離婚or別居が頭をよぎったとき…。後悔しない決断のために考えたいこと
長年連れ添ってきたものの、夫婦間での会話がない、夫の顔を見るのも苦痛…。
それでも離婚という選択もしくは関係の修復、どちらにも踏みきれず、家庭内別居状態にあるという夫婦も少なくないと言われています。
「夫と同じ空間にいるのもいやだ、という自分の気持ちに気づいたとき、その理由を冷静に考えることで、次の一歩を踏み出せる場合もあります」と話すのは、精神疾患の方のケアのほか、心の不調や、家族や人間関係など多くの相談を受けている、精神保健福祉士でライターの東亜衣子さん。具体的な方法について教えてもらいました。
夫の顔も見たくない状態が続いたとき、どうする?(※写真はイメージです。以下同)
「顔も見たくないほど夫のことが嫌になってしまった」
長く相談にのっていると、こんな相談を受けることがあります。離婚したいけれど、先立つものがなく、生活にも自信がなくて…と離婚には踏み切れない様子。
なにも失わずに離婚する方法は、正直に言ってありません。最低でも夫の稼いでくるお金(夫が仕事をしている場合)は失うことになります。そして、あとは持ち家を失ったり、お子さんのいる家庭では親権を失ったりすることもあります。それでも離婚してとても楽になったと言われる方もいらっしゃいます。同時に、離婚して後悔しているという方もいらっしゃいます。
離婚するということは人生において、大きな決断であることは確かです。後悔しないために、どのように夫婦の関係を修復、あるいは解消するのか、こんな方法で考えてみるのはいかがでしょうか? 私は離婚したいという相談を受けたときに、2つのことを聞くようにしています。
それぞれ具体的にご説明します。
まず、下記のような状況にひとつでも当てはまるかどうかを冷静に考えてみます。
傷ついていると感じることは、もっとほかにもあるかもしれません。夫婦の関係はやはり敵ではなく、味方であるべきです。その相手から傷つけられると感じるときには離婚を考えてもいいときです。自分自身を大切にし、守るために、離婚という選択をすることを許しましょう。
(1)に当てはまる場合、次にする質問です。
離婚を考えるときに、大切なことは離婚をするということを目標にしないことです。
あまりに夫のことがいやすぎて、とにかく離婚したい、先のことは離婚してから考えるとおっしゃる方もいるのですが、それではうまくいきません。離婚したあと、自分はどんな暮らしがしたいのか、想像してみてください。その自分はニコニコ笑って幸せそうにしていますか? 離婚したことを後悔していませんか?
小さいお子さんがいらっしゃる場合でも私の質問は同じです。お子さんがいるいないに関わらず、自分が幸せそうにしている姿を想像できるかは、とても大切なポイントです。
結婚もそうですが、離婚も、自分が幸せになるための選択でなければいけません。離婚という結論を出す前に、よく考えてください。その時間が将来の自分を支えてくれます。あのとき、あんなに考えて結論を出したのだからこれでいいんだと思うことができるのです。
まず(1)に当てはまらないときは、もう一度夫婦で話し合ってみて、不満に思っていることをぶつけてみてとアドバイスします。この場合、修復できる可能性が高いと判断しています。
(1)に当てはまらなくても、夫のことが顔をみるのもいやだと思っている方もいらっしゃいます。でもそれは「時間が解決してくれる」ことも多いのです。夫婦だけではありませんが、人と人との関係は時とともに少しずつ変化していくものです。
私のところに相談に来てくれていた方も、その後話を聞くと、
「夫の顔も見たくないほど嫌い→どうでもいい空気のような存在→わりと仲よくなった」
とここ5年で変化していったと言われます。「あのときは離婚しようと思っていたけど、ホルモンバランスの関係もあったのかな」と懐かしそうに話されています。子どもの独立など環境の変化によって、関係が変わっていくことも多いようです。
(1)にあてはまり、(2)も想像できるという方には、私は法律の専門家ではありませんので、離婚に向けて法テラス
に相談することをおすすめしています。
