更年期の上手な乗りきり方。自分に合うセルフケアを複数もつことがカギ
女性ホルモンの減少によって、体や心に大きな変化が起こりやすい更年期。この時期を上手に乗りきるための強い味方が「セルフケア」です。
「これをすると気分や体調が少しラクになる…という心身の調整法を複数もっていると、困ったときにあわてず、気持ちにも余裕が生まれます。症状が穏やかなうちから続けやすいものを探してみましょう」と話すのは、メノポーズカウンセラーの資格をもち、更年期にまつわる記事や書籍制作にも携わる編集・ライターの満留礼子さん。
更年期に時間や場所を選ばすにできるセルフケアや、自身の更年期体験を通して実感したことについて教えてもらいました。
戸惑いがちな更年期の不調。セルフケアが強い味方に(※画像はイメージです。以下同)
更年期(おおむね45〜55歳)は、女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少する時期です。自律神経のバランスが乱れやすくなることに加えて、加齢やストレスなども複雑に絡み合い、心身にさまざまな不調が現れやすくなります。
更年期の不調は多岐に渡り、人によって現れる症状や不快感の程度には個人差があります。日によって現れる症状が異なることもあります。
更年期に現れる症状で、日常生活に支障がある場合を「更年期障害」と呼びます。つらいときは我慢せずに、早めに更年期に理解の深い婦人科を受診しましょう。
また、不調のかげに病気が隠れていることがあります。今感じている不調が更年期によるものだと判断するためにも、定期的に健診や検診を受けましょう。
更年期は、心身ともに揺らぎやすく、さまざまな不調に戸惑うこともありますが、日々、自分の体や心の声に耳を傾けることで、自分をより大切にできる時期ともいえます。
そのための「セルフケア」には、食事、運動、ツボ指圧、アロマテラピー、入浴法などいろいろなものがあります。ほかの人に向くセルフケアが自分にも合うとは限りません。取り組んでいるときに「心地いいな」「続けたいな」と思える、自分に合うセルフケアを探していきましょう。
また、セルフケアはひとつだけと決めずに複数もつようにすると、困った時の選択肢が増え、気持ちにも余裕が生まれます。セルフケアの多くは健康維持に役立ちますので、症状が軽いときも習慣として続けることで、体調の底上げにもつながります。
今回は、更年期に現れやすい症状に向く「セルフケア」をいくつかご紹介します。
急にカーっと顔をはじめ体が熱くなったり、大粒の汗が止まらなくなったりする症状は「ホットフラッシュ」とも呼ばれ、代表的な更年期症状のひとつです。
急激に減少する女性ホルモン(エストロゲン)の影響を受けて、自律神経のバランスが乱れ、血管の拡張や収縮の調整がうまく働かなくなるために起こると考えられています。
【香りの効用で癒されるアロマテラピー】
ラベンダーの精油は、自律神経を調整する働きがあるといわれています。ハンカチにラベンダーの精油を1滴垂らして持ち歩いたり、眠るときに枕元にラベンダーの精油を1滴垂らしたティッシュを置いたりすると、手軽に香りの効用を得ることができます。
【タオルハンカチを多めに携帯】
大粒の汗が止まらないときは、吸水性の高いタオルハンカチが役立ちます。複数枚あると汗で濡れたときも取り替えられます。また、暑い時期、汗のべたつきやにおいが気になるという人は、市販の汗拭きシートを携帯するのもひとつです。
【ツボ押し・お灸でリフレッシュ】
手には、「合谷(ごうこく)」や「液門(えきもん)」など、自律神経のバランスを整えるツボがあります。反対側の指で気持ちいい程度に押したり、お灸を据えたりしてみましょう。台座がついている台座灸なら、お灸も手軽に据えられます(使用後のお灸は水を入れたボウルに入れて、完全に消火しましょう)。
【ライターのホットフラッシュ体験&ケア:温度調節が大事】
ホットフラッシュは予告なく訪れて、自分では止められないのが悩ましいところです。まだ肌寒い時期に、ハンカチを忘れて出かけてしまい、そんなときにかぎってホットフラッシュに…。顔から首まで汗びっしょりになって困っていたときに、お店の女性の方が「大変ですね」と声をかけてくれて、「ホットフラッシュで…」と、更年期のことを切り出せてほっとしたことがあります。
