藤原季節『佐々木、イン、マイマイン』ラストの熱演!あふれる感情を表現
主演作『佐々木、イン、マイマイン』が公開中の藤原季節がメール取材に応じ、今作での役作り、「撮影の中で積み重ねてきた多くの感情があふれてしまうような表現を目指した」という映画終盤のシーンについて語った(以下、一部映画の内容に触れています)。
King Gnu や平井堅、Uruの ミュージックビデオなどで知られる新鋭・内山拓也がメガホンを取った本作。俳優を目指して上京したものの、くすぶり続ける毎日を送る悠二(藤原)が高校時代の同級生・佐々木(細川岳)のことを思い返し、自身の過去・現在と向き合う。今年の東京国際映画祭の「TOKYOプレミア2020」に選出され、スタッフ・キャストの思いが結集した力作として公開後も反響を呼んでおり、内山監督は「新藤兼人賞」の銀賞に輝いた。
内山監督と念入りにリハーサルを重ねて悠二という役を作り込んでも監督と方向性が合わず、藤原は途方に暮れることもあったという。だがある時、その状態から抜ける感覚があった。
「誤解を恐れずに言うと『何もしない』ということでした。感情や行動を自らの力で変えようとするのではなく、周囲の影響によって変わってしまう瞬間を待つ。内山監督は僕のことを信じて、変わる瞬間をずっと待ってくれたように思います。そのためテイク数は重ねましたが、撮影が進んでいく中で悠二として多くの感情を積み重ねてゆくことができました」
映画の終盤、一人で道路を歩く悠二が舞台のセリフを吐き出す。カメラに映っているのは藤原だけ。観る者を圧倒する熱演を見せた。
「撮影の中で積み重ねてきた多くの感情があふれてしまうような表現を目指しました。悠二の人生を演じてきた中で、友達、彼女、祖母、役者、バイト、それがコンビニでも、たくさんの人と出会い、そして離ればなれになり、喜んだり傷ついたり情けなくなったり、とにかくたくさんの感情を与えてもらうことができました。それらの感情は今も僕の中に生き続けています」
「感情をあまり表に出すことのなかった悠二が、あのシーンで『ロング・グッドバイ』の台詞を言うというのは、悠二がやはり役者であるということを意味しています。僕自身、台詞を吐いて気持ちをぶつけるような経験を何度もしたことがあります。あそこで悠二が吐き出す言葉が、舞台の台詞であるということは大事なことで、僕が役者を続けているかぎり何度でもあのシーンをやってやるという気持ちです。その意味では悠二と僕はリンクしていて、いつも心に悠二がいます」
現在放送中のフジテレビの月9ドラマ「監察医 朝顔」にレギュラー出演しており、2021年は2月から放送が始まるNHKの大河ドラマ「青天を衝け」への出演、主演映画『のさりの島』、映画『くれなずめ』の公開などが控えている。
「僕自身、朝起きると何も変わらない日常が待っていることに嫌気がさすことがあります。そんな時、身体を奮い立たせて映画館に足を運んできました。そうすると少しだけ違う今日、もしくは明日が待ってるからです。昨日を変えられることだってあります。『佐々木、イン、マイマイン』が今日も必死に生活をしている誰かの心に届き、少しだけ、日々を豊かなものに変えられたらと思います。よろしくお願いします」とメッセージを送った。(編集部・海江田宗)