【価格/サイズ/内装は?】マツダMX-30 ガソリン・マイルドハイブリッドを解説 魂動デザインの新解釈 10/8発売
はじめに MX-30 マイルドHV車とはtext:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)
10月8日、マツダはブランニューのクーペSUV、「MX-30」を発表した。
マツダのSUVといえば、CX-3、CX-5、そしてCX-30のように「CX-○」という名称が付けられていたが、今回のMX-30は今までのSUVラインナップとは立ち位置が少し異なるため、名称が差別化されている。
MX-30は、マツダ初の量産EV(電気自動車)として昨年の東京モーターショーでプロトタイプがワールドプレミアされた。
そして今夏のオートモビルカウンシル2020の会場で、秋には日本国内に導入し、マイルドハイブリッド・モデルも設定されると発表された。
日本より先にヨーロッパではEVモデルの先行予約の受付けが開始され、販売も始まったMX-30だが、今回、日本仕様として発表されたのはマイルドハイブリッド・モデルのみとなっている。
だが、マツダは2021年1月には、EVモデルも日本で発売することを明かにした。
では、まずマイルドハイブリッド・モデルのみで発表されたMX-30日本仕様の概略を紹介していこう。
マツダMX-30 外観
MX-30日本仕様のボディサイズは、全長4395×全幅1795×全高1550mm、ホイールベースは2655mm。
立体駐車場にも対応し、都会で使うには適度なサイズといえるだろう。
マツダMX-30(ポリメタルグレーメタリック/AWD)+ベーシックpkg/インダストリアルクラシックpkg 上野和秀近年のマツダ車は、共通のデザインテーマである「魂動デザイン」に基づいているが、このMX-30も例外ではない。人の手が生み出す人としての美しさを基礎としながら、価値観の変化やライフスタイルに寄り添うことを目指した「ヒューマン・モダン」をコンセプトとしている。
エクステリア全体は、無駄な要素を削ぎ落とし、自然な余白のあるシンプルさが特徴的だ。
フロントまわりでは、最近のマツダ車が採用しているシグネチャーウイングは廃止。グリルのオーナメントが指し示す、クルマの中心軸にすべての要素が収斂する作りとしている。
ボディサイドは、フロントエンドから始まる塊感のあるプロフィールが、リアエンドまで通されるシンプルな構成だ。クーペSUVらしくDピラーは強く傾斜されるが、Aピラーは敢えて立ち気味にしてアクセントが付けられている。
そしてフリースタイル・ドアも、MX-30の特徴の1つだ。
かつてRX-8にも採用されたセンターオープン式のドア構造は、デザインと居住性を両立。乗降性や荷物の積み卸しのしやすさはもちろん、ベビーカーや車いすでのアクセスのしやすさなど、使い勝手は幅広い。
外観でもう1つ特徴的なのは、キャビンとフリースタイル・ドアを際立たせるため、AピラーからDピラーのキャブサイドの一部とリアゲートサイド部分をメタリックカラーとしたフレームドトップ。さらにルーフをブラックアウトした3トーンのボディカラーも設定されている。
マツダMX-30 内装
インテリアでは、フリースタイル・ドアの採用による開放感を実現するため、フローティング・テーマによる構成で統一されている。
コクピットは、マツダ車に共通するドライバーを中心としたレイアウトは変えずに、水平基調を強めてインテリアをよりシンプルかつワイドに表現している。
マツダMX-30の前席内装(内装色:ホワイト/シート:クロス+合成皮革)+ベーシックpkg/モダンコンフィデンスpkg 上野和秀エアコン操作パネルをタッチディスプレイとしてシンプル化を進め、センターコンソールやインパネのアッパー部、メーターフードなどをフローティングさせて、空間の軽さと連続感を引き立てている。
とくにインテリア空間の特徴の1つとなっているフローティングコンソールは、操作部を集約し、周辺の本体から切り離したもの。新たに採用されたタッチパネル・ディスプレイとも相まって、MX-30のモダンさのハイライトとされている。