また、体が熱くなったあとに、冷えることもありますので、体温調節ができるように、ガーゼのストールを1枚携帯するようにしています。そして、週に数回、ホットフラッシュに効果が期待できる「合谷(ごうこく)」や「液門(えきもん)」、肩こりに効果が期待できる「欠盆(けつぼん)」などにお灸(台座灸)をすえています。
短い時間ですが、ふんわりと立ち上る煙をぼんやりと眺めながら、じんわり温かくなるツボに集中していると、気持ちが落ち着きとてもリラックスできます。お灸をした日は、ぐっすり眠れる気もしてそこも気に入っています(※あくまでも個人の感想です)。
ささいなことでイライラしたり、特に理由はないのに気分が沈んだりする症状も、更年期に訴えの多いもののひとつです。
急激に減少する女性ホルモン(エストロゲン)の影響を受けて、感情のコントロールが難しくなることに加え、更年期の女性を取り巻く環境が変化しやすく、大きなストレスがかかりやすくなることも影響していると考えられています。
【栄養バランスを意識した食事】
5大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)をまんべんなく取りましょう。ビタミンやミネラルは、気持ちを穏やかに整える働きが期待できます。
例えば、ビタミンCは、強いストレスを受けると体内で大量に消費されます。カルシウムは、神経の働きやホルモンの分泌などにも関わり、足りなくなると骨から供給されます。どちらも不足しないように日頃から適量を摂ることが大切です。ビタミンCは果物などに、カルシウムは、乳製品や小魚などに多く含まれています。
【セロトニンの分泌を促す運動】
適度な運動習慣には、ストレスをやわらげる効果が期待できます。とくにリズミカルな運動には、幸福ホルモンとも呼ばれる神経伝達物質「セロトニン」の分泌を促す働きも。
家の中で運動をする場合も、朝、太陽の光をしっかり浴びることで、セロトニンが分泌されやすくなり、気持ちを穏やかに整えやすくなります。
【リラックス度を上げる入浴法】
温かいお湯にのんびりつかると、浮力の働きで体の緊張がほぐれてリラックスできます。また、いったん上がった体温が下がる過程で自然に眠たくなるので、睡眠の質が上がり、疲労感の解消にも役立ちます。
【ライターのイライラ、うつ気分体験:1人の読書時間が大切】
更年期を迎えたばかりの頃は、小さな噴火を起こしては、その後1人で落ち込む…といったことを繰り返していた気がします。そのときの経験から、今は気分が揺らぎそうになったら、子どもたちも大きくなったので、早めに自分の部屋にこもって、少しの間1人になるようにしています。
私の場合は、本を読みはじめると、活字を目で追いかけているうちに、イライラしていたことから気がそれていくことがわかったので、とにかく最初の数行に集中するようにしています。不調のピークは越えた気がしますが、いつ気分が揺らいでもいいように、本は常に好きなものを数冊、小さなソファの上に出して、ラベンダーの精油も常備しています。気分がなんだか沈む…というときも、この方法は私には有効でした。
また、日々の習慣としては、朝はできるだけ太陽の光をあびるようにして、小魚や果物も多めに食べるようにしています。疲れると症状が強く出てしまいがちなので、「今は更年期だから」と自分に言い聞かせて、無理をしないようにすると穏やかに過ごせる気がします(※あくまでも個人の感想です)。
●教えてくれた人
ライター、編集者。暮らしをテーマにした書籍、雑誌記事、広告の制作に携わる傍ら、メノポーズ(更年期)に関して適切な情報を持ち、更年期のヘルスケアについて医療・患者の間に立って考えるメノポーズカウンセラー(「NPO法人更年期と加齢のヘルスケア」認定)の資格を取得。更年期に関する記事、書籍制作にも多く関わる。
「これをすると気分や体調が少しラクになる…という心身の調整法を複数もっていると、困ったときにあわてず、気持ちにも余裕が生まれます。症状が穏やかなうちから続けやすいものを探してみましょう」と話すのは、メノポーズカウンセラーの資格をもち、更年期にまつわる記事や書籍制作にも携わる編集・ライターの満留礼子さん。
戸惑いがちな更年期の不調。セルフケアが強い味方に(※画像はイメージです。以下同)
