任感が強く世話焼き。それゆえ、人のために動くのが大好きです。47年「働く人」で、さらにお店のリーダーですから、指示を出すのも得意です。
母はアイデアマンなところがあり、思いつくことを自分のやり方を通したいのです。これまでなら、リーダーである母が指示を出せば、皆が従います。

でも家族はどうでしょう。ものの置き場所、管理の仕方、居心地のよさ、時間の使い方はそれぞれ異なります。母にしてみると、トップダウン的手法が理想で、母が言う→私たち親が従って子どもに伝える→みんなが行動に移すが理想なのです。

確かに、自営業はチームワークが必要ですから、統制することも大切です。でもわが家はいたって普通のサラリーマン家庭で、家はのんびりするところ。ルールは少ない方がいい。

母には、何度も感情と事実を分けて伝える手法を取りました。「お母さんはその方がいいと思っている(気持ちはわかる)。でも、わが家にはわが家の暮らし方がある。家族でも違っていいし、これまでのことを、お母さんの思い一つで、お母さんのやり方に変えることはできないよ(事実と不可能を伝える)」という風に。

また、人の役にたちたい気持ちが強すぎて手を出しすぎるのも、親としては困ったことの一つでした。娘たちには、自分でさせることが成長につながると思っても、「ありがとう」と喜ぶ孫の姿が嬉しくて、つい母(祖母)がやってしまう。
そこもまた、「お母さんの優しい気持ちはありがたいの。でもお母さんがしてしまうことで、彼女たちの力や、せっかくできる経験を奪うことになるんだよ」と、何度も何度も説明したように思います。してあげることが親切と信じていた母にとっては、初めは理解しがたいことのようでしたけれど…。

【若松美穂(わかまつみほ)】



お金をかけずにセンスと工夫でおしゃれに暮らすカリスマ主婦読者として、生活情報誌『ESSE』や『サンキュ!』などで紹介され人気者に。2011年、心理カウンセラーの資格を取得。主婦業のかたわら、エッセイストとしての執筆活動のほか、講演、各メディアへの出演など多方面で活躍。夫と娘2人、母親の5人家族。埼玉県在住。公式サイト「“いま”と“みらい”のへや
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