冬の気温はどうなる?暖冬か寒冬か 鍵を握る「ラニーニャ現象」の最新情報
気象庁は、今週「ラニーニャ現象」が冬にかけて続く可能性が高いと発表しました。前回のラニーニャ現象の冬(2017年〜2018年の冬)は、全国的に気温が低く、特に西日本では32年ぶりの寒い冬となりました。最新の1か月予報では、12月上旬にかけては、全国的に気温が高めの予想ですが、冬本番になると、一転して、急に寒さが厳しくなることも考えられます。
ラニーニャ現象とは? 冬にかけて続く予想
気象庁は、10日、「エルニーニョ監視速報」を発表しました。それによりますと、「ラニーニャ現象」が冬にかけて続く可能性が高い(90%)と見込んでいます。
そもそも、ラニーニャ現象とは、どんなものかと言いますと、ラニーニャ現象が発生している時は、太平洋赤道域で吹く東風が、平常時よりも強くなります。その結果、強い東風によって吹き寄せられる「暖かい海水の層」が、太平洋赤道域の西部で、平常時より厚くなり、インドネシア近海の海上で、積乱雲が、平常時よりも盛んに発生します。
一方、太平洋赤道域の東部では、冷たい海水の湧き上がりが、平常時より強くなります。そのため、太平洋赤道域の中部から東部では、平常時よりも海面水温が低くなるのです。
ラニーニャ現象が発生すると「世界中の天候に影響を及ぼす」というのがポイントです。日本付近では、ラニーニャ現象が発生している時の冬は、気温が「平年並み」か「低くなる」傾向があります。
この「平年」というのは、1981年〜2010年の30年間の値を、平均したものです。近年は、地球温暖化などにより、気温の高い年が増えていますが、1980年代といった寒かった頃の値と平均されてしまうので、「平年並み」の冬でも、寒く感じられる方が多いと思います。
さらに、前回、ラニーニャ現象が発生した冬というのは、2017年〜2018年の冬でした。この冬(2017年12月〜2018年2月)は、日本付近に強い寒気が流れ込むことが多かったため、全国的に冬の気温が低く、特に西日本では32年ぶりの寒い冬となりました。
この冬 寒さは どうなる?
ただ、12日に発表された、最新の1か月予報によりますと、12月上旬にかけては、東・西日本や沖縄・奄美を中心に「気温が平年より高い」予想です。また、東・西日本や沖縄・奄美では、11月18日頃から寒気の影響を受けにくいため「かなりの高温」が予想され、「高温に関する早期天候情報」も発表されています。
つまり、11月後半は、季節の歩みが足踏みして、12月上旬にかけて、冬への歩みはゆっくりですが、いざ、冬本番の時期になると、ラニーニャ現象の影響などにより「急に寒さが厳しくなる」可能性があります。
実は、昨冬(2019年12月〜2020年2月)は、西・東日本で記録的な暖冬でした。暖かい冬を経験した後だけに、この冬は平年並みの寒さでも、一段と寒さがこたえるでしょう。冬本番に向けて、万全な寒さ対策を、ご準備ください。