ランダム要素と「死んだら終わり」なシビアさが特徴的なローグライクに、デッキ構築をベースにしたカードゲームの要素やレベルアップや装備強化などのRPGのような成長要素を組み込んだゲームが「Gordian Quest」です。ローグライク×デッキ構築なゲームがさまざま登場している中でも、RPG的な成長要素がうまく組み込まれているゲームとのことなので、実際にプレイしてみました。

Steam:Gordian Quest

https://store.steampowered.com/app/981430/Gordian_Quest/

Gordian Questは近年スマッシュヒットを記録した「Slay The Spire」に代表されるローグライクとカードゲームを組み合わせたゲーム。使用するデッキがゲーム中のランダムイベントやプレイヤー自身の選択に応じてガラッと一変するという点や、そんなデッキを使ったRPGライクな戦闘などの点が特徴。Gordian Questは2021年2月の時点では早期アクセス状態ですが、日本語に公式対応しています。日本語への変更はオプションから可能。



というわけで、「ニューゲーム」から実際にプレイ。「領域モード」と「作戦モード」という2種類のコンテンツが用意されていますが、領域モードは出てくる敵もイベントも運で決まるというサクサク進む代わりにサクサク死ぬローグライク色の強いモードで、作戦モードは展開が一本道でストーリーのあるTRPG色の強いモードです。作戦モードはかなり難易度が低く、チュートリアルを兼ねたようなモードのため今回は作戦モードでプレイ。領域モードは記事後半で説明します。



「作戦モード」はワールドマップの中から各地域を順番にクリアしていくというスタイル。記事作成時点で実装されていたのはアクト(エリア)1の「ウエストマイア」とアクト2の「アズール砂漠」の2つのみ。製品版ではアクト4まで実装予定とのこと。1アクトあたりの想定時間は5時間〜10時間なので、トータルでは結構なボリュームです。



開始時にはキャラクターを1人選択します。この時点では選べるキャラクターは1人で、最終的にはパーティー人数は3人まで増加しますが、ストーリーの進行に応じて順番にキャラクターが出てくるため、どうしても使いたいキャラクターがいるのならばこのタイミングで選択するのがオススメ。キャラクターごとに前衛だったり後衛だったり、回復ができたりデバフが打てたりといった差がありますが、今回は元兵士の「ルシウス」を選択。



続いてはルシウスの「スキル」を決めます。本ゲーム中のスキルはいわゆる「デッキ」ないしは「カード」を意味しており、ここでは初期デッキのこと。「剣士」「デュエリスト」「ベテラン」「策士」という4つの職業が選択可能で、剣士では特殊効果を持たない攻撃&防御カードがメインですが、デュエリストではデバフを付与する特殊な攻撃がメインに、ベテランではデバフ付与の防御がメイン。策士では味方と連動する効果のカードがメインとなっています。





続いては難易度選択。「イージー」「ノーマル」「ハード」「ナイトメア」という4種の難易度があり、高難度ほど敵の体力とダメージが増加する上に敵が強力な特殊攻撃を行うようになりますが、その代わりアイテムのレア度が増加します。また、難易度と並行して「スタンダードモード」「ローグライトモード」「ローグライクモード」というゲームタイプも設定します。スタンダードモードはバトルに敗北しても町で復活可能というゆるめの設定ですが、ローグライトモードは全滅すればゲームオーバー。ローグライクモードはさらに「死んだキャラクターは生き返らない」という厳しい制限が追加されます。今回はノーマル&スタンダードモードでスタート。



作戦モードでは拠点となる街から出撃して、世界にはびこる敵を掃討していくというストーリー。ワールドマップから各地のマスに移動するとその地のイベントが発生します。イベントは敵との戦闘だけでなく、宝箱ゲットなどの特殊なものも。



戦闘画面はこんな感じ。



画面上側にズラッと並んだアイコンは行動順。この行動順に応じて各キャラクターのターンが進行します。本作ではパーティーに最大3人までのキャラクターを入れられますが、自分のターンで3人を同時に動かすわけではなく、「各キャラクターごとのターン」が用意されているというシステム。行動ポイントとデッキは、キャラクターごとに独立しています。



自分のターンが来たキャラクターは、手札に応じた行動を取ることが可能。ただし、手札をプレイするにはカードに対応した行動ポイントを支払う必要があります。



各キャラクターの行動ポイントの初期値は3ですが、レベルアップなどで後々強化も可能。



さらに、攻撃カードには「攻撃範囲」を示すアイコンも描かれています。例えば「キーンストライク」の剣アイコンは、上下1レーン内の一番手前の敵に攻撃できるということを意味しており……



「遠隔ショット」の的アイコンは、どの位置でも攻撃可能ということを意味しています。



各カードは敵への単体攻撃や防御値アップなどの基本的な効果の他にも、継続ダメージや被ダメージ増加効果を与えるデバフの付与、敵位置の強制移動などさまざまな効果を持っています。特にキャラクターの強化度合いに応じてコストが下がる「チャネルスペル」属性のカードは非常に強力。キャラクターが3段階強化された状態では、ゼロコストで強力な一撃を撃てる場合も。



また、各カードは対応するステータスによって威力・効果を底上げ可能。対応するステータスはカードの名称欄の色によって識別可能で、赤色が「強さ」、青色が「賢さ」、緑色が「器用さ」に対応。灰色はどのステータスにも対応しないカードです。どのステータスを上げるかは自分で選択可能なので、戦士ならば強さのみを、魔術師ならば賢さのみを上げたくなるところですが、各キャラクターのカードの色はある程度分散しているため、「単一のステータスのみを上げる」というのはかえって非効率な印象。