また、コルク栓を作る時の端材を活用したヘリテージコルク、リサイクル糸を約20%使用したリサイクル・ファブリック、生産プロセスで有機溶剤を使用しないプレミアムビンテージレザレット(人工皮革)など、環境に優しい素材がインテリアに採用されている。
インテリアのトリムは、ベーシックなクロスのブラック内装、ホワイト合皮とメランジ調クロスを組み合わせたホワイト内装、ブラウン合皮とデニム調クロスを組み合わせたブラウン内装を設定。
ラゲッジスペースはクーペSUVというスタイルながら、フル乗車時でも約400Lの容量が確保されている。
マツダMX-30 パワートレイン
MX-30のマイルドハイブリッドは、直噴ガソリンエンジンの「スカイアクティブG 2.0」をベースとし、マイルドハイブリッド・システムの「Mハイブリッド」を組み合わせた「eスカイアクティブG」と呼ばれるもの。
eスカイアクティブとは、エンジン/モーター/ブレーキ/ジェネレーターなどを協調制御し、効率的なだけでなく滑らかで上質な動的性能を実現するマツダの電動化技術の総称だ。
マツダMX-30(マシーングレープレミアムメタリック/AWD) 上野和秀エンジンは、最高出力156psと最大トルク20.3kg-mを発生する2Lの直4ガソリン。これに、6.9ps/5.0kg-mを発生する電気モーターを組み合わせている。動力用のバッテリーは、24Vのリチウムイオン電池。
ブレーキ by ワイヤ方式による回生強調ブレーキシステムも技術的なトピックの1つ。ペダル操作量からドライバーが必要な制動力を判断。この制動力の範囲内でエネルギー回生を行いながら不足分を摩擦制動力で補い、ドライバーの意図どおりのブレーキングを図る。
また、エンジンの始動方式を従来のスターターからベルト伝達のモーターに変えたため、再始動が素早くなった。さらに、減速時や停車前などのエンジン停止領域を拡大。再始動時の振動・音の低減も図られている。
組み合わされるトランスミッションは6速AT。シフト操作はユニークな逆L字型のパターンで、直感的かつ簡単・確実な操作がしやすい。ステアリングのスイッチで、マニュアルモードでの走行も可能。駆動方式は、2WD(FF)と先進の4WD「iアクティブ4WD」が設定されている。
マツダMX-30 シャシー/最低地上高
MX-30は、最低地上高が180mm与えられている。同じマツダのSUVモデル、CX-30の175mmに対してわずかに高いわけだ。
その車両構造は、最新のマツダ車と同様に新世代の「スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー」を採用する。
マツダMX-30 100周年特別記念車(セラミックメタリック+2トーン/2WD)の前・後席内装 上野和秀これは、人間が無意識に足・骨盤・脊柱をコントロールして体と動きのバランスを取り、頭の揺れを抑えることに着目した技術。MX-30では、乗車中もこの能力を発揮できるように、シート、ボディ、シャシーを有機的に連携させながら、人間の特性に基づく作り込みを徹底した。
例えば、シートは骨盤下部、骨盤上部、大腿部の3点で骨盤をしっかり立てて、同時にシートバック上部で胸郭重心を支えることで、脊柱のS字カーブを維持できる構造を採用している。
サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式、リアがトーションビーム式。ブッシュの最適化や中央と外側で径を変えたセンタービームなどにより、路面からの入力を素早く正確に伝え、操作に対してリニアに反応する。
マツダが追求してきた「意のままのコントロール性」をより精密に、自然に楽しめる操縦安定性を提供するものだ。
ボディには、骨格のストレート化と環状構造を基本として、剛性とエネルギー伝達効率をさらに高めたマツダ独自のものを採用。
4WDモデルではオフロード・トラクションアシストやヒルローンチ・アシストなども備え、悪路を含めたあらゆる路面環境で意のままの走りを実現する。
マツダMX-30 装備/ADAS