離婚問題は進めていくと自分のなかの常識を覆すようなことが多くあるので、弁護士など専門家に早い段階から相談できる方が安心です。ただ、弁護士への依頼はハードルが高いという場合は、法テラスの利用を。
法テラスは、国によって設立された、法的トラブル解決のための「総合案内所」で、資力要件を満たせば無料相談や、代理援助制度を利用することができます。立替えられた弁護士費用も、分割払いにすることもできます。ただ、無料で相談できる時間は30分程度しかありませんので、事前に聞きたいこと、心配なこと、わからないことをノートに整理しておくとスムーズに相談することができます。
一度きりの人生、後悔しない選択をして生きていきたい。だれもが望んでいることだと思います。夫婦の関係に悩み、「離婚する」「離婚しない」どちらの選択をしたとしても、それは間違いではありませんし、だれかに判断されることでもありません。
自分自身が後悔することがあったとしても、あのときあんなに考えて悩んで、自分で決めたのだからと思えることは、そのときの自分を救うことになります。自分が幸せになるための選択をするための、参考にしてみてください。
●教えてくれた人
ライター・精神保健福祉士。地域に根づいた精神保健福祉に20年以上携わり、精神障害者の支援やケアだけでなく、不眠やうつ、家族の悩み、人づき合いの悩み、だれにでも起こる心の不調を感じたときの乗り越え方などさまざまなアドバイスをしている。公私問わず、年間100件を超える相談に応じている。
それでも離婚という選択もしくは関係の修復、どちらにも踏みきれず、家庭内別居状態にあるという夫婦も少なくないと言われています。
「夫と同じ空間にいるのもいやだ、という自分の気持ちに気づいたとき、その理由を冷静に考えることで、次の一歩を踏み出せる場合もあります」と話すのは、精神疾患の方のケアのほか、心の不調や、家族や人間関係など多くの相談を受けている、精神保健福祉士でライターの東亜衣子さん。具体的な方法について教えてもらいました。
夫の顔も見たくない状態が続いたとき、どうする?(※写真はイメージです。以下同)
夫婦関係修復or離婚?家庭内別居状態のときに考えたいこと
「顔も見たくないほど夫のことが嫌になってしまった」
長く相談にのっていると、こんな相談を受けることがあります。離婚したいけれど、先立つものがなく、生活にも自信がなくて…と離婚には踏み切れない様子。
なにも失わずに離婚する方法は、正直に言ってありません。最低でも夫の稼いでくるお金(夫が仕事をしている場合)は失うことになります。そして、あとは持ち家を失ったり、お子さんのいる家庭では親権を失ったりすることもあります。それでも離婚してとても楽になったと言われる方もいらっしゃいます。同時に、離婚して後悔しているという方もいらっしゃいます。
離婚するということは人生において、大きな決断であることは確かです。後悔しないために、どのように夫婦の関係を修復、あるいは解消するのか、こんな方法で考えてみるのはいかがでしょうか? 私は離婚したいという相談を受けたときに、2つのことを聞くようにしています。
(1) 夫はあなたを傷つけていますか?
(2) 離婚したあとの自分を想像したら幸せそうですか?
(2) 離婚したあとの自分を想像したら幸せそうですか?
それぞれ具体的にご説明します。
●(1) 夫はあなたを傷つけていますか?
まず、下記のような状況にひとつでも当てはまるかどうかを冷静に考えてみます。
・日常的に肉体的もしくは精神的な暴力を受けている
・金銭的に厳しい制限を受けている
・妻の知らないところで借金をする
・話し合いたいと思うことがあっても、まったく話し合いができない
・金銭的に厳しい制限を受けている
・妻の知らないところで借金をする
・話し合いたいと思うことがあっても、まったく話し合いができない
傷ついていると感じることは、もっとほかにもあるかもしれません。夫婦の関係はやはり敵ではなく、味方であるべきです。その相手から傷つけられると感じるときには離婚を考えてもいいときです。自分自身を大切にし、守るために、離婚という選択をすることを許しましょう。
●(2) 離婚したあとの自分を想像したら幸せそうですか?