さまざまな症状が現れる更年期。セルフケアを味方に
更年期(おおむね45〜55歳)は、女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少する時期です。自律神経のバランスが乱れやすくなることに加えて、加齢やストレスなども複雑に絡み合い、心身にさまざまな不調が現れやすくなります。
更年期の不調は多岐に渡り、人によって現れる症状や不快感の程度には個人差があります。日によって現れる症状が異なることもあります。
<更年期の症状の例>
月経不順、不正出血、のぼせ、ほてり、発汗、腰や手足の冷え、頭痛、腰痛、関節痛、肩こり、手のこわばり、しびれ、吐き気、食欲不振、便秘、下痢、頻尿、膀胱炎、尿失禁、尿道炎、性交痛、膣炎、皮膚の乾燥、皮膚のかゆみ、むくみ、目の疲れ、視力の低下、めまい、血圧の変化、動悸、息切れ、耳鳴り、判断力の低下、無気力、物忘れ、イライラ、疲れやすさ、怒りっぽさ、不安感、憂うつ感、のどのつかえ、不眠など
月経不順、不正出血、のぼせ、ほてり、発汗、腰や手足の冷え、頭痛、腰痛、関節痛、肩こり、手のこわばり、しびれ、吐き気、食欲不振、便秘、下痢、頻尿、膀胱炎、尿失禁、尿道炎、性交痛、膣炎、皮膚の乾燥、皮膚のかゆみ、むくみ、目の疲れ、視力の低下、めまい、血圧の変化、動悸、息切れ、耳鳴り、判断力の低下、無気力、物忘れ、イライラ、疲れやすさ、怒りっぽさ、不安感、憂うつ感、のどのつかえ、不眠など
●つらいときは、ためらわずに医師の診察を受けましょう
更年期に現れる症状で、日常生活に支障がある場合を「更年期障害」と呼びます。つらいときは我慢せずに、早めに更年期に理解の深い婦人科を受診しましょう。
また、不調のかげに病気が隠れていることがあります。今感じている不調が更年期によるものだと判断するためにも、定期的に健診や検診を受けましょう。
●「セルフケア」は自分に合うものを複数もつのがおすすめ
更年期は、心身ともに揺らぎやすく、さまざまな不調に戸惑うこともありますが、日々、自分の体や心の声に耳を傾けることで、自分をより大切にできる時期ともいえます。
そのための「セルフケア」には、食事、運動、ツボ指圧、アロマテラピー、入浴法などいろいろなものがあります。ほかの人に向くセルフケアが自分にも合うとは限りません。取り組んでいるときに「心地いいな」「続けたいな」と思える、自分に合うセルフケアを探していきましょう。
また、セルフケアはひとつだけと決めずに複数もつようにすると、困った時の選択肢が増え、気持ちにも余裕が生まれます。セルフケアの多くは健康維持に役立ちますので、症状が軽いときも習慣として続けることで、体調の底上げにもつながります。
今回は、更年期に現れやすい症状に向く「セルフケア」をいくつかご紹介します。
●のぼせ、ほてり、発汗のセルフケア
急にカーっと顔をはじめ体が熱くなったり、大粒の汗が止まらなくなったりする症状は「ホットフラッシュ」とも呼ばれ、代表的な更年期症状のひとつです。
急激に減少する女性ホルモン(エストロゲン)の影響を受けて、自律神経のバランスが乱れ、血管の拡張や収縮の調整がうまく働かなくなるために起こると考えられています。
【香りの効用で癒されるアロマテラピー】
ラベンダーの精油は、自律神経を調整する働きがあるといわれています。ハンカチにラベンダーの精油を1滴垂らして持ち歩いたり、眠るときに枕元にラベンダーの精油を1滴垂らしたティッシュを置いたりすると、手軽に香りの効用を得ることができます。
【タオルハンカチを多めに携帯】
大粒の汗が止まらないときは、吸水性の高いタオルハンカチが役立ちます。複数枚あると汗で濡れたときも取り替えられます。また、暑い時期、汗のべたつきやにおいが気になるという人は、市販の汗拭きシートを携帯するのもひとつです。
【ツボ押し・お灸でリフレッシュ】
手には、「合谷(ごうこく)」や「液門(えきもん)」など、自律神経のバランスを整えるツボがあります。反対側の指で気持ちいい程度に押したり、お灸を据えたりしてみましょう。台座がついている台座灸なら、お灸も手軽に据えられます(使用後のお灸は水を入れたボウルに入れて、完全に消火しましょう)。
【ライターのホットフラッシュ体験&ケア:温度調節が大事】
