2016年、宇都宮市の国道で女性5人が死傷した事故を巡る差し戻し審の裁判員裁判が10日、宇都宮地方裁判所で開かれ、検察側は運転手だった被告の女に前回の一審と同じ懲役9年を求刑しました。

危険運転致死傷の罪に問われているのは、福島県会津若松市の無職、中村舜希被告(29)です。

起訴状などによりますと、中村被告は2016年6月の深夜、宇都宮市徳次郎町の国道119号で制限速度を50キロオーバーするおよそ100キロで乗用車を運転し、ガードパイプに衝突するなどの事故を起こしたとされています。

この事故で一緒に乗っていた女性2人が死亡し、中村被告を含む3人がけがをしました。

今回の差し戻し審で検察側は、裁判所から命令を受け予備的訴因として過失運転致死傷の罪を請求しています。

裁判で検察側は「タイヤが横すべりを始めたときの走行速度はおよそ100キロで、被告もスピードを出している認識があった」などと危険運転致傷罪が成立するとしました。

その上で「被害の結果は極めて重大」と前回の1審と同じ懲役9年を求刑しました。

一方、弁護側は「検察側の速度鑑定は信用できるものではない。制限速度を超えた速度だったが制御困難な高速度ではなかった」と主張し、危険運転致死傷罪は成立せず、過失運転致死傷罪を適用し、禁固3年が妥当と減刑を求めました。

最終意見陳述で中村被告は、反省し続けたいと述べながらも「前回と同じ求刑内容で許せない」と訴えました。

判決は3月22日を予定しています。