「マツダ・プロアクティブ・セーフティ」の安全思想のもと、安全性能を進化させ続けているマツダ。MX-30では、マツダの先進安全技術である「iアクティブセンス」をさらに強化した。
被害軽減ブレーキの進化として、既存技術のスマート・ブレーキサポートに交差点での衝突事故防止を図る「右直事故回避アシスト機能」を追加している。
CX-30とMX-30を間隔を詰めて停車。これだけのスペースがあれば、MX-30は後席ドアを全開にできる。リアシートに乗車する際は、先に前席ドアを開いてできた空間に立ち、続いて後席ドアを開けて車内に入る。(撮影のために前席ドアを閉じているがこの状態ではロックされていない) 上野和秀そして新技術として、白線が引かれていない道路での逸脱回避をアシストする「ロードキープアシスト機能」と、車線変更時の衝突回避をサポートする「側方危険回避アシスト機能」を備えた「緊急時車線維持支援」を導入。
これまでにマツダが造り上げてきた安全技術にこれらをプラスすることで、カバーできる走行シーンをさらに広げている。
パッシブセーフティでは、センターピラーレスのフリースタイル・ドアを採用しながらも、高強度かつ効率的なエネルギー吸収構造などによって高い衝突安全性能を実現。
SRSエアバッグシステムは、運転席&助手席はもちろんカーテン&フロントサイドエアバッグに加え、ひざまわりに展開する運転席ニーエアバッグもグローバルで標準装備している。
誰もが思いのままにMX-30を楽しめるように、最新の知見と技術をもって安全性能を磨き抜いたという。
マツダMX-30 価格
今回発表されたマイルドハイブリッド仕様のMX-30は、モノグレードだ。
消費税込みの価格は、2WDが242万円、4WDが265万6500円。
マツダMX-30(ポリメタルグレーメタリック/AWD)+ベーシックpkg/インダストリアルクラシックpkg 上野和秀これに、さまざなまパッケージオプションから好みのものを選択し、ボディカラーやインテリアのトリムをチョイスして、自分だけのMX-30を作り上げることができるというわけだ。
そのパッケージオプションは、メーカーセットOPという形式をとり、安全装備系のセーフティpkg/360°セーフティpkg、実用装備のユーティリティpkg、内外装に拘るインダストリアルクラシックpkg、モダンコンフィデンスpkgなどを用意。
また、100周年特別記念車も同時登場。価格は、2WDが315万7000円、4WDが339万3500円。
こちらは特別装備に加えて、以下の装備が追加されている。
・創立100周年スペシャルロゴ(前ヘッドレストにエンボス加工/ホイールキャップ/オーナメント/アドバンストキー/アドバンストキー化粧箱、フロアカーペット:赤、フロアマット:赤)
・ベーシックpkg/セーフティpkg/ユーティリティpkg/360°セーフティpkg/ボーズサウンドシステム(AUDIOPILOT2+Centerpoint2)+12スピーカー
・インテリアパッケージ(シート素材:クロス黒+合成皮革:赤)
・エクステリアpkg(専用ボディカラー:2トーンセラミックメタリック/マローンルージュメタリック)
マツダMX-30 マイルドHV スペック
税込み車両価格:242万円(カッコ内は4WD:265万6500円)
全長×全幅×全高:4395×1795×1550mm
ホイールベース:2655mm
最低地上高:180mm
乗車定員:5名
車両重量:1460kg(1520kg)
ドライブトレイン:1997cc直4+モーター
最高出力(エンジン):156ps/6000rpm
最大トルク(エンジン):20.3kg-m/4000rpm
最高出力(モーター):6.9ps/1800rpm
最大トルク(モーター):5.0kg-m/100rpm
トランスミッション:6速オートマティック
WLTCモード燃費:15.6km/L(15.1km/L)
タイヤサイズ:215/55R18
シフトパターンはユニークな逆L字型。「P」「R」「D」というクルマの動きを司るレンジをすべて突き当ての位置に配置。操作後はその位置に留まる。 上野和秀