ソフトバンクが楽天モバイルを提訴、約1000億円の損害賠償請求権を主張
ソフトバンクは5月6日、楽天モバイルおよび楽天モバイル元社員に対し、約1000億円規模の損害賠償請求権などを主張する民事訴訟を東京地方裁判所へ提起しました。
同訴訟は、楽天モバイルの元社員が、その前に勤務していたソフトバンクからの転職時に、ソフトバンクの5G機密情報等を楽天モバイルへ不正に持ち出したとして、不正競争防止法違反で逮捕されたことに関連するもの。
ソフトバンク側は、楽天モバイルへ持ち出されたとする営業秘密の利用停止および破棄、ならびに約1000億円の損害賠償請求権の一部として10億円の支払い等を求めています。請求額については今後拡張する場合があるとしています。
発表の全文は下記の通りです。
ソフトバンク株式会社(以下「当社」)は本日、楽天モバイル株式会社(以下「楽天モバイル」)および楽天モバイル元社員に対し、同社員が当社を退職時に当社から持ち出した営業秘密の利用停止および廃棄等、ならびに約1,000億円の損害賠償請求権の一部として10億円の支払い等を求める民事訴訟を東京地方裁判所へ提起しましたのでお知らせします。なお、請求額については、今後の審理の状況に応じて拡張することがあります。
[注]※当社を退職した楽天モバイル元社員は、2021年1月12日に不正競争防止法違反の容疑で警視庁に逮捕され、同年2月2日に同法違反の容疑で起訴されています。
この訴訟提起に先立ち、当社は、東京地方裁判所に対して、2020年11月27日付で、楽天モバイルに対する証拠保全申立てを行い、同年12月10日付で同社に対する楽天モバイル元社員が当社から持ち出した営業秘密の利用停止などを求める仮処分命令申立てを行っています。また、当社は、同裁判所に対して、2021年1月15日付で、楽天モバイル元社員の資産を対象として仮差押命令申立てを行い、同年2月8日付で、同人に対する同人が当社から持ち出した営業秘密の利用停止などを求める仮処分命令申立てを行っています。
当社は、当社が営業秘密として上記手続において証拠保全を求めていた電子ファイルが、楽天モバイルが業務上利用するサーバー内に保存され、かつ、他の楽天モバイル社員に対して開示されていた事実を確認しています。なお、楽天モバイルは、これらの電子ファイルについて裁判所および当社に提出後、全て廃棄したと主張しています。
よって、当社は今回の訴訟を通じて、楽天モバイルが同社の不正競争を通じて不当な利益を得て当社の営業上の利益を侵害したこと、また、当該不正競争により建設された基地局等が存在することを明らかにすべく、不正競争防止法に基づき下記の請求を行います。
・楽天モバイルの不正競争により建設された基地局の使用差止請求(同法3条1項)および廃棄請求(同法3条2項)
・楽天モバイル元社員が当社から持ち出した電子ファイル等の使用・開示差止請求(同法3条1項)および廃棄請求(同法3条2項)
(更新)ソフトバンクの広報担当者によると、全体としては1000億円規模の訴訟で、今回はそのうちの一部である10億円の損害賠償を求めているとのこと。今後、請求額が1000億円規模に拡張する場合があると説明しています。
(更新)楽天モバイル側も声明を発表。「本件について当社では社内調査を実施してきておりますが、ソフトバンク株式会社の営業秘密を当社業務に利用していたという事実は確認されておりません。当社では訴状の送達を受け次第、内容を精査の上、裁判において当社の正当性を主張してまいります」とコメントしました。
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Source:ソフトバンク