(1)に当てはまる場合、次にする質問です。
離婚を考えるときに、大切なことは離婚をするということを目標にしないことです。
あまりに夫のことがいやすぎて、とにかく離婚したい、先のことは離婚してから考えるとおっしゃる方もいるのですが、それではうまくいきません。離婚したあと、自分はどんな暮らしがしたいのか、想像してみてください。その自分はニコニコ笑って幸せそうにしていますか? 離婚したことを後悔していませんか?
小さいお子さんがいらっしゃる場合でも私の質問は同じです。お子さんがいるいないに関わらず、自分が幸せそうにしている姿を想像できるかは、とても大切なポイントです。
結婚もそうですが、離婚も、自分が幸せになるための選択でなければいけません。離婚という結論を出す前に、よく考えてください。その時間が将来の自分を支えてくれます。あのとき、あんなに考えて結論を出したのだからこれでいいんだと思うことができるのです。
●夫に傷つけられていない場合は、一度話し合いを
まず(1)に当てはまらないときは、もう一度夫婦で話し合ってみて、不満に思っていることをぶつけてみてとアドバイスします。この場合、修復できる可能性が高いと判断しています。
(1)に当てはまらなくても、夫のことが顔をみるのもいやだと思っている方もいらっしゃいます。でもそれは「時間が解決してくれる」ことも多いのです。夫婦だけではありませんが、人と人との関係は時とともに少しずつ変化していくものです。
私のところに相談に来てくれていた方も、その後話を聞くと、
「夫の顔も見たくないほど嫌い→どうでもいい空気のような存在→わりと仲よくなった」
とここ5年で変化していったと言われます。「あのときは離婚しようと思っていたけど、ホルモンバランスの関係もあったのかな」と懐かしそうに話されています。子どもの独立など環境の変化によって、関係が変わっていくことも多いようです。
●夫婦関係の解消を考える場合は、法的支援機関の利用も考えて
(1)にあてはまり、(2)も想像できるという方には、私は法律の専門家ではありませんので、離婚に向けて法テラス
に相談することをおすすめしています。
離婚問題は進めていくと自分のなかの常識を覆すようなことが多くあるので、弁護士など専門家に早い段階から相談できる方が安心です。ただ、弁護士への依頼はハードルが高いという場合は、法テラスの利用を。
法テラスは、国によって設立された、法的トラブル解決のための「総合案内所」で、資力要件を満たせば無料相談や、代理援助制度を利用することができます。立替えられた弁護士費用も、分割払いにすることもできます。ただ、無料で相談できる時間は30分程度しかありませんので、事前に聞きたいこと、心配なこと、わからないことをノートに整理しておくとスムーズに相談することができます。
一度きりの人生、後悔しない選択をして生きていきたい。だれもが望んでいることだと思います。夫婦の関係に悩み、「離婚する」「離婚しない」どちらの選択をしたとしても、それは間違いではありませんし、だれかに判断されることでもありません。
自分自身が後悔することがあったとしても、あのときあんなに考えて悩んで、自分で決めたのだからと思えることは、そのときの自分を救うことになります。自分が幸せになるための選択をするための、参考にしてみてください。
●教えてくれた人
【東 亜衣子さん】
ライター・精神保健福祉士。地域に根づいた精神保健福祉に20年以上携わり、精神障害者の支援やケアだけでなく、不眠やうつ、家族の悩み、人づき合いの悩み、だれにでも起こる心の不調を感じたときの乗り越え方などさまざまなアドバイスをしている。公私問わず、年間100件を超える相談に応じている。