AFX通信によると、欧州中央銀行(ECB)は4日開いた定例理事会でECBの政策金利を年2.5%に据え置く決定をしたが、理事会後の記者会見でトリシェ総裁は、ユーロ圏12カ国の景気回復が持続した場合、利上げが必要になろうとの考えを明らかにした。

  総裁は「(景気回復が続くとの)主要なシナリオが確認された場合、金融緩和政策をさらに後退させることが必要になる」とし、最近の経済指標は、ECBの描く緩やかな景気回復のシナリオを確認する方向であると述べた。

  しかし、一方で、ECBとしては、景気回復の拡大を示す追加の指標に期待しているとして、まだ、今後の金利政策を決めたわけではないと語った。総裁は「われわれは前もって方針を決めているわけではない。われわれが決定することはすべて、われわれ自身のしっかりした分析、データ、事実、数字にもとづくものである」と述べ、ECBが6月8日マドリードで開く次回の理事会で利上げを決定するとの市場の観測についてのコメントは拒否した。

  最近の為替市場でのユーロ高、ドル安について総裁は、4月21日に開いたG-7(先進7カ国)財務相・中央銀行総裁会議後、発表された共同声明には、ユーロの対ドル相場を修正すべきと受け取られる表現はなかったとし、最近の相場の動きは市場の思惑によるものとの判断を示した。 【了】