病気の母のため、中学卒業後に相撲の世界へ飛び込んだ。

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「親方は大将を入門させる際、『私たちが責任を持って、面倒を見ていきます。任せてください!』と言っていました。しかし今回、そんな素振りは一切ありませんでした。1月8日に私のところへ電話があったのですが、『本日で引退となりました』と一方的に告げるだけ。何を聞いても、『決まったことなので』の一点張りでした。そして翌日になるとすぐさま断髪式を行い、切り捨てるようにあの子を追い出したのです。

親方は、大将が心臓の手術をしていたと協会に伝えていたのでしょうか。単純にコロナが怖いと言っているのではない。手術によるリスクを感じているのだと説明してくれていれば、協会の反応も違っていたかもしれません」

そう語るのは、元琴貫鐡こと柳原大将さん(22)の母だ。発端となったのは、1月9日のTwitter。柳原さんが次のように投稿したことだった。

《今日を持って 引退することになりました。 このコロナの中、 両国まで行き相撲を取るのは さすがに怖いので 休場したいと佐渡ケ嶽親方に伝え 協会に連絡してもらった結果 協会からコロナが怖いで 休場は無理だと言われたらしく 出るか辞めるかの 選択肢しか無く 自分の体が大事なので》

心臓の手術を経験していたことから、コロナ感染にリスクを感じていたという柳原さん。

引退に際し、母は佐渡ヶ嶽部屋に強い不信感を抱いていた。というのも、これまでも柳原さんから部屋の信じられないような実情を聞かされていたのだ。

■黄色く変色するお米を「ドライカレー」と呼んで……

「衛生管理は、特にひどかったみたいです。入門直後に女将さんからケーキをもらったところ、酸っぱかったらしくて。箱を見てみると、賞味期限が1週間過ぎていたと聞きました。実際、あの子は食中毒になりました。

ほかにも『冷凍庫から出してきた肉を見たらカビが生えていて。’90年代の日付が書かれていた』と言っていたこともあります。それでも親方が『カビの部分を削れば大丈夫だ』と言って、みんなに食べさせていたと聞きました。

お米に虫がわいていたこともあったそうです。かなり古くなっていることがあるみたいで、炊いた後にすぐ黄色く変色するそうです。でも部屋の力士たちはみんな慣れっこで、そのお米を『ドライカレー』と呼んで笑っていたといいます。あの子は『昔はもっとひどくて、炊いたら黒くなるお米を食べていた』とも言っていました」

昔は病気やケガとは無縁だったという柳原さん。だが’13年に入門すると、すぐ扁桃炎で手術することに。’16年1月には心臓手術をしたが、医師から「ストレスが原因」と診断された。2カ月後の3月には左膝半月板損傷で手術、さらに’17年9月にも同じ箇所の手術をすることとなった。

「でも、力士によって対応が違っていたみたいです。私たちは自分で治療費を払わされてきましたが、別の力士がケガしたときは部屋から支払われていたそうです。あまりにも不公平です……。

実は、昨年7月に部屋の力士が新型コロナウイルスに感染したそうです。すでに退院したそうですが、その後も倦怠感が取れない状態。ほとんど横になっていて、満足に稽古できていないそうです。大将はコロナの“後遺症”の脅威も間近で見ていたわけですが、これで『出場したくない』と言うことがなぜいけないのでしょうか」

本誌は日本相撲協会を通じて佐渡ヶ嶽部屋に取材を申し込んだが、回答はなかった。

「女性自身」2021年2月9日号 掲載