ホットフラッシュは予告なく訪れて、自分では止められないのが悩ましいところです。まだ肌寒い時期に、ハンカチを忘れて出かけてしまい、そんなときにかぎってホットフラッシュに…。顔から首まで汗びっしょりになって困っていたときに、お店の女性の方が「大変ですね」と声をかけてくれて、「ホットフラッシュで…」と、更年期のことを切り出せてほっとしたことがあります。
また、体が熱くなったあとに、冷えることもありますので、体温調節ができるように、ガーゼのストールを1枚携帯するようにしています。そして、週に数回、ホットフラッシュに効果が期待できる「合谷(ごうこく)」や「液門(えきもん)」、肩こりに効果が期待できる「欠盆(けつぼん)」などにお灸(台座灸)をすえています。
短い時間ですが、ふんわりと立ち上る煙をぼんやりと眺めながら、じんわり温かくなるツボに集中していると、気持ちが落ち着きとてもリラックスできます。お灸をした日は、ぐっすり眠れる気もしてそこも気に入っています(※あくまでも個人の感想です)。
●イライラ、うつ気分のセルフケア
ささいなことでイライラしたり、特に理由はないのに気分が沈んだりする症状も、更年期に訴えの多いもののひとつです。
急激に減少する女性ホルモン(エストロゲン)の影響を受けて、感情のコントロールが難しくなることに加え、更年期の女性を取り巻く環境が変化しやすく、大きなストレスがかかりやすくなることも影響していると考えられています。
【栄養バランスを意識した食事】
5大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)をまんべんなく取りましょう。ビタミンやミネラルは、気持ちを穏やかに整える働きが期待できます。
例えば、ビタミンCは、強いストレスを受けると体内で大量に消費されます。カルシウムは、神経の働きやホルモンの分泌などにも関わり、足りなくなると骨から供給されます。どちらも不足しないように日頃から適量を摂ることが大切です。ビタミンCは果物などに、カルシウムは、乳製品や小魚などに多く含まれています。
【セロトニンの分泌を促す運動】
適度な運動習慣には、ストレスをやわらげる効果が期待できます。とくにリズミカルな運動には、幸福ホルモンとも呼ばれる神経伝達物質「セロトニン」の分泌を促す働きも。
家の中で運動をする場合も、朝、太陽の光をしっかり浴びることで、セロトニンが分泌されやすくなり、気持ちを穏やかに整えやすくなります。
【リラックス度を上げる入浴法】
温かいお湯にのんびりつかると、浮力の働きで体の緊張がほぐれてリラックスできます。また、いったん上がった体温が下がる過程で自然に眠たくなるので、睡眠の質が上がり、疲労感の解消にも役立ちます。
【ライターのイライラ、うつ気分体験:1人の読書時間が大切】
更年期を迎えたばかりの頃は、小さな噴火を起こしては、その後1人で落ち込む…といったことを繰り返していた気がします。そのときの経験から、今は気分が揺らぎそうになったら、子どもたちも大きくなったので、早めに自分の部屋にこもって、少しの間1人になるようにしています。
私の場合は、本を読みはじめると、活字を目で追いかけているうちに、イライラしていたことから気がそれていくことがわかったので、とにかく最初の数行に集中するようにしています。不調のピークは越えた気がしますが、いつ気分が揺らいでもいいように、本は常に好きなものを数冊、小さなソファの上に出して、ラベンダーの精油も常備しています。気分がなんだか沈む…というときも、この方法は私には有効でした。
また、日々の習慣としては、朝はできるだけ太陽の光をあびるようにして、小魚や果物も多めに食べるようにしています。疲れると症状が強く出てしまいがちなので、「今は更年期だから」と自分に言い聞かせて、無理をしないようにすると穏やかに過ごせる気がします(※あくまでも個人の感想です)。
●教えてくれた人
【満留礼子(みつどめ・れいこ)さん】
ライター、編集者。暮らしをテーマにした書籍、雑誌記事、広告の制作に携わる傍ら、メノポーズ(更年期)に関して適切な情報を持ち、更年期のヘルスケアについて医療・患者の間に立って考えるメノポーズカウンセラー(「NPO法人更年期と加齢のヘルスケア」認定)の資格を取得。更年期に関する記事、書籍制作にも多く関わる。