中央部は戦闘の盤面を表しており、左側3列が自陣営、右側3列が敵陣営。敵キャラクターはそれぞれ異なる攻撃方法を持っていますが、「目の前にしか攻撃してくる」「中列に攻撃してくる」など位置に応じた攻撃を行うため、位置取りがかなり重要。各キャラクターは隣接するタイルに移動できますが、移動には1コストがかかります。



また、Gordian Questでは「敵の行動を予め知ることができる」というのも大きなポイント。自分のターンで敵キャラクターをクリックすると、その敵が自分のターンで行う行動が表示されます。例えば以下の場面では、敵のスパイダーリングが正面に「毒牙」を放とうとしていることが事前察知できるので、このスパイダーリングを集中攻撃して倒したり、標的とされたキャラクターを攻撃が届かない位置に移動させたりするのがベターだと判断できます。戦闘が終了しても各キャラクターのHPは自動で回復しないため、できる限り被弾を避けるという立ち回りが重要。



実際の戦闘の様子はこんな感じ。以下のムービーではプレイしているキャラクターは3人ですが、複数のNPCが加勢しているため味方がかなり多め。さらに盤面は行の数が4本と、大規模な戦闘となっています。

RPGスタイルのローグライクカードゲーム「Gordian Quest」の戦闘はこんな感じ - YouTube

戦闘終了後には経験値に加えて……



お金やアイテムをゲット。



経験値でレベルが上がった場合には、スキルポイントを獲得。各キャラクターはスキルポイントを消費することで、以下のようなスキルグリッドと呼ばれるスフィア盤から各種能力の強化を行えます。



スキルグリッドでは、カードを強化したり……



カードの効果を底上げするステータスを強化したり……



パッシブ能力を獲得したり……



新たなカードを獲得したりすることが可能。



さらにスキルグリッド自体を拡張することもできます。剣士スタートしたルシウスがLv5になったタイミングでは、一対一の戦闘に特化した「剣術」、群衆統制に焦点を当てた「ウォーリア」、自分や仲間へのバフに特化した「リーダーシップ」という3種のスキルグリッドの中から1つを追加可能。このようにして、自分の選択で各キャラクターの成長の方向性を定められます。



キャラクターの能力は、装備によって補うこともできます。装備は敵のドロップや武器屋などから入手可能で、基礎能力を向上させたりデッキにカードを追加したりといった効果があります。



さらにルーンをはめ込むことで装備を強化することも。以下の「持続」のルーンでは、装備固有のカードに「使用時に2HP回復する」という効果を付与してくれる優れモノ。2という値は少ないように思えますが、回復手段が限られる状況では特に威力を発揮してくれます。



戦闘や購入以外にも、イベントによって経験値やアイテムを入手することもできます。イベントは夜盗をコッソリ尾行して襲撃するというものや、怪しい錬金術師に対処するといったものまで多種多様で、自分の選択やダイスの出目次第で展開がさまざま変わります。



作戦モードでは、拠点となる街を中心でストーリーが進行します。こうしたストーリーの進行に加えて、「盗まれた品物を取り返してきてほしい」といった依頼の請負やアイテムの売買なども行えるので、街には幾度となくお世話になります。



一方、領域モードではこうした拠点は存在せず、プレイヤーのパーティーは「領域」と呼ばれる敵だらけのフィールドをさすらうことに。



領域モードは「Slay The Spire」のように、あみだくじのように入り乱れるルートから1本のルートを選び取って進行していくというモードです。



それぞれのマスでどんなイベントが起こるかは事前に知ることができますが、ひとたびルートを選択したら後戻りは不可。そのため、ルートを選ぶ際には目の前のマスだけでなく、さらにその奥のマスも重要になります。



作戦モードではいつでも街に戻ってキャラクターを回復させられましたが、領域モードは街が存在しないという制限があります。そんなときにはイベントマスの「キャンプ」が大事。領域モードのキャンプでは、キャラクターの回復に加えて、能力の強化やカードの取得までできます。



ただし、キャンプを実行すると「物資」というリソースが減少し、物資が減ったり能力を強化したりすると「消耗」というお邪魔カードを強制的に入手してしまいます。消耗はなんの効果もない上に使うことすらできないため、手札を圧迫して行動を阻害します。以下のように手札が消耗でパンパンになって、まともに行動がとれないことも。消耗を増やさないためには物資を減らさないことが重要になりますが、ルート上ではマスのイベントによって補給できるため、物資を補給できるようなルートの選択が重要。



作戦モードはランダム性が高く、やり始めはコテンパンにされること請け合いの難易度。しかし、全滅しても進行状況に応じてゲームスタート時の能力を強化してくれる「アーティファクト」という要素の解放に使用できる「名声」というポイントが獲得可能です。名声ポイントによってどんなアーティファクトが入手できるかはランダムですが、中には「レアアイテムを1個所持した状態でスタート」といった強力なアーティファクトも。一度解放したアーティファクトは死んでもなくならないため、「全滅するたびに名声ポイントをゲットしてアーティファクトを解放する……」という繰り返しでちょっとずつ前に進むことができます。



実際にプレイしてみるとキャラクターごとのデッキの個性が強く、スキルグリッドや装備などの要素によって成長の方向性を多様な選択肢の中から自分で選び取れるという、RPG的な要素が強め。Slay The Spireが運次第でサクッと死ぬという周回前提の軽快さをテーマにしたゲームならば、Gordian QuestはRPG要素が強く1回のプレイにじっくりと腰を据えてやるタイプのゲームでした。

「Gordian Quest」はSteamで税込2050円で購入可能。記事作成時点ではアーリーアクセスの状態ですが、かなりの頻度でアップデートが行われており、作品完成に向けて活発に開発が行われている状況が伺えます。

Steam:Gordian Quest

https://store.steampowered.com/app/981430/Gordian_Quest/